恋愛ゲームの主人公、新イベント。22
窓の外には昨日見た蛍がいて、もう少し近くで見られないかなぁと思って横を見れば、外に出られる扉があった。
こっちは初めて気が付いた‥。
なにせ昨日はルルクさんが戻って来る前にお風呂に入らないと!って思ってたし。これはあとでお風呂に入った時に外に出て見てみようかな。
紋様液の瓶にお湯を入れてから靴を履いて、ルルクさんを見れば未だに顔が赤い。
急に迫ってきたかと思うと、こういう時に顔を赤くするとか‥、ルルクさん可愛すぎる。なんて思っていると、ルルクさんが私をジロッと睨んだ。
「早く紋様を描け」
「はーい、わかりました」
「‥本当に子供だな」
それはルルクさんでは?
とはいえ今日は呪われてしまっているから、余計なことは言わないでおこう。二人で部屋へ戻り、早速黄色の蝶をルルクさんの小さな手の甲に描く為に腕まくりした。
よーし!あのおじさんのように魔力を込めてしっかり描くぞ!
気合いを入れて、ルルクさんの手の甲に蝶を描いていく。
線の一つ一つに魔力を集中して流し、ルルクさんを守ってね‥と、願いながら描けば、いつもより体の内側がポカポカして、描き終えるとドッと疲れがやってきた。
「ふぁっ、つ、疲れた〜〜〜!でもどうでしょう?何か変わった感じあります?」
「‥いつもより紋様を描かれていて、体に力が湧いてくる感覚はあったが大丈夫なのか?呪いに力を吸われてないか?」
「あ、そういえば呪われている体に紋様を描いたけど、そこまででもないですね‥。いつもよりかなり魔力を込めたから、かなぁ?」
「大丈夫ならいいが、無理はするなよ」
心配そうに私を見上げ、手を上げたルルクさん。
私の頭を撫でようとして、ふと手が届かない事に自分で驚いた顔をした。
「‥‥子供は、不便だな」
「逆に私がルルクさんの頭を撫でますよ」
ふふっと笑ってルルクさんの小さな頭を撫でると、ルルクさんはちょっと照れ臭そうにするけれど可愛いだけである。
物心ついた頃には戦場にいたって言ってたけど、こんな小さい子がいたのかと思うと、複雑な上に胸が痛む‥。そっとルルクさんの柔らかい頬も撫でると、ふわふわしてる。それだけでなんだか泣きそうになって、両手でルルクさんの頬を撫でていると、むすっとした様子で私を見つめた。
「‥俺にも撫でさせろ」
「え、嫌です。もう少し撫でさせて下さい」
「じゃあキスするぞ」
「それはちょっと‥」
「なんでだ」
「‥子供ですし。ほっぺにチューならしますよ」
そう言ってルルクさんの頬にチュッとキスをすると、ルルクさんはそれはもう驚いたように私を見上げ、
「なんで子供だと照れずにキスできて、いつもの姿だとキスできないんだ」
「いや、むしろ子供だから安心というか‥」
私の言葉に納得できない‥と、いった様子ですが、私は今まで恋愛ダメ!絶対!だったんだよ。そんな男女のイチャイチャとは無縁の世界に生きてきたんだ。当然ではないか!恋愛ゲームの主人公なのに、それもどうかと‥と、思うけどね。
と、ドアがノックされ夕食だと執事長さんが教えてくれた。
「本日、タリク様はまだギルドで話し合いを。アレス様はお店の準備をもう少ししてから戻られるそうなので、先にお二人は夕食を召し上がっていて欲しいとの事です」
「わかりました。それでは先にいただきますね」
二人ともこっちに来て早々に忙しそうだ〜〜。
明日は私もアレスさんのお店も覗きに行きたいなぁ‥なんて思いつつ、ルルクさんとものすごく豪華な夕食を頂いた。今日はちゃんと味がする!!美味しい!!
「ルルクさん、美味しいですね!」
「そうだな。こういう味付けもいいもんだな。今度作ってみるか」
「‥‥再現、できるんですか?」
「誰かさんが美味しいっていうものは、作ってやりたいだろ」
天使か!?いや、暗殺者でしたね?
なんて事ない風に言ってますけど、ものすごく優しい上にキュンとくる言葉を言いながらパクパクご飯を食べるルルクさんを抱きしめたくなる‥。あ、大人だったら恥ずかしくて無理です。
とはいえ、もぐもぐと食べつつ味を確認していルルクさんが可愛くて、つい頭をそっと撫でてしまった。
「‥ルルクさん、ありがとうございます。楽しみにしてますね!」
と、伝えると、一瞬動きを止めたルルクさんが赤い顔をしてジロッと私を睨み、
「それは大人の時にしろ」
などと供述したのですが、そういうのはちょっと難しいですねぇ。
美味しいソースの絡んだお肉をパクッと食べつつ私は思いっきり目を横に逸らしたのであった。うん、お肉も美味しい。
手直ししていると時間があっという間に過ぎる‥。
最近遅い更新ですみません‥(;;)




