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恋愛ゲームのシナリオはログアウトしました。  作者: 月嶋のん
恋愛ゲームのシナリオはログアウトしました。
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ルルクさんと一緒に高台まで登っていくと、今日も誰もいない。

お陰で素敵な景色を二人占めである。

大きな木の下にあるベンチへルルクさんといくと、決まったように定位置に座る。なんだかんだでルルクさんがここへ来てから1ヶ月経ったけれど、随分と落ち着いて過ごせるようになったな。



「ほら、サンドイッチ」

「ありがとうございます!美味しそう〜〜」

「またこぼすなよ」

「‥ちゃんと気をつけます!」



何かといえば、私のことを子供扱いするんだから‥。

まぁ私より年上だろうし、そりゃそうか。

心配してくれるのは嬉しいけれど、対象外なんだろうなぁと思うと、それはそれで悲しい‥って、いやいやそういうのなし!なしだから!!慌てて頭の中からそんな考えを追い出すように、ルルクさんから受け取ったサンドイッチにかぶりつく。


ジュワッと肉汁が口の中に広がって、思わず顔がにやける。


「美味しい〜〜〜!!!!」

「‥お前、毎回言うな」

「当たり前ですよ!美味しい物を美味しいって言わないなんて食材にも作り手にも失礼です!」

「そうかい、そうかい」

「なんでそう呆れたような顔をするかなぁ‥」


もぐもぐと美味しいサンドイッチを食べられて、私は大変幸せなのに。

私も何かルルクさんにしてあげられればいいのに、ルルクさんは「蝶を描いてくれればそれでいい」と大変無欲だし。私に至っては料理は下手だし、家事もそこそこ‥。と、仕事道具の入っている籠に入っているタリクさんから頂いたメモ帳を見て、ふと思い立つ。



「ベッド‥」

「あ?」

「ベッド、大きいの買いません?」



水を水筒から飲んでいたぶっとルルクさんが吹き出して、私をまじまじと見つめた。え、なんか変なこと言った?


「あの、今リビングのソファーで寝てるから‥、それなら作業部屋にベッドを置いてちゃんと寝たらどうかなって‥」

「‥‥‥そうだよな、お前はそうだったな」

「え!?なんか変な事だったんですか?」

「‥‥大丈夫だ」


本当に??

私はまたてっきり何かまずいことを言ってしまったのかとハラハラしてるんですが?ルルクさんは水で濡れた口元をちょっと拭うと、


「‥別にいらねぇ」

「ええ!?でも狭いじゃないですか。それに今はまだ春だからいいけど、冬になったら寒くなるし‥」

「‥冬、ねぇ‥」


私の言葉を聞いて、ルルクさんがじっと私を見つめる。

ん?何かまた変なことを言った?

私もルルクさんを見つめると、コバルトブルーの瞳が私を可笑しそうに見ている。な、なんだよ‥、寒くなったら困るかなって思ったのに‥。



「‥ベッドはいらねぇ」

「ええ‥」

「それならハンモックが欲しい」

「ハンモック!!」

「‥それなら、片付けも楽だしな」

「そうなんですか?っていうか、それでちゃんと寝られるんですか?」

「まぁ、よく使ってたからな」



そうなの?!

私が目を丸くすると、ルルクさんが小さくふっと笑う。


「この間、雑貨屋で売っているのを見たから、食材買うついでに寄ってみるか」

「はい!あ、じゃあ私が買います!!絶対買います!!」

「はいはい、好きにしてくれ」

「なんですか、それ。もう!可愛い色にしてやるんだから!!」


ジロッと睨むと、ルルクさんはそれは可笑しそうにまた笑った。

…本当、無欲だよなぁ。ベッドの方がいいと思うんだけど‥。とはいえ、それがいいと言ってくれたのは嬉しい!早速お昼を食べ終えて、私とルルクさんは一緒に雑貨屋さんへ向かった。



「ああ、ハンモック?それならこっちにあるよ〜」



結構色々売っている雑貨屋さん。

時々、避暑に来た貴族の人が興味津々でハンモックを買うらしい。まさかのブルジョワも買ってた‥。


ズラッと丸められた状態で置いてあるハンモック‥。

広げてないと全然想像できない。

思わずどうしよう‥と、ハンモックを見て立ち尽くしていると、後ろでルルクさんがぶっと吹き出した。



「‥なんで笑ってるんですか。ルルクさん、どんなのがいいですかね」

「適当でいいぞ」

「もう!体が大きいんだから、どれが適正サイズとかわからないんですよ。それに好きな色とか‥」

「色は黄色だな、少し落ち着いた感じの」

「なんでそこだけ流暢に語るかな‥」



えーと、落ち着いた黄色ね。

色々置いてあるハンモックから黄色っぽいのを選ぶと、ルルクさんがそれを受け取って広げてみる。


「‥これでいい」

「わかりました!他に必要な物ってあります?」

「金具は必要かもな。あの家、しっかりしているが俺は重いから」

「確かに‥」


ルルクさんを見上げると、いつもでっかいな〜〜って思うし。



「金具は自分で買う。ハンモックだけ頼む」

「‥そっちも買うのに」

「お金は大事なんだろ?俺はこの間のサラマンダーで財布は潤っている」

「っく‥、何も言えない」



ジロッと睨んだ私にルルクさんが面白そうにコバルトブルーの瞳を細めた。

‥くそ、大人の余裕か。そんな事を思いつつ、私はいそいそとハンモックを買いに行った。





雑貨屋さん、結構目新しいものを取り揃えてあるので

観光に来た貴族さん達にも好評。

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