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アンブランテの門

 そして翌日。


 アイレア家の門の前に、ナイル、シルラ、チルが集まった。玄関のドアの前にはウェルゼとレオンが立っている。


「気をつけろよ」


「うん、行ってくる」


 シルラは頷いた。


「行ってきます」


 ナイルも返事を返す。


「今までいろいろとありがとうございました。行ってきます」


 チルも丁寧に返事を返す。


「気をつけるのよ。危険だと思ったらすぐその場から立ち去ること。戦いなんてしちゃ駄目よ」


 ナイルの肩を抱いてウェルゼは言う。


「母さん……わかったから……」


 いつまでも離れようとしない母に、ナイルは少しだけ嫌気がさした。


「あの……そろそろ行くから離してくれる?」


「あ、そうね。ごめんなさい」


 ウェルゼはようやくナイルから離れた。


「じゃあ、行こうか」


 シルラはそう言って、先に歩いていった。チルもそれに続く。


 ナイルはというと、荷物を下ろして深く一礼した。


「十八年間、ありがとうございました」


 そう言って、急いで荷物を担いで二人の元に駆け寄った。


 遠くなる三人の姿を見届け、ウェルゼはさっさと家に入った。追うようにレオンも家に入り、立ち止まるウェルゼをそっと抱いた――――。


 一方、廃屋に向かった三人は、慣れたように森の道を進んでいく。――やがて見えてきた廃屋。門の前までたどり着くと、ナイルは鍵を開ける。


 ――リトの家には、すでにカロンが来ていた。


「これで全員そろったな」


 ロクサーノが黒いスーツのような服を来て現れた。キャロルは黄色いワンピース、メイスンはいつものメイド服だ。


 ちなみにチルはエプロンドレス、シルラは着物、ナイルは村にいた時の普段着、カロンはいつも着ている短いトーガのような服ときたものだから、金持ちの旅行者と田舎から飛び出した旅人が一緒に歩いているようにみえる。


 それを気にもせず、キャロルは言った。


「さ、行きましょ!」


 キャロルは子供のようにはしゃいでいる。彼女はいち早く廃屋の、アンブランテの門の前に行った。


「あ、待ってよ!」


 後をチルが追い、そのあとを皆が追った。











 ――――旅の始まり、アンブランテの門。


 全員が見守る中、キャロルはその扉を開けた。


 扉の向こうから光が差し込む。


 ――彼等の旅が始まった――







──終──

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