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恋愛ゲームのシナリオはログアウトしました。  作者: 月嶋のん
恋愛ゲームの主人公と暗殺者の日常。
240/249

恋愛ゲームの主人公、新イベント。25


お風呂場にあった小さな子供用のパジャマは普段着じゃないの?ってくらいしっかりした造りだった。お金持ちってすごいな‥。


ルルクさん用だったから濃い色のパジャマ‥もとい普通のシャツにしか見えないそれを着て、お風呂場から出ればルルクさんはホッとしたように私を見た。うん、その顔はお着替えもできるのか?って思ってたね。


「とりあえずタリクさんの所へ行きましょうか」

「そうだな」


私の言葉に頷いたルルクさんは、流れるように私を抱き上げた。

おい、私はちゃんと一人で歩けるぞ?じとっとルルクさんを睨んで、


「私ちゃんと歩けるから大丈夫ですよ」

「何を言ってるんだそんな小さいのに」

「ルルクさんだって小さかったじゃないですか!」

「‥心配だから無理だ」

「くっ‥!そ、そんなこと言ってもダメですってば!」


ううっ、朝から人の心を乱れさせないでくれ!

嬉しいけれど自立の道を阻むでない!むうっと頬を膨らませると、ルルクさんは私の頬をそっと撫でて、しみじみと「‥子供って小さいんだな」と呟いた。


‥まぁ、大きいルルクさんからすればそうですね。

昨日はルルクさんも同じくらい小さかったのに、もう忘れてしまったのだろうか。とにもかくにもルルクさんと部屋を出ると、バタバタと後ろから慌てたような足音がした。



後ろを二人で振り返れば、タリクさんが驚いた様子でこちらへ駆けてきた。



「ルルクさん!?戻ったんですか?」

「ああ。代わりにユキが‥」

「えっっっ、ゆ、ユキさん!??」



目が落っこちそうな顔をしたタリクさんが私を見て、呆然とした。


「な、何故子供に‥?」

「それが私にもさっぱり‥。でもとりあえず痛みもないし大丈夫かなって‥。それより騎士さん達の方は大丈夫かなって」

「確かに‥!すぐギルドに連絡して確認してみます!それと呪術師もすぐに手配しますので、ユキさんも見てもらいましょう!」

「え、いえそんな私は‥」


「「診てもらう(ましょう)」」


タリクさんとルルクさんに同時に言われてしまった‥。

仕方なく頷くと、二人は顔を見合わせ、



「アレスにもすぐに伝えます。それと魔物がまた出現したそうです。そちらはギルドで対応できる範囲なので大丈夫だと思いますが、いざとなったらルルクさんにもお手伝いお願いします」

「わかった。そうなったらこいつを部屋に突っ込んでおいてくれ」

「コラァ!!!私の意思!!!」



なにサラッと人の行動を制限しようとしているのだ!

私は人間!基本的人権の尊重とプラスで子供の尊厳と自由を求めるぞ!?


プリプリと怒れば、ルルクさんとタリクさんは私をじっと見つめ、「危険だ‥」、「大丈夫です。うちの護衛騎士も精鋭です」と二人で話している‥。


ちょっと過保護過ぎない?我子供になったけど、元は大人ぞ?3年間身を潜めつつも紋様師として仕事していたんだぞ?と、憮然とした顔になってしまう。


「ひとまず朝食を食べて‥、その間にユキさんの服を用意しておきましょう」

「え、いや、いいんですよ!問題なくルルクさんの服を着て過ごせますし!」

「何を言うんですか!可愛らしいのに!言語道断です!」

「え、ええ〜〜〜〜???」


時代が時代だと問題発言になっちゃうよ?

なんて思うけど、ルルクさんは深く頷いているし、タリクさんは「こうしていられませんね!」と、心なしか目がキラキラしてる。大人達よ冷静になってくれ。


結局、その後やってきたアレスさんは私の姿を見るなり卒倒し、


「だ、大丈夫なんですか?!」


と、過剰なまでに心配し、「急いで女の子の服を用意せねば‥!」と、執事長さんにお願いしてて‥。本当に一回深呼吸をして欲しいと切実に思った。



そうして、朝食後に部屋へ戻れば可愛らしい女の子の服がクローゼットにしっかり収まっており、私は貴族ってやっぱりすげえやと、思いつつ袖を通した。



自分も一応貴族だったんだけどねぇ。

感心しながら髪と同じ薄い黄色のワンピースを着てクローゼット部屋から出ると、ルルクさんは驚いたように私を見て、


「‥‥小さいのに可愛い。いや、小さくても可愛い」

「ちょーーーーーー!!!!ルルクさんっ!一旦落ち着いて!感情をちょっと飲み込んで!」


すっごいとんでもない事をサラッと言わないで!

こっちの心臓は当社比小さくなってるんだぞ!真っ赤になった私をルルクさんがそっと抱き上げると、はあっとため息を吐き、



「‥‥魔物退治することになったら連れて行く」

「ルルクさん、落ち着いて。完全に足手まといになりますよ」



ルルクさんって、もしかして小さい子の方が好きなのかな?

まじまじと見つめると、ルルクさんが私の頭を撫で、


「言っておくが、そっちの趣味はない。お前だから可愛いし、お前だから心配なんだ」

「ちょ、何も言ってませんよ?」

「‥その顔が全部物語ってる」

「どんな顔ですか。どんな」


そんな話をしていたからだろうか、コンコンと静かにドアがノックされ、タリクさんが眉を下げ、


「‥‥すみません、やはり魔物に苦戦しているようで、」


と、いう言葉にルルクさんは大きくため息を吐き、私を見て、



「絶対に外に出るな。落ちるな。滑るな。爆発もするな」



なんて言われたけど、私だってどれもお断りですからね!??





ルルクさんは娘が生まれたら絶対デロデロに甘やかしてしまうタイプです。

だけどしめるとこはきっちり締める。

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