恋愛ゲーム、ネタバレ禁止?!
タリクさんに「どうしてサラマンダーが光るとわかったんですか?」と、聞かれて私は冷や汗が流れ出た。
どうしてって‥、ゲームで白の魔石を私の目の前にいる暗殺者のルルクさんに投げて、目くらましとして使ったから‥なんて言えるかーーーー!!!っていうか、先生ってば流石!着眼点が違いますね??そう思いつつ、なんて言おうかと目をウロウロさせる。
だって、もしかしたらこれをキッカケに私はタリクさんと付き合う‥なんてこともあるかもしれないし、そうなればいよいよ私の首が飛ぶかもしれないじゃないか!!
絶体絶命のピンチ?!そう思っていると、私の仕事道具が入った籠をギルドの剣士さんが持ってきてくれた。
「あ、ユキちゃん!仕事道具が入ってた籠持ってきたよ〜!」
「っへ?」
「なんか中身がゴチャゴチャになってたから、すぐ確認した方がいいかも」
「え、ええ!??」
椅子に座ったまま籠を受け取って、中を見ると見事にゴチャゴチャだ。
サラマンダーが出て慌てて走ったもんなぁ‥、と、さっきタリクさんがお礼にくれた白い魔石に紋様液が掛かっているのか、淡く光っている。
光っている‥。
さっきまで光ってなかったのに‥。
そこではっとして、白い魔石を籠から取り出してタリクさんに見せた。
「あの、これ‥」
「え?!魔石が光ってる?」
「たまたま、紋様の液が掛かって光ってるのを見て、サラマンダーが出てきた時に淡く光ってたので、もしかしたら光るのかなって思ったんですけど‥」
我ながら苦しい言い訳をしたけど、とにかく納得して下さい!とばかりに、私はタリクさんにその魔石を手渡した。
「‥白い魔石って、光を発する効果があるんですかね」
「可能性はありますね」
「あとこの洞窟、強い魔物は更に強くなるって言ってたし、もしかしたら白い魔石も関係しているのかなぁ〜〜って‥」
「素晴らしい!!確かにその仮説は検証してみる必要性があります!!」
当てずっぽうで言った言葉にタリクさんは目をキラキラさせて、白い魔石をじっと見つめる。
「これは‥、楽しくなってきました!!」
「それは良かったです‥」
よ、良かった〜〜〜!!!!
なんとか納得して頂けたようだ‥。
自分の首が皮一枚なんとか繋がった気分になって、私はそろっと首を撫でた。うん、生きてて良かったーー!!!と、タリクさんが白い魔石を自分の膝の上に載せたかと思うと、そっと私の両手を握った。うん??どうした??タリクさんを見上げると、ちょっと目を潤ませている??!
「‥実はここの所、魔石を調査したり、研究をしていても胸がちっとも弾まなかったんです」
「え、そうなんですか?」
「はい‥。時々、誰かに話を聞いて貰いたくても、なかなか難解なもので‥付き合って貰えませんしね。それで、魔石を本当に自分は好きだったのかな?とまで思うようになって‥」
‥それはもしや、私が学園にいれば話もできたし、研究も一緒にできたのに、学園に入学どころかど田舎に行ってしまった弊害、だろうか?い、いやいや、きっと偶然!うん、偶然に違いない!!引きつった顔でタリクさんに微笑むと、タリクさんはふんわりと微笑む。
「今日は、ここへ来られて本当に良かったと思っています。久しぶりにこんなに胸が踊る発見をして、僕はやはり魔石が好きなんだと改めて知る事ができました!」
「それは良かったです。研究頑張って下さいね!」
「‥ユキさん‥」
感動したようにタリクさんが私の手をますます握っていると、何やら頭の上から視線を感じる‥?そろっと顔を上げると、ルルクさんが眉間にシワを寄せて私を睨んでいる!!!!な、な、なんで??!!私がギョッとすると、タリクさんは私とルルクさんを見て、ふふっと微笑む。
「僕ときたら‥、すみません。ユキさんにはルルクさんがいらっしゃるのに」
「え、あ、い、いや、その」
そうじゃないと言っても支障が出るし、
そうだと言っても支障が出るし、
赤くなったり、青くなったりする私の手をそっとタリクさんが離すと、今度はその手に白い魔石を手渡してくれた。
「この白い魔石はお譲りしますね。まだ洞窟にはありますし、検証して色々わかったら‥、できればお話を聞いて頂けますか?あ、もちろんお二人ご一緒で!」
「えっと、はい‥」
「良かった!じゃあ、洞窟が大丈夫か確認できたら早速行ってきますね!」
「え??!大丈夫なんですか??」
「はい!怪我の痛みも吹っ飛びました!!」
タリクさんが勢いよく立ち上がった途端、「あ、いてて‥」と言ってよろめいたので、慌ててタリクさんの体を支えようとすると、ルルクさんがサッとタリクさんを支え、私をすかさず睨み、
「お前はまず手当を先にしろ!」
と、至極真っ当なことを言われた‥。
‥は〜〜い、お手数おかけします‥。
ただ歩いているだけでよく転ぶと相談したら、
「筋トレしろ」って言われました。
筋トレすると転ばないのか‥?
 




