恋愛ゲームの主人公はダイハード。
暗がりから突然現れた暗殺者がものすごい速さでこちらを追いついてくる!!
このままでは確実に死ぬ!!いや、絶対に死ぬ!!確信を持って洞窟の中を駆け抜けると、アレスさんが私の手をぐいっと横に引っ張ったかと思うと、後ろの天井に風の魔術だろうか風を巻き起こすと、ドン!!と大きな音が響き、天井がガラッと音を立てて崩れた。
「くそ‥!」
岩がガラガラと崩れた向こうで、声が聞こえて、
「魔術師を呼べ!」
「ここで仕留める」
と、大変物騒な呼びかけが聞こえて、私はもう足がガクガクである。
無理〜〜〜〜!!!!怖い〜〜〜〜!!!!
だけどここで逃げないと確実にやばい!
アレスさんを見上げると、アレスさんも真っ青である。
だよね!!普通はその顔で合ってると思う!主にルルクさんなんてサラマンダーを見てもへっちゃらな顔をしてたから、この世界の人間ってそんなものなの?って思ってたけど、やっぱり違うよね。
なんとか足を奮い立たせ、私はアレスさんに小声で話す。
「アレスさん、ちょっと聞きたいことが‥」
「はい、なんでしょう?」
「出口はもう少しですか?」
「ええ、あと少しすれば‥町外れに出ます」
町外れ‥。
運よくここを出ても、また追われる可能性もある。
しかも今はルルクさんもいないし、騎士もいない。どうする?何かどうにか確実に逃げられる方法はないか‥。
「アレスさん、ちょっと相談があります」
「は、はい?」
「ひとまず逃げながら話します。行きましょう!」
アレスさんの手をグイッと先に走って引っ張っていく。
もしかしたら、どこかで恋愛フラグが立ったのか?って思ったけれど、アレスさんの話を聞く限りでは、そんな感じはしない。ということは、もしかしたら生き延びられるかもしれない。そう考えて、私はアレスさんにいくつか相談をしながら出口を目指す。
どうにかして絶対生き延びる。
ルルクさんに帰ってきてって言ったくせに、私が帰ってこなかったら誰がルルクさんの手首に蝶を描くというんだ。その役目はできれば私がやりたい。
と、洞窟の出口だろうか、淡く縦に線が入っている場所が見えた。
「出口です!そこを開ければ出られます!」
アレスさんの声に私は頷いて、扉を開けようとすると、私の目の前にドスン!!と、小さなダガーが突き刺さった。
「‥残念だったな。出る前にここで死んでもらう」
後ろを振り返ると、黒ずくめの男が私とアレスさんを睨んで立っている。
瞳の色までは見えないけれど‥、ルルクさんじゃない事だけは確かだ。そこにホッとして、私はアレスさんを庇うように前に立つ。
「‥そうはさせません」
「そうか。それでは、し‥」
「アレスさん!!」
アレスさんの名前を呼んだ瞬間、後ろの扉がバタンと大きく開き、風がごうっと音を立てて私の後ろから一気に洞窟の中を流れ込んできた。
「今です!!」
私の叫び声と共に、アレスさんの指から小さな火が黒ずくめの男達に向けられた瞬間、ものすごい轟音と衝撃が洞窟の中に響き渡り、私とアレスさんはその勢いで思い切り外へ押し出された。
ドサリと草地に私とアレスさんが倒れ、私はものすごい衝撃があった洞窟を見た。洞窟が食料庫として使われていたって聞いて、もしかして出来るかな?って思ったけど、大変よくできたらしい。
粉塵爆発。
私もアレスさんも魔術は得意じゃないけど、小さな火と風ならアレスさんができるって言ったから‥。それにしてはすごい威力になっちゃったな。
洞窟の中は、もうもうと黒い煙が上がっていて、中はすごいことになっているだろうと思ったけど‥、頭があまりの衝撃にクラクラしてよく考えられない。横で倒れているアレスさんは目を回しているのか、倒れてはいるけれど唸っているから大丈夫、かな?
ゆっくり体を起こして立ち上がろうとするけれど、足がフラフラする。
早く誰かを呼んでこないと。
アレスさんを助けてもらわないと‥。
ぐらっと足がもつれて、木で体を支えようとしたのに、体がそのまま木をすり抜け、私の体はそのまま林の奥‥小さな崖に飲み込まれるのように落ちていった。




