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真鈴

 ――――祭もついに半分が終わり、四日目を迎えた。ロクサーノは今回を最後にデイ・ルイズを抜けるというが、アンブランテの門が使えない以上『リトの家』に帰る事はできない。メイスンは心配そうに尋ねる。


「ロクサーノ様、これからどうなさるのですか?」


「どうもこうも、デイ・ルイズは抜ける。メディナの鎌もできた。もう後戻りができない事くらいわかるだろ?」


「それはそうですけど……」


「なら、黙ってくれ。こう見えても切羽詰まってんだ……」


 生活テントに備え付けられた机に、ロクサーノは肘をついた。


「あの廃屋を片付ければ済む話だが……どうも気が引ける……。――――メイスン!」


 彼は突然、メイスンを呼び付けた。


「はい!!」


「真鈴を呼んでくれ。現状報告をしてほしい」


「はい!!」


 メイスンは大急ぎで荷物置き場と化した部屋の隅から、緑の魔法石を取り出してロクサーノに渡した。


「持って参りました」


「ありがとう」


 魔法石を受け取り、ロクサーノは石に話しかけた。


「真鈴、聞こえるか。話がある」


 すると、魔法石が光った。ロクサーノは石を床に転がす。魔法石は白い光を吐きだし、光は人の形を作り――――金髪のツインテールを巻いた、青目の少女――シルラが物置で会ったあの少女が現れた。今日は黒いドレスを着ている。


「何? 急用?」


「アンブランテの門についてだ。復旧はどのくらいかかりそうだ?」


「アンブランテの? そうねぇ……。ていうかさ、復旧までどっか宿取ったりできないの?」


「ああ。顔が知られてるから宿を取るのは気が引ける。デイ・ルイズが終わるまでになんとかなりそうか?」


 真鈴は静かに首を横に振る。


「今はまだわからない。少しずつ使える門は増えて来てるけど、それでもまだほんのわずか。門の中枢となる所がなんとか元に戻ったから、徐々に復旧するはずよ」


「それはどのくらいだ?」


「だから、わからないってば」


 呆れた顔をして真鈴は言う。


「そうか……。ならいい。忙しい所悪いな」


「ほんと、いい迷惑よ。愛しの王女様を早くお助けになりたいのはわかるけど」


 そう言って真鈴(の幻影)は、魔法石の中に戻って行った。


 それから少し間を置いて、ロクサーノは言う。


「――――メイスン、魔法石を片付けておいてくれ」

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