恋愛ゲームの主人公、恋と花とイベント。24
慌ただしく外へ出かけたルルクさん達を見送ってから、ギルドの前に簡易的にテーブルと椅子を騎士さん達と並べてお店を作った。
王族御用達という旗はないのか?!と、ミッツさんに言われたが、危険度が増すだけなのでノーセンキューである。命は有限なのだ。
と、遠くの空でドンと何かが打ち上がる音が聞こえた。
「あの音って‥」
「祭りがいよいよ始まったという合図ですね」
騎士さんの一人が教えてくれて、周囲を見れば、それをきっかけに町の人達が花束を持ってあちこち歩いては、笑顔で渡す姿が見えた。おお、本当にお花を渡し合うんだ〜。
「素敵なお祭りですねぇ」
そう言うと、騎士さんの一人が「素敵でしょう?」と、誇らしげだ。他の騎士さんも笑っていたけれど、やっぱり花を渡し合う人達を嬉しそうに見つめている。争いよりもこっちのお祭りの方が確かにずっと良いもんねぇ。
ダンさんもノイエさんにちゃんとお花を渡せたかな‥。
そんなことを考えていると、若い女の子達がこちらをチラチラと見ているのに気付いた。あ、お客さんかなかな?
「いらっしゃーい!素敵なお花の紋様描きますよ!」
「お花‥?」
「あのおいくらですか?」
興味津々といった様子で女の子達がやってきてくれて、ざっくりお値段を伝えると、女の子達は顔を見合わせて、「あの、恋がうまくいく紋様ってありますか?」と、目をキラキラさせながら聞いてきた。その気持ちわかるよ。でもちゃんと伝えないとだよねぇ‥。
「恋は、その、本人の努力次第なんですけど、緊張を和らげたり、声がハキハキ出せたりはするので、少しだけ恋がうまくいく‥かも?」
「そうなんだぁ〜〜〜」
「でも、緊張が和らぐのは助かるかも‥。お花、一つお願いします!」
「は、はい」
女の子が緊張気味にお願いする姿にキュンとしてしまう。
可愛いなぁ〜!絶対恋が上手くいくようにって願って描かせて頂きますとも!!こっそり恋愛成就くらいなら描いても良いよね?隣の女の子も「じゃあ、お守りがわりに‥」と、注文してくれて嬉しい!
ふと横を見ればアロンさんが嬉しそうに私達を見ていて、
「病気とか怪我とか戦いの為じゃない紋様ってのは良いもんだなぁ」
と、しみじみと言うものだからつい言葉が詰まった。確かに幸せになって欲しいって願って紋様を描けるって、すっごく素敵なことだよね。アロンさんと微笑み合うと、周りで話を聞いていた人達が「それなら私も‥」と、ドッと押し寄せてきた!
「私も恋が上手くいくように!」
「私はお花をお願い!」
「は、はい!!」
主に女の子達の迫力がすごい!私とアロンさん、ミッツさんはひたすら紋様を描いた。描いて、描いて、描いて‥、
「は〜〜〜〜、す、少し落ち着いたか?」
「はい。大分落ち着きましたね‥」
「王族御用達なんてのぼりを用意しなくて正解だったな‥。いやはや右手が痛いわい」
「師匠!ならばこの私が紋様を描きましょう!」
「いや、お前さんはまだまだだから‥」
「そんな!!」
ようやくそんな会話ができる頃になったのはお昼頃だ。
ルルクさんは大丈夫かな‥。珍しくこんな風に離れ離れになったので、いつも斜め後ろか、隣にいる気配がなくて寂しい。にゅっと突然現れて驚くこともあるけど‥。
「嬢ちゃん、騎士達を連れてちょいと花馬車を見に行ったらどうだ?」
「っへ?」
「あの兄ちゃんも嬉しいんじゃねぇか?」
「いや、でも、仕事が」
「仕事は相手との仲を勝手に深めてはくれないぞ」
「うっ‥」
それはそうだけど‥、本当にいいのかな?そう躊躇っていると、向こうの方からバタバタと騎士さん達が二人こちらへ駆けてきた。瞬間、周囲にいた騎士さん達が緊張した顔になる。
「どうした?何かあったのか?」
「ああ、できれば紋様士に来てもらいたい」
ヒソヒソと声を潜めて相談しているけど、私達が必要って何が起きたんだろう?アロンさんとミッツさんと顔を見合わせると、こちらへ駆けて来た騎士の一人がそっとやって来て、
「‥男性が一人、紋様を描いて貰ってから男女構わず追いかけられ、告白されているようなんです」
「「「告白!??」」」
「はい。愛の告白です」
「「「愛!??」」」
目を丸くして私達はまた顔を見合わせたけど、そんな紋様ないよ!?
アロンさんはガシガシと頭をかき、
「そりゃどう考えても呪いだろう‥。だが紋様と聞いたら行くしかねぇな。嬢ちゃん行こう」
「はい!!」
「私も行くぞ!!」
「‥はぁ、まったく勝手にしやがれ」
「ありがとうございます!すでに建物の中に匿っているのですが‥。万が一告白するようでしたら引き離しますので‥」
「「「告白‥‥」」」
するのか?私達?お互いに顔をまたも見合わせ、
「何かあったら殴って下さい」
「おりゃあ嬢ちゃんは殴れねぇぞ」
「それは私もだ!」
「じゃあ、水でもかけて下さい」
「ミッツにはしておく」
「なんで私だけ!?」
そんなことを言いつつ、私達は匿っている建物へ向かうことになったけど、ルルクさんの呆れた顔が脳裏で一瞬ちらついたが、今だけ消しておくことにした‥。多分、大丈夫だよ〜と、付け加えつつ。
今日も読んで頂きありがとうございます!!




