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恋愛ゲームのシナリオはログアウトしました。  作者: 月嶋のん
恋愛ゲームの主人公と暗殺者の日常。
239/249

恋愛ゲームの主人公、新イベント。24


どこかでザアザアと水の音がする‥。


また雨が降ってるのかな?

ゆっくり目を開けると、まだ辺りは薄暗い。あと胸の辺りがホカホカする。なんだろうこの熱源‥。


ちらりと胸の方を見れば、元の姿に戻っているルルクさんが私の胸にくっ付くように眠っていて‥、



「る、ルルクさんが戻ってるーーーーーー!!?」



私の叫び声を聞いて、ルルクさんがその途端ガバッとベッドから跳ね起きた。と、上半身は裸だし、ズボンを履いてなくて‥、


「のわぁああああああ!!!」


慌てて目を逸らす私をルルクさんが両肩を掴んだ。


「へ?」

「おい!ユキ、体は大丈夫なのか?痛みは?苦しさは?」

「え?え??」

「気付いてないのか?体が小さくなってるぞ」

「っへ?」


小さくなってる?

言われてから自分の手を見れば、小さい‥。



こ、今度は私が子供になってるーーー!?



驚きのあまり、ぽかんと口を開けるとルルクさんが私を抱き上げようとして、慌ててルルクさんの胸を押した。


「わーーー!!!ふ、服を、服を着て下さい!!」

「は?‥‥あ、」


慌てた私に言われて、自分の姿を見て真っ赤な顔をしたルルクさん。

急いで毛布をぐるっと腰に巻きつけると、照れ臭そうに私の頭をわしっと撫でて「‥悪い」と言うと、急いで自分の部屋へ着替えを取りに行くと戻った。


よ、良かった‥。ちょっと、いや、かなりセンシティブな格好をしてたから‥。と、じわじわと私まで頬が赤くなる。あんな裸まで格好いいとか‥、本当に困る。


でも何で私が今度は小さくなったんだろう。まじまじと自分の小さくなった手を見ると、描いて貰った紋様がない!!


「え?!なんで??」


手をあちこち見たけどやっぱり何もない!

もしかして呪いを吸い取ったの?それで私が今度は小さくなった?と、ズルッとワンピースが肩からずれた。そうだった‥小さくなったからサイズがすっかり大きいんだ。


「どうしよう、ルルクさん用の子供服を借りた方がいいかな」


首元は幸い紐で調節できるから、キュッと紐を限界まで絞れば肩からずれ落ちる事はなさそうだ。腕まくりをしてベッドから降りようとすると、いつもの服に着替えたルルクさんがこちらへツカツカと足早にやってきた。



「動くな、寝てろ」

「そんな!自分は小さくなっても動き回ってたのに!」

「‥心配なんだ」



心配‥。

そう言われると抗議できないではないか。ベッドに戻された私が見上げれば、ルルクさんの顔がそれはもう苦しそうに歪んでいる。


「ルルクさ、」

「‥俺のせいだ」

「何を言ってるんですか。きっとたまたまですよ。それにちゃんと治るから安心して下さい」


短くなった腕を伸ばして、辛そうな顔をしているルルクさんの頬を撫でれば泣きそうな顔をするので、慌ててよしよしと頬を撫でる。


「ひとまずタリクさんに知らせましょう。それでどうしていくべきか相談しましょうよ」

「‥わかった」

「と、いう訳で一度起こして貰っていいですか?ええと、トイレにちょっと行きたくてですね‥」

「そう、か」


少し照れ臭そうにするルルクさん。

もしかしたら私より乙女かもしれない‥。小さくなった私をひょいっと軽く抱っこして、トイレの入り口まで連れて行ってくれた。うん完全にお子様扱いですね。



トイレへ入って目の前の鏡を見れば、10歳くらいの私が映った。

ううむ、なんだって突然小さくなってしまったのだろう‥。


しかし先ずはトイレだ。

ちょっとずり落ちそうになりつつトイレを済ませ、手を洗ってトイレのドアを開けようとすると、外の雨が止んだのかサッとトイレに光が入ってきた。



気持ちよく晴れたな〜。とはいえ今日はどうなっちゃうんだろ‥。



どこか遠くを見つめながらトイレから出ると、ルルクさんが私を心配そうに見つめた。


「トイレ、失敗せずにできたか?」

「‥‥ルルクさん、私は成人済みのレディーですよ?2歳児ではないですからね?」


じとっと睨んだけれど、ルルクさんの目から見て私は相当小さい子に見えるんだろうな‥。と、パジャマのワンピースの裾を踏んで転びそうになると、ルルクさんが慌てて私を抱きとめてくれた。



「大丈夫か?お風呂場に少し小さめのパジャマがあったから、それを持ってくるか」

「一緒に行きますよ」



トコトコと歩こうとすると、ルルクさんは私をじっと見て、


「小さ過ぎるだろ‥」


と、大変戸惑った声で私を見つめた。

ルルクさんだって小さかったよ?多分、サイズはそんなに変わらないと思うけど‥。自分の体をまじまじと見つめていると、ルルクさんは私をそっと抱き上げた。



「こんなに小さいと壊れそうで怖い‥」

「壊れませんよ。ルルクさんだって大丈夫だったでしょ?」

「俺は早々壊れない」

「何を言ってるんですか。人の家の前で死にそうになってたくせに‥」



血だらけになって倒れてたのもう忘れたの?

じとっと睨むと、ルルクさんは横にそろっと目を逸らし、


「小さい上に、更に可愛いんだから、そりゃ心配になるだろ‥」


なんて言うから一気に顔が赤くなる。

ちょ、あの、朝から供給が過多なんですけど!!





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