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恋愛ゲームのシナリオはログアウトしました。  作者: 月嶋のん
恋愛ゲームのシナリオはログアウトしました。
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恋愛ゲームの主人公は気持ちを隠す。


ルルクさんは有言実行の暗殺者だった。

いや、本当は元戦士なんだけど、どっちにしろ一度決めたらしっかりと遂行するタイプらしい。


トイレとお風呂と朝の見回りでいない時以外は、ほぼ移動しようとするとすぐに察して、私の体を抱き上げる。


「いや、本当勘弁して下さい!!」

「反省がまだ足りない」

「反省しましたってば!粉塵爆発は流石にもうしませんって!」


っていうか、恋愛ゲームの主人公が粉塵爆発起こすってどんなアクションゲームだよ!??って思うけども、もうそんな展開はないと思う。っていうか、お断りである。


明日はお祭りだし、お手伝いで忙しいのでは?

なんて思って、ルルクさんの朝の見回り中に部屋を掃除していたんだけど、暗殺者は爆速で帰ってきた。私は作業部屋に道具をしまいに行こうとしたところで見つかり、あえなく捕まって早速抱き上げられた次第だ。



「‥ちょっと掃除しておこうかなって思っただけなのに」

「腕と足を怪我したろ」

「白魔術師さんにちゃんと手当してもらったから大丈夫ですってば!昨日一晩、ちゃんと寝たし。傷はもうそんなにないし‥」

「あ?」

「嘘です。すみません。ちゃんと休みます」



ルルクさんにジロッと睨まれる主人公。

私は恋愛ゲームの中ではモテモテだったのに、現在は暗殺者に睨まれているとか‥。人生ってちょっとおかしくない?


「休むねぇ‥。時間があれば紋様液を作ろうとするわ、片付けしようとするわ‥」

「い、いや、真面目な性格ですから、動けるのに何もしないっていうのはちょっと性格上無理っていうか」

「‥まるで反省してないだろ」

「してますってば〜〜〜!!」


ジッとルルクさんに見つめられると、それはそれで恥ずかしいんだぞ?

知ってるか?私の感情の蓋がガタガタ言っちゃってるの?

いや、やっぱり知らなくていい!!



「‥ルルクさん、見回りはもう大丈夫なんですか?」

「終わった。明日は祭りに普通に参加する」

「え?警備に?」

「‥誰が、誰に奢るって言ってたんだ?」

「‥私が、ルルクさんに奢らせて頂きたく存じます」

「ちゃんと覚えていて結構」



私の言葉にルルクさんがふっと笑う。

だから〜〜!!!その顔心臓に悪いからやめてくれ‥。


「じゃあ、お昼まで時間もありますし、何を買うか考えますか」

「‥そうだな」


ルルクさんはそういうと、作業部屋にある紋様の道具にチラッと目をやる。



「‥その前に蝶を描いてもいいか?」

「え?」

「誰かさんがすぐに危険な目に遭いにいくからな」

「うっ‥。あの、でも本当に?」

「‥お前みたいに上手くは描けないだろうし、魔力の込め方も知らないけどな」



ちょっと目を逸らしつつ、そう話すルルクさん‥。

そういえば馬車の中で「蝶を描いておけ」って言ってたけど、まさか自分が描くなんて言ってくれるなんて思ってなかったから‥、じわじわと嬉しい気持ちが胸の中一杯に広がっていく。


嗚呼、この気持ちに蓋をするの‥本当になんとかなるだろうか。

だって毎日一緒にいるのに、今はピッタリと離れまいとするルルクさんだよ?こんなの勘違いしちゃうでしょ‥。それでもどうにかこうにか自分の気持ちを押さえつけて、私はルルクさんを見上げる。



「‥じゃあ、蝶描いて欲しいです」

「おう。何色がいい?」

「そりゃルルクさんと同じ色でしょ。お揃いにします」



気持ちは絶対伝えない。

だって死亡フラグだけは絶対回避したいし。

でも、せめてお揃いくらいは‥いいよね?そんな自分の気持ちを隠して、ルルクさんに笑いかけると、ルルクさんのコバルトブルーの瞳が嬉しそうに細められる。



「いいぜ、お揃いの色にしてやる。ただお前の料理と同じで上手くないからな」

「もう!!そこは頑張りますの一言だけでいいんです!!」

「はいはい、じゃあリビングに行くか」

「じゃあ降ります」

「降りなくていい。祭りが終わるまで地面に足をつけなくていい」

「そんな!!私の足腰が弱ったらどうするんですか!」

「‥‥そうしたら、ずっと抱きかかえてやるよ」



ルルクさんの衝撃的な言葉に目を丸くして、まじまじと見つめるとルルクさんが吹き出した。



「それとも、おんぶがいいか?」

「歩きます!!!!!」



本当に!本当に暗殺者は心臓に悪い!!

私は赤くなってしまった顔を誤魔化したくて、ルルクさんから顔を逸らしたけれど‥、バレてない、よね?バレてないと言ってくれーーー!!!





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