恋愛ゲームの主人公、恋と花とイベント。20
まさかの恋占いをする場所で、誰もが振り返るゴージャス美人なノイエさんに出会ってしまい、大変驚いたが、どうやら気になる方が結構鈍感らしい。
一緒にギルドまで歩きながら、ノイエさんの愚痴に付き合ったのだが、
「とにかく鈍感なのよ!この私が声を掛けているのに!!」
との事だそうだ。
美人でも苦労する事あるんだ〜〜。ま、私もゲームで各キャラクターを攻略していくのが確かに大変だったな〜。いい感じになるとルルクさんに首を狙われて、運が悪ければスパスパ切られてたし‥。
「えっと、その方は今回お祭りに参加するんですか?」
「‥するわよ。でも私が花馬車に乗ろうが何をしようが「すごいね〜」の一言で終わりよ!!」
「なるほど‥」
これは脈あり?脈なし?どっちなのだろう‥。
チラッと横を歩くルルクさんを見上げれば、ルルクさんもちょっと悩ましい顔をしていた。良かった‥私よりも恋心は理解できているようだけど、その辺まではわからないらしい。恋愛ゲームの主人公の面目はまだ立てられている‥かも?
ギルドが少し見えてきたその時、
「ノイエ〜〜」
誰かがのんびりとノイエさんを呼ぶ声がして、そちらを振り返れば大きな薄茶の髪をした男性がのっしのしとこちらへ駆け寄ってきた。な、なんか大型犬みたいな人が来たぞ?なんならルルクさんより大きいかも‥と、驚いていると、ノイエさんがツンと横を向いた。
「何?私、忙しいんだけど」
「そうだよね、ごめんね‥。でも、明日花馬車に乗るからお花を‥」
「花をくれるの?」
「え、い、いや、あの、どんなお花が欲しいか聞いておいてって言われて」
「雑草よ」
「え、ええーーー!??」
大きな男性はオロオロしたように驚いて、「本当に雑草なの??」と戸惑っている。あ、もしかして鈍感な人って、この方‥?ルルクさんに確認を取ろうと、そろっと視線を動かせば、「わかりやすいな」とズバッと言い切った。良かった‥、正解だったようだ。
しかし花を渡すと何かあるの?
不思議に思っていると、ノイエさんが私をまじまじと見て、
「もしかして花馬車に乗る私の意味を知らないのかしら?」
と、尋ねられたので素直に頷くと、
「信じられない!何も聞いてなかったの?」
「え、は、はい」
「花馬車に乗った女性から花を受け取ると幸せになれるから、皆こぞって花を渡すのよ」
「あ、だから花を‥。ルルクさん知ってました?」
「一応な」
「あんたも渡したり貰ったりするのよ!!」
そうだったんだ!私とルルクさんで顔を見合わせると、「似た者同士過ぎる‥」って呟かれたけど、し、仕方ないじゃないか!そもそも私はギルドでずっと紋様を描くし、ルルクさんは多分そういう事に興味ないみたいだし‥。
って、目の前にいる男性を放っておいていいの?ノイエさんに目をやると、男性を見て、
「‥ともかく、貴方も明日はどうせ仕事なんでしょ。私の好きな花は雑草だってその聞いてきた相手には伝えておいて」
「ノイエ〜〜〜」
「情けない声出さない!!」
ビシャッと言い放つと、スタスタとギルドの中へ一人ずんずんと向かってしまったノイエさん。どう考えても好きな人への対応ではないような気がするが‥?私とルルクさんは困ったように眉を下げた男性を見つめると、その男性ははにかみながら、
「あ、どうも。ノイエの幼馴染のダンです。なんだか情けないとこを見られちゃって‥」
「いえいえ、もしかしてなんですけどノイエさんの好みの花を渡したかったり‥?」
「えー!なんでわかっちゃったんですか?」
頬を赤く染める大きなダンさん。
ちょっと可愛い。大型犬が照れてるみたいだ。ルルクさんは呆れた顔で、「直接聞けばいいだろ‥」と、言うが、そこは乙女心だよねぇ?あ、男性だけどね。
ダンさんは恥ずかしそうに、
「幼馴染なんで親しくして貰ってるけど、普段はとても住む世界が違うから‥。少しだけ意識して欲しくて。でも、そういうの彼女には迷惑なんでしょうけどね」
「んんんんんん〜〜〜〜〜〜?」
そうじゃない。
絶対そうじゃない〜〜!と、言いたいところだけど、人様の恋路にあれこれ言ってもいいの?どうなの?ルルクさんにまたも視線を送れば、
「なんでもいいから花を渡すだけ渡しておけ。それからのことは後で考えろ」
「‥‥そんな玉砕覚悟?」
「行動しないで何が変わる」
「一理はありますけど‥」
そんなルルクさんみたく思い切りよくできないというか?どうしたものかと思っていると、ダンさんはルルクさんの言葉を聞いて、「そう、ですよね‥」と、呟くと、
「僕、頑張ります!!では、また!!」
「は、はい」
大型犬がどこかへ去っていってしまったけど、これなら明日は大丈夫そう、なのか‥?うーん、明日は花祭りなのでなんだか先行きが心配しかないな。
人の恋路はわかるのに自分のはわからないそんなもんです。
だがそれがいい!!!!(断言)




