恋愛ゲームの主人公、湖に落ちる。
馬に乗って湖へ朝早く行くけれど‥、
昨日の雨のお陰で緑の新緑は輝いているし、風は爽やかだし、高い目線での移動は楽しいし、控えめにいっても最高である。
「気持ちいいですねぇ〜〜」
「そうだな」
「あ、ルルクさん。もう湖が見えてきましたよ!やっぱり早いですね」
「‥また馬で来るのもいいな」
「ふふ、そうですね。レトさんに今度お礼をしないとなぁ‥」
歩いていくと、そこそこ時間が掛かるけれどやっぱり馬の移動は早かった。
馬を繋ぐ場所があるので、そこまで移動してからルルクさんに下ろしてもらった。‥荷物よりはやっぱり丁寧だったかも?
「いい天気で良かったですねぇ」
「ああ、そっちで食べてから採取するか?」
「はい!朝ご飯楽しみ〜〜」
「‥お前なぁ‥」
ルルクさんはふっと笑って、木の下に布を広げてくれた。
丁度木々で地面が濡れてない場所を選んでくれて、流石よく見てるな〜なんて感心しながら一緒に横並びに座って、湖を見ながらの朝食である。
「う、うわぁああああ、なんかすっごく幸せな朝食タイムだぁああ!!」
「‥そうなのか?」
「そうですよ!朝陽でキラキラしてる湖を見ながら、最高に美味しい朝食ですよ?すごく嬉しいです!」
にこーっとルルクさんに笑いかけると、ルルクさんはちょっと目を丸くしてからふっと笑う。
「‥そうだな」
「そうですよ。あ、ルルクさん、お菓子も持ってきたんです。植物を採り終えたらお茶しましょうね」
この間ルルクさんに飴をもらったから、今日は私が用意した飴の袋を見せるとルルクさんが急に私の頭をわしゃっと撫でた。お、おっと?突然どうした?私が驚いた顔をしてルルクさんを見上げると、ずいっと布に包まれていた朝食を手渡された。
「その前にちゃんと朝飯を食え。ほら、これ」
「ありがとうございます。わ、バゲットだ!チーズと生ハム入ってる!え、豪華過ぎません??!」
「少しは落ち着いて食え‥」
「美味しい〜〜!」
「‥お前なぁ」
もぐもぐと美味しい朝食を食べると、ルルクさんも眉を下げて笑ってサンドイッチにかぶりついた。
「美味いな」
「何をそんな当たり前のことを」
私の言葉にルルクさんが可笑しそうに微笑む横顔に、思わず心臓が鳴った。
あ、危ない!!暗殺者の微笑みを見て勝手に心臓がまずいことになってどうする!慌てて目の前の湖を見て、ひたすらサンドイッチを食べるけれど、さっきは美味しいと思っていたのに、今は味がなんだかよく分からない‥。
どうしたものかなって思っていると、後ろから誰かがこちらへ駆けてくる。
私とルルクさんで後ろを振り返ると、初老の品の良いスーツを着た男性が真っ青な顔で私達の方へ駆け寄ってきた。
「すみません!!この辺りで紺色の髪をした男性を見ませんでしたか!??」
「男性?」
「少し、気落ちされいて‥、一人にしないようにと‥」
なんだかただならぬ雰囲気に私はサッと立ち上がる。
「一緒に探します!紺色の髪の男性ですね?お年は?」
「え、いや、そんな‥」
「一人にしない方がいいなら、手分けした方がいいです。私もここは多少知ってますから」
「そ、それでは‥お願いします。年は20歳くらいで、背はそのお隣の男性より少し低いくらいです」
「わかりました。ルルクさん!」
「はいはい。どっちは見てきたんだ?」
「あちらから‥、まだそっちの方は見てません」
初老の男性が指差した方は、船着き場の方だ。
私とルルクさんが顔を見合わせ頷く。
「わかりました。私達はそっちの方を見てきます。15分したらまたここへ戻ってきますから、その時まで見つからなかったらすぐギルドに知らせましょう」
「は、はい、お願いします!」
そういって、私はすぐに船着き場の方へルルクさんと走っていく。
確かあの辺りは見晴らしのいい場所もあったから、そこから探せば見つかるかも‥なんて思っていると、林の間に男性のシルエットが見えた。
「いた‥!」
「あ、おい、ユキ!!」
林の中を突っ切って、男性の方へ走って行くと、少し高い場所に立っていた男性が地面に屈んだ。
「ちょ、ダメーーー!!!」
グイッと岸の方へ引っ張った‥んだけど、男性は重かった。
ぐらりと体が傾いて、一緒に湖の中へ勢いよく私とその人は落っこちた。
いっっっっっっっっっつも思ってるんですけど、本当いいねを
ありがとうございます!!(湖に落ちたユキを見つめつつ‥)




