恋愛ゲームの主人公、恋と花とイベント。16
まさかここでミッツさんにも会うとは思わなかった!
しかもアロンさんに弟子入りしているとか!めちゃくちゃ羨ましいんですけど!?
「いいなぁ、弟子入り‥」
「いやぁ、嬢ちゃんは俺よりずっと売れっ子だろう」
「それはなんというか棚ぼた的な感じですし‥。それよりかはしっかりとした実力と経験を兼ね備えているアロンさんの紋様を私ももっと学びたいと思っておりまして!」
「まぁまぁ落ち着け嬢ちゃん。後ろの兄ちゃんが怖い顔をしてるぞ」
「え?」
前のめりになってる私が後ろを振り返れば、涼やかな顔をしているルルクさん。いつも通りの顔をしてますが?首を傾げる私を、アロンさんは可笑しそうに笑った。
「なんならミッツに描いてみるか?前回俺以外の奴にも教わったろ」
「この私を実験台にしないで頂きたいのだが?!」
「お前さんは勝手にまだ許可してない紋様を描いたろ」
「どんな理由だ!!」
怒るミッツさんに睨むアロンさん。ううむ弟子入りした割りに言う事を聞かないとは弟子失格では?と、不意にルルクさんが私の方へ手を差し出した。
「ユキ、それなら俺に描け」
「え?でもルルクさんには蝶をすでに描いてあるし‥、衣装を着るからこれ以上はまずいのでは?」
心配してそう言ったのに、不満げな顔をするルルクさん。
なんでやねん。君、明日の祭の顔になるんやで?するとミッツさんが「それなら私が描こう!」と、すかさず挙手したが、アロンさんのゲンコツによって床に沈められた‥。アロンさん強いな。
「あ、そうだ!じゃあ爪に描いてみましょうか」
「爪‥」
「手の甲にすでに描いてあるから、小さい花くらいになるけど」
「描いてくれ」
「はいはい」
本当に可愛いのが好きなんだなぁ。
小さく笑って早速紋様の準備をすると、アロンさんがじっと私の手元を見るのでちょっと緊張してしまう。いや、私も弟子入りしたいし、ここは頑張らねば!
ちょんと紋様液を筆に浸して、ルルクさんの爪に魔力を集めながら守備力向上の紋様を描く。小さいから難しいけど、その分魔力を集中できる。バラの花を描き終えてそっと筆を小皿に置くと、アロンさんが私を見てニカッと笑った。
「いいじゃねぇか!前より魔力の乗せ方が丁寧になってるな」
「そうですか!?」
「ただ集中し過ぎて自分が疲れるだろ」
「うっ‥」
「この間貧血を起こしかけてた」
「あ、ちょっと、ルルクさん!」
「そうさなぁ。これはもうちょっとこう肩の力を抜いて描かないとな」
「肩の力を‥」
そう言われると、どうにも悩ましい。
魔力を綺麗に乗せればそれだけ効果も高まるし‥。と、アロンさんが私の肩をポンポンと優しく叩き、
「つい効果のことばかり考えちまうけどな。怪我をしないように、無事に帰ってこられるようにとかな、そういう相手に幸せになってもらいたいって気持ちがまず大事だ。そっちをまず大事にしてみな」
「師匠‥!!」
「おい!何を勝手に師匠呼びをしているんだ!私の師匠だぞ!!」
いいじゃないかー!だって格好いいなぁって感動したんだもん。
ミッツさんを横目に更にアロンさんに色々聞こうとすると、どやどやと騎士さん達がギルドの中へ入ってきて、私を見るなりこっちへ駆け寄ってきた。
「もしかして噂のユキさんですか!?」
「あの紋様って描いてもらえますか?」
「明日、俺達ユキさんを警護するんです!」
でっかい騎士さん達に一気に話し掛けられて目を丸くすると、ルルクさんがいきなり私を抱き上げた。
「る、ルルクさん!??」
「おい、少し下がれ。自分の大きさを自覚しろ」
ルルクさんの冷ややかな視線に、さっと騎士さん達が慌てて一歩後ろに下がった。えっと、でも貴方がこの中で一番大きい印象ですが‥?ついルルクさんをまじまじと見ると、
「明日の祭はやっぱり俺は辞める」
「え!?」
「お前が危険だ」
「ええ!?だ、大丈夫ですよ。騎士さん達もいますし‥。ねぇ?」
騎士さん達にそう声を掛ければ、皆コクコクと頷いてくれた。
ウンウン、皆さんやる気に満ち溢れているから大丈夫だよ?ルルクさんに目でそう訴えるも、ルルクさんは依然として納得してない。
そんな心配しなくても、今回は騎士さん達もいるし大丈夫でしょ。
するとアロンさんが私とルルクさんを交互に見て、
「さっき兄ちゃんを嬢ちゃんが見惚れてたのにやめちまうのか?」
「は?」
「なっ、嬢ちゃん。さっきの衣装着てたの似合ってたよな?」
「は、はい。すごく、その、格好良かったですけど」
後半ちょっと照れ臭くて、声が小さくなってしまった私をルルクさんがまじまじと見て、はあっと小さく溜息を吐いた。
「絶対、外へ出るなよ」
「出ませんよ。紋様を描くんですし‥」
「問題を起こすなよ」
「起こしませんよ?!仕事するんですし」
「‥‥‥格好良かったか?」
「え、はい」
今さっき格好いいって言ったじゃないか〜!
なんでそんな確認するんだ?そう思いつつ頷くと、ルルクさんはちょっと目を横に逸らして、「‥まぁ、それなら出るか」と、呟いた。
ルルクさんのちょっと子供っぽいとこが好きですねぇ〜!!!




