3.激しいのがお好き
連日猛暑が続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
私はとりあえず生きてます。
さて、掲題の件、今夜は好きなヒロインについて熱く語ってまいります。
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> 激しいのがお好き <
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とまあこのように、タイトルで既にお伝えしてしまっていますが、私、激しいヒロイン好きなんですよ。
私はスタジオジブリ作品が好きなんですが(てゆうか嫌いな人っているのかな。あ、でも最近の作品はよく知らないんですけど)、ジブリのヒロインって結構みんな内に激しさを秘めていて、そこにめっちゃ惹かれます。
ナウシカしかり、シータしかり、ヒロインが激しさを露わにするあの瞬間が、息をのむほど美しいと思う。
ナウシカなんてさぁ、慈悲の心が服着て歩いてるみたいな人格者なのに、そんな人が見せる荒ぶりとかもう。
ヒロイン、と言っていいかどうかは分からないですが、クシャナ様もかなり好きです。あの人絶対激しいから。
いつもフフンて感じで斜に構えてて、いかにも軍事国家の王族って感じで余裕たっぷりで、フルで激しさに身を任せてるとこなんて見たことないですけど、荒ぶる姿とか絶対ゾクゾクするほどかっこいいはずだ。
意見の衝突とかで、いきなりナウシカを壁に押しつけてすっごい顔近づけて睨んでほしいです。
激しさを直接描かずとも、それを垣間見せるスタジオジブリさんすごいですね。
ラピュタのドーラもいいんだよな~。
激しい女には不敵な笑みが良く似合う。
冷静さと激しさが同居してるドーラは、若い頃から身をもっていろんな経験を積んできたいい女です。
あの年齢の女性にしか出せない味も好き。
私の中のジブリキングオブ激しいは「かぐや姫の物語」のかぐや姫で、彼女が感じる息苦しさ、その情の強さ、俗世の理屈を知りもしない無垢、それ故の容赦のなさ、すべてが私の心を鷲掴んで離さない。魂が求める自由に向かって、まっすぐ荒ぶる彼女の姿がひたすら愛おしい。最後、月に帰っちゃうのがまた切ないですね。
結論:いいよね、激しいヒロインって。
私、寝起きの美形男に馬乗りになって、本気で首に手をかけるヒロイン書いたことあるんですけど、彼女は間違いなくこの系譜に連なる子だと思います。
さあ激しいヒロインまだまだ行くよ!
皆さんは中国白話小説の紅楼夢をご存知でしょうか。
栄華を極めた清朝の大貴族が没落する話なんですけど(はしょり過ぎ)。
これに出てくる美少女の一人、尤三姐の激しさといったら。
三姐はずっと片思いしていた柳湘蓮と婚約することになったんですけど、この男は三姐が賈家(主人公・賈宝玉のおうち。放蕩三昧と放漫会計で没落していく)に身を寄せていることを知った途端、こんな性的に爛れた家で暮らしてる娘なんてどう考えても事故物件だろ、と婚約をなかったことにしようとするんです。
「実は、実家が知らない間に結婚相手を見つけててぇ」と苦しい言い訳で逃げようとするのを物陰で聞いていた三姐、愛する男がやっときてくれたと思ったら、彼は三姐が淫蕩であると思い込み、どうあっても彼女との婚約を破棄したいご様子。絶望です。
この後の彼女の行動をまぁお聞きなさいよ。
彼女は一瞬で覚悟を決め、柳湘蓮の前に出ます。
そして、はらはらと涙を流しながら、「この私の純潔、命で証明してやらァ!」と持っていた剣を首に当て、止める間もなく首を斬って死ぬのです。
何という、この激しさ。
死を賛美する訳では決してないですが、読む者の胸を打つ。
柳湘蓮は秒で己の過ちに気づきます。
その後の彼の後悔と落ちぶれは良かった。男側がこんな風にやらかしに気づいてどん底に落ちるって、現実でも物語でもあんま見ない気がするけど、たまにはこんなこともあるんですね。
激しくて純粋で、哀れな三姐。
紅楼夢には気の強い美女がわんさか出てくるんですが、激しさという点では三姐が突出している気がします。
そして私が惹かれるのは三姐みたいなタイプの子なので、やっぱ私は激しい子が好きなんだなって思います。
できれば幸せになってほしかった。
せめて来世。来世は幸せになってくれ、三姐。
反省した柳湘蓮と結ばれてもいいし、「しょーもない男だったな」で忘れ去ってもいいし、どっちでもいいです。幸せであれば。
さて、こんだけ好き好き言っといてあれですけど、激しければ何でもいいって訳でもなくて。
映画「ベティブルー」のベティは何か違うと思う。
身勝手な理由で人を殴ったり人んちに火をつけたり、あれはただの迷惑女です。あれはああいう女性がツボな男がフィクションとして楽しむ話でしかない。
でも、説明難しいんですけど、一概に迷惑系をひとくくりにして切り捨てるのもそれはそれで違ってて。
イシュタルとか、迷惑系でしかないのに何か分からんけど気になっちゃう。メソポタミア神話の愛と戦の女神なんですけど。
イシュタルは強欲で残忍、男を、というより男の人生や命を平気で弄ぶ。でも、これっぽっちも自分が悪いと思ってなくて、感情表現が素直っちゃ素直。
男性から見た女性って、いろんなものを取っ払って、原始の部分を剥き出しにしたらこんなもんなんでしょうか。神話って妙に本質捉えてたりしますもんね。
そして、イシュタルは残酷でありながら、惜しみない愛を注ぐ存在でもある。イシュタルの動きって、人間にとっての自然そのものです。破滅的な天災も、豊穣な実りも、毎年の春も与える存在。
自然ですから、その激しさは奪う/与えるどっちに向いても容赦がない。自然=女性性と捉えた場合、イシュタルの取っ散らかった性質に矛盾はありません。
究極、最後は神話の女神だしなで終わるし。
ここまで来るとスケールのデカさに押し切られる感じでしょうか。
自分の中の倫理観が、イシュたんはナシだと言っているのに、原始に惹かれる本能が勝手に吸い寄せられてしまう。
恐ろしい……。激しめヒロイン……。
でも好きだ。惹かれるんだ。
イシュたんはともかく、激しめヒロインたちの激しさは、まるで生命の輝きのようで。
そのきらめきから一秒でも目を離すのがもったいなくて。
何なら、激しければ激しいほどいい。
ヒロインは激しくてなんぼです……!!!!
無意思無個性なヒロインなんて、読んでて何が楽しいの?
結論:やっぱり激しいのがお好き。
私はこれからも激しいヒロインたちに心揺さぶられていきたいです。