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恋愛ゲームのシナリオはログアウトしました。  作者: 月嶋のん
恋愛ゲームの主人公と暗殺者の日常。
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恋愛ゲームの主人公、新イベント!26


とにもかくにも子供になってしまった私。

ルルクさんは魔物を倒すべくタリクさんと出かけてしまい、アレスさんは一緒に残ろうとしてくれたけど、お店の開店準備もあるでしょうと話せば、それは苦しそうに「こんな時じゃなければ一緒にいたのですが!!」と、呻くように出かけていった‥。



かくて私はルルクさんの言った通り、部屋へ戻り、一人大きなベッドに寝転がった。


「‥仕事に行きたかった」


できれば紋様を私もこれでもかと描きたかった。

でも、昨日の盛況っぷりを考えれば、今日はもっとお客さんも来ているかも。アレスさんも宣伝しておいたって言ってくれたし‥と、少し気分も落ち着く‥、いややっぱり落ち着かない。



「あ〜〜!なんで私が子供になっちゃったんだろ」



騎士さん達は特に変化ないっていうし‥。

それなら私だって大人のままでもいいではないか。子供のルルクさんをもうちょっと堪能したかったなぁ。ゴロゴロと寝転がっても余裕な大きなベッドから体を起こし、窓の外を見れば良い天気だ。


働きたい。

‥はぁっとため息を吐いて空を見上げていると、部屋の外で何やら声がする。


まさかもうルルクさん、戻ってきたの?

ベッドから体を起こすと、部屋のドアをノックと共にレオさんがにこやかな顔で入ってきた!



「れ、レオさん!?」

「やあやあ、子供になったと聞いたぞ!いやなに仕事を少しばかり休憩したくてこっちへ来たんだが、なんとも楽しい時に来られて良かった!」

「‥‥楽しい、のかなぁ?」

「うむ!人が丸っと小さくなるという呪いなど初めて見たからな!」



それはそうでしょうねぇ‥。

大概呪いって怖いイメージしかないしね。レオさんなんて人形にされたし。と、ツカツカと私に歩み寄ったレオさんは私を上から下までよく見ると、「本当に子供だな‥」と感動するように呟いた。


「‥昨日までルルクさんが子供だったんです」

「それも聞いた。呪いが人に移ることもごく稀にあるとは聞いていたが、本当にあるんだな」

「そうなんですか!?」

「呪いを他人に移して、難を逃れたこともあったようだ」

「‥‥‥それとは大分違うような」

「そうだな。あの男は間違ってもそんなことをしない」


サラッとレオさんが言ったけど、ルルクさん大変信頼されている感じで我が事のように嬉しい。ついついニマニマしてしまうと、レオさんが私をヒョイッと抱き上げた。



「ちょ、レオさん!?」

「呪術師がギルドにいるそうだ。こっちからそちらへ行った方が早いだろう。共に行こう!」

「え、えええ?!」



レオさんの後ろで執事長さんが微笑みつつもちょっと困った顔をしてますけど良いんですか?しかしレオさんに何か言える人は、この場にいないのだろう。ルルクさんに「部屋を出るな」と言われただけに、どうしようかと思ったが、あれよあれよいう間にレオさんと豪華な馬車に乗ってギルドへ向かう‥。


嗚呼〜〜〜、どうしよう!良いのかなぁ‥。

ハラハラしている私の横でレオさんが窓の外を見て、


「おお、見たことのない虫がいるな。ユキさんはあの虫が何か知っているか?」

「っへ?」


指さされたその場所を見れば、少し離れた木の周りを昨日見た蛍が飛んでいる。

レオさん、蛍を知らないの?


「あれは蛍ですね。お尻を光らせてメスを呼ぶ‥虫の、はずです」

「光る、虫‥」

「私も初めて見ましたけど、綺麗ですね」

「‥どこでそれを知ったんだ?」


レオさんに聞かれて、まさか前世での世界‥とは言えず、「いつだったか本で読みまして‥」と、言ったけどセーフだよね?ドキドキしながら説明するとレオさんは御者の人に馬車を留めるように言うと、突然その木の周囲に飛んでいる蛍の方へ一人向かって行くので、慌てて私も後ろへ付いていく。


お、王子!?一人で単身突っ込まないでくださいよ。


「レオさん!一人で行って何かあったらどうするんですか!」

「おお、すまない。どうしても気になってな」


なんて笑いながら、パッと木にとまった蛍を一匹捕まえると、そっと手を開いて蛍をじっと見つめ、



「‥‥これは、魔物虫だ」

「え!?」



魔物虫って、以前シヴォンさんの呪いを食べたあの虫?


「以前見た虫とは少し種類が違うが、こんな風に光るのは聞いたことがない」

「そうなんですか?!でも他の場所でも見て‥。え、じゃあなんで光って‥」

「この木に何か秘密があるのだろうか‥」


レオさんがまじまじと木を見て回るけれど、周囲の木と比べてみても特に変わった感じはしない‥。これが魔物虫っていうなら、あの男の子の所にいた虫も、別荘にいた虫も魔物虫‥。二人で見つめ合いつつ考えていると、ドドド‥と音が遠くから聞こえた。



「「ん?」」



レオさんと一緒にそちらを見れば、血塗れのルルクさんが鬼のような形相でこちらへ駆けつける姿が見えて、私とレオさんは思わず飛び上がった。



ちょ、顔が怖い!!絶対これは怒られるやつだ〜〜〜!!!





心配して駆けつけるセコ●です。

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