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恋愛ゲームのシナリオはログアウトしました。  作者: 月嶋のん
恋愛ゲームのシナリオはログアウトしました。
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恋愛ゲームの主人公なのに攻略対象お断り。


ルルクさんとギルドに着くと、紋様のお客さんがすでに待っていてくれて早速仕事を始める。


洞窟の調査を皆終えて、今は採掘作業が進められているらしい。

採掘作業をしている人達が、色々教えてくれたけど、今回は珍しい魔石が多く発見されているらしく、指揮を取っているタリクさんはそれは楽しそうに発見された魔石を眺めているらしい。うん、想像できる。



「それでさ〜、なんでもタリクさんの友達もこっちへ来るらしくて、魔石好きが更に増えるのか〜?って話してたんだよ!」

「ふふ、それはそれで楽しそうですね」



‥なんて会話してて、ふと思い出した。

友達って、もしかしてアレスさんの事じゃないか?!

宰相の息子でもあるアレスさんは、王城へも度々行って仕事の手伝いをしてたし‥、王子ともタリクさんとも顔見知りだったはず‥。別荘を友達に自慢したって言ってたし、その可能性もある。


それにしたってなんで攻略対象がここにいるんだって思うけど、そもそもここは恋愛ゲームの世界だった‥。でも、あの様子からすると恋愛の「れ」の字もなさそうだし、安心かな。お客さんに暗い中でも視力が上がる紋様を描き終えると、本日の仕事は終了である。



「はい、完成です。お仕事頑張って下さいね」

「ありがとう!これお代ね〜」



色々教えてくれたお客さんはにこやかにギルドを出ていき、私はその後ろ姿を見ながらホッと息を吐く。よし、仕事終わり!次はレトさんと打ち合わせだ。仕事道具を籠の中に仕舞っていると、早速カウンターの奥からレトさんがやってきた。


茶色の髪を後ろに撫で付けているけれど、今日はちょっと疲れた顔をしている。


「お疲れ様です。大丈夫、ですか?」

「いや〜〜、ちょっと大変だな」

「何かあったんですか?」

「ああ、まぁ祭りの事でちょっとなぁ‥。ユキ、ルルク、こっちに来て貰っていいか?」


奥の部屋を指差すので、何かあったのかな?

私とルルクさんは顔を見合わせると、レトさんのいう部屋へ一緒に入っていく。

こじんまりした部屋にはソファーのセットがあって、私とルルクさんは大きなソファーに一緒に座り、レトさんはどっかと一人用のソファーに座った。



「‥春のいつもやってる祭りがあるだろ?春の目玉といえばお菓子なんだが、タリクさんが王都から評判の職人を連れて来てくれたんだが、手が足りなくてな‥」

「え?他の村の出店は?」

「そっちは大丈夫なんだが、どうも貴族達がタリクさんが連れてきた職人のお菓子の噂を聞きつけてな‥、すでに注文が殺到してるんだ。でも祭りまであと1週間だろ?時間も手も足りないんだ」



そ、そんなに人気なの??

私が目を丸くすると、レトさんが私に手を合わせる。


「頼む!!紋様もだが、お菓子作り手伝ってくれ!」

「え、ええ??私ですか?」

「‥全部焦げるぞ」

「ちょ!!ルルクさん!??」

「‥ルルクも手伝ってくれるか?」

「え、ルルクさんがお菓子???」

「‥だって、ルルクはユキから離れないだろ」

「そんなことはないと思いますけど!??」


な、なんてことを言うんだ??

驚いてルルクさんを見上げると、ルルクさんが可笑しそうに目を細めた。

否定も肯定もできない私を完全に面白がってるでしょ!赤い顔でジロッと睨むけれど、ルルクさんは静かに頷いて、



「‥こいつがお菓子を全部ダメにしない為にも手伝う」

「い、いいんですか??お菓子ですよ!?」

「お前こそ大丈夫なのか?売り物だぞ」

「う、うう〜〜〜〜!!!最高に自信がないです‥!!」



レトさんがちょっと可哀想なものを見るような目で「箱詰めの仕事もあるぞ」って言ってくれたけど、恋愛ゲームの主人公なのに!!お菓子も作れないとか!!!ちょっと涙目で頑張りますって言ったけど、切ない‥。



「ところで職人さんのお名前って‥」

「ああ、アレス・オースティンさんだ!」

「やっぱり無理です。ごめんなさい」

「なんでだよ!!頼むよユキ!!若い奴らは祭の準備で忙しくて、手が本当に足りないんだよ!」



でも嫌だ。嫌だったら嫌だ。

だって攻略対象なんだよ!!これ以上の接触は御免こうむるんだよ!!

と、レトさんがサッと手を上げ、



「‥‥祭り当日も手伝ってくれるなら、金貨1枚出す!!!」

「金貨?!!」

「頼む!!!タリクさんから今回の祭り、結構出資して貰ったんだ!」

「えっ‥、そうなんですか?」

「友人のお菓子を売る場を提供したいらしい」



そうなの??

だってアレスさんって確かにお菓子作りが実は好きで、一緒に作ったりするイベントはあったけど、ストーリー通りなら王城で文官をしているはずなのに‥。目を丸くしていると、レトさんが手早く契約書を出したかと思うと、「そんな訳で頼む!」と判子を押して私に渡した。ちょ、ちょっと〜〜〜!??




レトさん、町内会の行事も任されるので、

「町内会でどうにかしてくれ〜」って泣いてます。

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