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恋愛ゲームのシナリオはログアウトしました。  作者: 月嶋のん
恋愛ゲームのシナリオはログアウトしました。
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恋愛ゲームの暗殺者は蝶を望む。


張り切って洞窟調査するぞーー!!とタリクさん。

しかし、流石にでっかいサラマンダーが出たばかりなので危険だとギルドの剣士さんや魔術師さん達に説得され、今日のところは引き揚げる事になった。しょんぼりしてたけど、先生‥洞窟は逃げないから。



それに白の魔石はきっと先生一人でも光を発すると、その内解明できるだろう。そうなると、電気代も安くなって助かるって、いやいや問題はそうじゃない‥。



膝の手当てをして貰って、ルルクさんとまた一緒に馬に乗ってギルドまで皆と帰る事になったけど‥、私の前を馬に乗って移動するタリクさんの背中を見て複雑な気持ちになる。恋愛ゲームのシナリオは破綻していたと思っていたのに、今回はまさかの伏線回収だったんだろうか。それとも偶然?これからもタリクさん以外のキャラクターに私は出会う事になるのか‥?



っていうか、何がきっかけで恋愛フラグと死亡フラグが立つの?

攻略サイトを今すぐ見たい!!だけど今すぐ泣きたい気落ちを私はグッと堪えた。



‥だって今、心なしか無言のルルクさんから怖い空気が出ているんだもん。こっちはこっちでなんでまだ怖い空気を出してるんだよ〜〜!謝り足りないってか?!私は勇気を振り絞ってそっと後ろを向いた。



「‥あの、もしかしてまだ怒ってます?」

「‥‥‥怒ってない」

「本当ですか?あの、でも今日は本当に申し訳ないと思っているので、せめて夕飯は私が」

「お前じゃ焦がすだろうが」

「うう〜〜!もう!じゃあ何か‥、何かして欲しい事とかあります?」



焦がすのは確定なので、せめて何かして欲しい事でもするよ。

肩を揉むとか、洗濯を代わりにするとか、お風呂を洗うとか?

ジッとルルクさんを見上げて「何がいいですか?」と、聞くとルルクさんはそれはそれは呆れた顔をして私を見て、



「‥お前、それ他の奴に絶対言うなよ」

「え?ダメですか?いいアイデアだと思ったんですけど」

「やめておけ。絶対やめておけ」

「ええ‥、でもルルクさんにお礼というかお詫びを‥」

「あんな無茶を今後しなければ、それでいい」

「もうしませんよ‥、流石に怖かったし」

「そりゃ良かった。えらい、えらい」



‥この人は〜〜〜!

すぐにそうやってホイホイと流すんだから‥。

ぶすっとむくれた顔をすると、ルルクさんが私のお腹に手を回すと、また自分の方へ引き寄せる。ちょ、ちょっと?!ちゃんと座ってたはずですが?赤くなりそうな顔をなんとか誤魔化そうと前を向くと、ルルクさんが私の耳元にそっと顔を寄せる。



「‥蝶は、俺だけにしておいてくれ」



低い声が耳元で響いて、私の体が思わず固まる。


「え‥っ?」

「俺だけの紋様にしておいてくれ。それでいい」


思わぬ提案に、私は視線だけ動かしてルルクさんを見上げると、ルルクさんの緑の瞳が面白そうに細められた。‥緑の瞳も綺麗だなって思うと同時に、自分だけの紋様にして欲しいという願いに私の胸がギュッと痛くなる。ああ、この気持ちにちゃんと蓋をしておかないといけないのに‥。



「‥じゃあ、蝶はルルクさんだけにします」



そう言って、また真っ直ぐに前を見ると、耳元でふっと笑う気配がした。

ジクジクと痛む胸を、もうすぐ見えてくるであろうギルドへ向ける。この気持ちはずっと秘めておくもの‥と、自分に言い聞かせながら。



‥ちなみにまたギルドに戻ると、サラマンダーの再出現にレトさんはそれはそれは驚いていたんだけど、もっと驚いたのはルルクさんが、



「白い魔石が原因かもしれないらしいし、ひとまず洞窟でそれを取ってくる。それまではこいつを頼む」



と、私を置いてさっさと洞窟へ向かっていった事だ。

あれだけ面倒だの、やりたくないと言ってたのに‥。

ポカーンと驚いた顔をして見送った私をレトさんがまじまじと見て、「なるほど‥、その方法があったか」と呟いていたけど、どんな方法?



ともかくルルクさんが半日で白い大きな魔石を見つけて戻ってくると、タリク先生は大喜びだし、レトさんも初めて見た白い魔石に驚いていた。そして私の当てずっぽうな仮定は合っていたのか、それ以来魔物は出現してこなくて‥、またタリク先生とレトさんに驚かれた。まぁ、これは偶然の副産物でして‥。


それよりも、更に大きなサラマンダーを倒した上に、発見されていない白い魔石を見つけたルルクさんに討伐料と報奨金がたんまり出たのに私は驚いた。カウンターの上にずっしりとした重さのお金の入った袋を見てから、ルルクさんは私を面白そうに見つめ、



「買い物に行くか」

「だ、だめーーーー!!!」



思わず止めたけど‥、止めて正解だよね!??

お金は大事にしてってば!!



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