恋愛ゲームの主人公、恋と花とイベント。13
なんとダルゴの温泉で知り合った紋様士の白髪の渋いおじさまこと、アロンさん。今回、こちらでお仕事をしに来たそうで、早々の再会ができて嬉しい。なにせ私は知り合いがほとんどいないからね‥‥。
馬車を停めてきてくれたウィリアさんとシヴォンさんに、アロンさんを紹介してからギルドの中へ入って行くと、まるで役所のようにカウンターがあり、綺麗な女性二人が部屋の方へと案内してくれた。なんかうちのギルドと全然違うな。つい気後れしている私に、アロンさんがニッカリと笑った。
「しっかし嬢ちゃんもすっかり売れっ子だな!」
「いや‥私はまだまだですよ。アロンさんこそお呼ばれしたんでしょう?」
「俺もまだまだだがな。今回もお互いいい仕事しようぜ」
「はいっ!!」
格好いいなぁ!
自分の仕事に誇りを持っていて、驕ったりひけらかさない姿勢。ぜひとも見習いたい!と、案内された部屋のドアを開けると、そこにはレトさんのように顎髭を生やした飄々とした感じのおじさんがデスクに座っていた。
「お、ようこそ!俺はここのギルドのマスターやってるバールだ。うちの領主が色々無理を言って悪かったなぁ」
そう挨拶すると、ウィリアさん、シヴォンさん、アロンさん、私と握手をして、最後にルルクさんに握手をすると、
「‥‥しっかりした手だな。大剣使いか?」
「まぁ、なんでも」
あれ、レトさんと同じことを聞いてるな。と、思ったらウィリアさんが、「バールさんはレトさんと従兄弟なんだよ」と、教えてくれた。
「従兄弟!?」
「そう、まさか従兄弟同士でギルマスするなんて思いもしなかったんけどな。それもあって、今回結構無茶言わせてもらったんだ‥。それにしても話には聞いてたけど本当にイケメン揃いだなぁ」
感心したようにバールさんが皆を見てしみじみと言うと、すぐソファーに座るように勧めてくれた。
「話はざっくり聞いていると思うが、明日は花馬車を運転してもらってさり気なく娘さんを警護してもらいたい。まぁ、今までそんなにトラブルはなかったんだが‥、なにせ美人な娘さんだから領主が心配で仕方ないらしくてなぁ」
そんなに綺麗な人なんだ〜〜。
一回くらい会えるかな‥、なんて思っていると、ドアをこんこんとノックする音がした。
「はい、誰だ?」
「私よ」
女性の声に、ゲッと思わず呻いたバールさん。
顔をしかめながら、「どうぞ‥」と言うと、長く緩いウェーブの掛かった金髪の美女が勢いよく部屋へ入ってきて、目を見開いた。
美、美人!!!
この人か?この人が領主の娘さんじゃないのか??!目がチカチカするくらいの美女に驚いていると、バールさんがうんざりした顔で、
「お嬢様?お仕事は明日ですよ?」
「何を言ってるの。衣装合わせがあるでしょう。むしろ遅すぎたくらいなのに、貴方ったらギリギリまでこの方達を呼ばないんですもの。全く困ってしまうわ!あ、領主の娘のノイエよ。どうぞよろしくね」
声まで綺麗だ〜。
思わずうっとりしてしまうと、シヴォンさんが照れているのか顔が赤い。わかる!すんごい美女を前にすると照れちゃうよね?ルルクさんにも視線を移して反応を見ると‥、
無であった。
あれ?表情筋どうした?ってくらい無。
むしろいつの間にか私の手を握ってるんだけど?
「ルルクさん?」
「なんだ?」
「いや、なんか顔が無だな〜って‥」
「さっさと仕事を終わらせて帰りたいだけだ」
「まだ始まってないのに早くないですか?」
コソコソと話す私達をじろっと睨んだノイエさん。
ルルクさんをまじまじと見て、それからこちらへ一歩一歩近付いてくるので、私が緊張して思わずルルクさんの手をギュッと握ってしまう。
「やだーーーーー!すっごくいい素材がいるじゃない!しかもちゃんと三人!さっさと衣装合わせして、明日の打ち合わせしましょう!」
パアッと顔を輝かせたノイエさんに圧倒されると、私達を案内してくれた女性二人がいつの間にか衣装が入った箱を次々と持ってきた。え、ちょっと待って?ここで衣装合わせするの?驚く私に、ノイエさんがクルッと振り向き、
「あ、外部の人達は一旦外へ出て」
「「「え」」」
そう言われ、部屋の外へ追い出された私とアロンさんと、何故かバールさん。「なんで俺まで!?」と、バールさんが叫んだけど、どう考えても関係者なのにねぇ‥。そして私も恋愛ゲームの主人公なのにこの扱いってどういうこと??!
寝てしもうた!!更新だ!!




