繋がる過去と未来-5
カロンは返事に困った。彼自身、妹を探したいという気持ちと今の旅を続けたいという気持ちが混ざり合ってしまっているのだろう。
「……覚悟はできていないようね。まあ、いいわ。占ってあげる。結果の知らせ方は貴方にとって最適な方法で」
ミゼルはお得意の不気味な笑いを見せた。
「まずは占いに必要な情報……妹さんについて、詳しく話してもらおうかしら?」
――――カロンはすべてを話した。五年前、アンジェティと別れることとなった事件を全て。
「なるほど……ね」
ミゼルは水晶玉を片付け、タロットカードをテーブルに広げた。慣れた手つきでカードを切り、カードの山から何枚かをテーブルに並べていく。そして一枚ずつめくっていき、カードから結果を読み取っていく。
「見えたわ」
「どうなんや!?」
「妹さんは、生きてるわ。そして、あなたたち兄妹は必ず、再び巡り逢える。貴方が旅をやめなければ」
「そ、そうか……」
カロンの手は震えている。それを抑えようと、彼は自身の手をぎゅっと握った。
「ただし、会えたからと言ってそれから先、ずっと一緒にいられるかは……貴方次第ね」
ミゼルはタロットを片付け始めた。
「これで貴方の用件は済んだかしら? 仲間が貴方を探しているはずよ。早く行ったら?」
「なんで俺が何も言わんと来たのが……」
「いいからお行きなさい」
「あ、ああ……」
カロンはミゼルに背を向け、占いの間の扉を開けた。最後に一言、彼女にこう言い残す。
「ありがとうな。……妹のこと、観てくれて」
扉が閉められ、部屋の光源が月の光とろうそくの光になった時、ミゼルは静かに微笑んだ。
彼女は立ち上がり、扉の鍵を閉め、部屋の奥にあるもう一つの扉を開けた。その先には下へ下りる階段があった。ミゼルはそれを下りていく。
真っ暗な階段を下りきりドアを開けると、そこに現れたのは一つの部屋だ。この部屋には他にドアがない。隠し部屋だ。
その隠し部屋のソファーに座り、優雅に紅茶を飲んでいる少女が一人。金の長い髪をなびかせ、青い瞳でミゼルを見つめる。少女はミゼルのような笑い方で微笑んだ。ミゼルも微笑みを返す。
「全ては上手くいったわ。真鈴」
少女――真鈴は紅茶のカップとソーサーを机に置いた。
「けど、なぜあの子達がここに来るのを知っていたの?」
ミゼルは真鈴と対になって座る。
「仕事がてら、見かけたのよ。あの子達を」
「それなら貴女があの子達を助けてもよかったんじゃ?」
「いいえ。帰りがけ、あの子達とミゼルが会っているのを見たの」
「なるほど」
真鈴は再び紅茶を飲み始めた。
お決まりの微笑みをミゼルは見せる。
「ねぇ、真鈴。ジルハードの王女とルヴァニールの王子の生まれ変わりの出会いは偶然なのかしら?」
「さぁ。私には目の前の事実しか見えないもの。わからないわ」
真鈴は得意げに笑う。