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恋愛ゲームのシナリオはログアウトしました。  作者: 月嶋のん
恋愛ゲームの主人公と暗殺者の日常。
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恋愛ゲームの主人公、新イベント!27


レオさんと見つけた蛍‥ならぬ魔物虫を発見していたら、血に染まったルルクさんがこちらへ鬼の形相で馬に乗って駆けてきたので、首を切られる!??と、思わず首を抑えた。落ち着け私、今は恋人だ。


そんなルルクさん、馬から降りてくるなり私を睨むのでサッとレオさんの後ろに隠れた。



「ユキ!!外へ出るなと言ったろうが!」

「ああ、そんないきなり怒鳴るな。私がギルドへ行って呪術師に診てもらおうと言ったのだ。落ち着け」

「テメェ‥!」

「ルルクさん、王子、王子様ですからね」

「‥じゃあ、その王子の後ろから出てこい!」

「え、ええ〜〜〜」



あまりの迫力にレオさんの後ろから出られないのだが‥。

だって子供の視点から見るとますます大きいし!怒られるってわかってて前に出る勇気はない。レオさんの足から顔を引っ込めると、ルルクさんが目を見開いて呆然とした顔をした。



「‥‥ユ、キ」



怒り心頭!な、顔をしていたのに私が顔を隠しただけで、みるみる肩を落とすルルクさん。そ、そんなに落ち込む?そこへ後ろからタリクさん達が馬に乗ってようやくこちらへ追いつくと、落ち込んだルルクさんを見るなり、レオさんをきっと睨んだ。



「レオ!ルルクさんをいじめないで下さい!」

「ええ!?私が?それはむしろユキさんで‥、」

「え?私?」

「あの男の唯一に避けられたらなぁ‥」

「ゆ、唯一?!!」



びっくりな単語に目を丸くし、それからレオさんの足元からそろっと顔を出せば、ルルクさんが私を寂しそうに見つめた‥。う、そんな捨てられた子犬みたいな目で見ないでくれ。


「お、怒りません?」

「‥‥怒ってない。心配なだけだ」

「そ、そうですか」


それなら、大丈夫かな?

そろそろとレオさんの足元から出てきて、血に染まったルルクさんを見上げれば、なんだか泣きそうな顔をして私を見つめているので、良心がズキズキ痛む。うう、ご迷惑ご心配を掛けて申し訳ない‥。


トコトコと歩いて、大きなルルクさんの手をそっと握れば、ルルクさんは私を見て、


「‥怖く、ないのか?」

「さっきはちょっと驚いちゃっただけで、怖くないです」

「‥‥‥そうか」


また固い表情をしたルルクさんの手を本当だよ!とばかりにギュッと握れば、ルルクさんはようやく目を和らげた。


「心配かけちゃってすみません」

「大丈夫だ。悪いのはそこの王子だ」

「おい!少しくらい人に敬意を払うのもいいものだぞ!?」

「レオ、その敬意を払われるべき立場の貴方ですが、仕事は大丈夫なのですか?」

「タリク‥、全てにおいてほどほどな時も人間には必要だぞ」


‥つまり仕事はあまりやっていない、ということかな?

じとっとタリクさんと私の視線にわかりやすいくらい目を逸らしたレオさん。王子、仕事しましょうね。



「そ、それよりもだな!光る魔物虫を見つけたんだ!」

「光る‥?」



レオさんの言葉にタリクさんが片眉を上げた。


「そのような魔物虫はいないはずです。集まって赤く燃えるように変化することはありますが‥」

「そう、なんですか?でも、私、足湯をした場所でも、別荘の方でも見て‥」

「足湯や別荘でも?」


タリクさんが私を見て驚いた顔をしたその直後、ゴゴッと地面が大きな音を立てて揺れた。


「地震!?」

「ユキ!捕まれ!!」


ルルクさんが私をサッと抱き上げ、周囲を見回したその時、



ドッと足元からものすごい勢いでお湯が出てきて、私とルルクさんは空高く舞い‥、



「わぁああああああああ!!!落ちるぅううううううう!!」



地面に叩き落とされそうになって、ギュウッとルルクさんに抱きつくと、


「絶対に離すなよ!!」


叫んだルルクさんが、あと少しでぶつかりそうな木の枝を蹴り、バウンドすると腕を伸ばし、隣の木の枝を掴んだ。す、すごい‥!その身体能力に驚いていると、掴んだ枝がミシミシと音を立てたかと思うと、


ボキッと折れ、


「「わぁああああああ!!!」」


落ちる!!今度こそ落ちる!!

と、思ったのに、ボチャン!!と、ほんのり温かい池の中に落ちた。

バシャッと顔を出して周囲を見れば木の枝で出来た大きな鳥の巣のようなものに入っている‥。下をチラッと見れば大きな木々に囲まれていて地面が見えない。


「これって、鳥の巣?」

「いや、これは池じゃない‥。魔物の巣だ」

「巣!?」

「もう家主はいない。だからこんなに雨水が溜まってたんだろ」

「な、なるほど‥」

「怪我はないか?」

「は、はい」


なんだか少し大きめのお風呂に入っている気分だな。

二人で魔物の巣から立ち上がれば、もうお互いびしょ濡れだ。でもそのお陰でルルクさんの体に付いていた血は綺麗に洗い流されていて、知らずホッと息を吐き出した。



「ルルクさん、怪我はないですか?」

「え?」

「だってあの高さから木を飛び越えたり‥、飛んでたし、手とか大丈夫ですか?足は?」



自分で言っておいてどんどん心配になってきた。

ルルクさんを見上げれば、そんな私にルルクさんが目線を下げる為にしゃがむと、


「‥頭を撫でてくれれば治る」

「そ、そうなんですか?」


それならいくらでも撫でるとも!!

小さな手でわしゃわしゃ撫でると、ルルクさんがぶっと吹き出した。ん?もしかしてからかわれてる?!




ちびっ子はなんぼいても可愛い。

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