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恋愛ゲームのシナリオはログアウトしました。  作者: 月嶋のん
恋愛ゲームのシナリオはログアウトしました。
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恋愛ゲーム主人公はお子様‥?


いつも料理を作ってくれて、守ってくれているルルクさんにお礼をしたはずなのに、何故か蝶々の髪留めをプレゼントされた私‥。お礼をしたはずが、速攻で返された‥。でも嬉しい。



複雑な自分の心を誤魔化すように、朝起きてすぐに顔を洗った。

昨日は、ハンモックにはしゃいでルルクさんと抱き合うような格好になって、私の心の中はそれはそれは大変なことになったんだけど、ルルクさんは顔色一つ変えなかった。‥うん、そうだよね。大人だしね‥。


それはそれでいいじゃないか‥。

恋愛フラグが立ったら、私の死亡フラグも立つんだし。

そう思うのに複雑たぁ、本当に乙女心って奴はよ‥と、思わず遠くを見つめてしまう。



と、鏡の前の小箱に置いた昨日貰ったばかりの蝶々の髪留めが目に入る。



ルルクさんが気に入って自分だけの紋様にしてくれと言った黄色の蝶の髪飾りをプレゼントとか‥、変に期待してしまうけれど、きっとそんな感情ないんだろうなぁ。ただ自分が気に入っているから買ってくれたんだろう。そう自分に言い聞かせて、蝶々の髪留めをそっと撫でる。



「‥ルルクさん」



そっと名前を呼ぶと、胸がぎゅうっと痛くなる。

うう、ダメだ!ダメ!!ルルクさんをこれ以上巻き込んだら、それこそダメだ。

目を閉じて、気持ちに蓋をする。漬物石、多分増量しないとダメだ。ドカドカと置いたイメージをしてから、パッと目を開ける。うん!きっと大丈夫。


気持ちを切り替えて、せっかく頂いたし‥と髪留めでハーフアップにする。


蝶々がちゃんと見えているか鏡で確認してから、リビングへ行くとキッチンから物音がする。あれ?ルルクさん、もう起きてたの?キッチンを覗くと、ルルクさんが何やらお鍋を見て煮込んでいる。



「おはようございます。早いですね」

「おう、今朝鳥が獲れたからな。煮込んでる」

「‥獲れたっていうか、狩ってきたんでしょう‥」

「そうともいうな」



お鍋の中を覗き込むと、首が綺麗に落とされた鳥が二羽。

oh‥、綺麗に落とされている首‥。

ヒンヤリとする自分の首筋に今日も無事、生き残れますように‥と思わず祈ってしまう。


「‥夕飯に食べようと思ってな。好きだろ」

「基本ルルクさんの料理はなんでも好きですけど、鳥のスープ大好きです」

「そうか」


ふっとルルクさんが両目を細める。

あ、今日はまだ眼帯してなかったのか‥。

家にいる時でも、朝には眼帯をしていたルルクさんも、最近は家を出るまで眼帯を外している事が多くなった。‥そこはきっと信用をして貰っているかな?なんて思うと、嬉しいんだけど‥落ち着け!!私の心臓!!



「また百面相してる‥」

「乙女には色々事情ってもんがあるんです!」

「そうかそうか乙女は大変だな」

「もう!絶対そんな事思ってないくせに‥」



ちょっと口を尖らせると、ルルクさんが可笑しそうに目を細めた。

くそ、今日も心臓に悪い暗殺者め!


「あ、そうだ。朝食を食べたらタリクさんから頂いたクッキーも食べましょうか」

「‥そうだな」


昨日の夜、ハンモック事件のせいでなんだか緊張してしまって夕飯の後に食べようと思ってたのに、すっかり頭から抜け落ちてたんだよね‥。流石に昨日の今日でタリクさんに紋様を描いて欲しいと言われることはないと思っても、顔を合わせた時にちゃんとお礼を言いたいしなぁ‥。


戸棚に仕舞っておいたクッキーの箱を取り出すと、ふんわりと甘い香りがする。

いい匂いだなぁ〜。お菓子ってまさに幸せの匂いだよね。


そっと蓋を開けると、クッキーの真ん中にジャムが宝石のようにキラキラと光っている。確かに見ようによっては魔石に見えるかも?タリクさんの想像力にクスクスと笑っていると、ルルクさんがベーコンと見事な焼き加減の目玉焼きをお皿に乗せて持ってきてくれた。



「わ、すみません!お皿運びます」

「‥こぼすなよ」

「大丈夫ですってば!」



一体どれだけドジっ子だと思ってるんだ‥。

じとっと睨んでから、私はお皿を受け取ってそっとテーブルに置くとドヤ顔でルルクさんを見上げると、無言でルルクさんに頭を撫でられた。‥うん、完全にお子様扱いだな、これは。





鳥のローズマリー焼きもユキは好きです。

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