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恋愛ゲームのシナリオはログアウトしました。  作者: 月嶋のん
恋愛ゲームの主人公と暗殺者の日常。
236/249

恋愛ゲームの主人公、新イベント。21


クタクタになったけど、達成感があった一日。

一方で呪われてしまったルルクさんは、子供になってしまい、服がダボダボだ。手慣れたように服をまくったり、折ったりしてるけど、ちょっと不便そう‥。いや、そもそも呪われた時点で不便しかないか。


タリクさんはギルドのマスターさんと話し合いをしてから戻るそうで、先に馬車で戻らせてもらうと、優雅に微笑む執事長さんが早速出迎えてくれた。



「お帰りなさいませ。ルルク様のお話は伺っております。洋服を部屋に用意してありますので、どうぞ好きな服をお召しになって下さい」

「は、はい?!服をもう用意してある??」



仕事が早くない?

ルルクさんと私で顔を見合わせつつクローゼットまで案内されると、子供服がズラッと並んでいる‥。


「‥‥とりあえずルルクさん、先に着替えますか?」

「‥‥ああ」


子供服が入ったクローゼットをどこか遠くを見つめたルルクさん。

うん、まぁ、ここはご好意に甘えておきましょ‥。ルルクさんは紺色のシャツを取ってさっさと自分で着替えると、ピッタリ!あまりのピッタリ加減に驚いていると、執事長さんがちょっと誇らしげに微笑んだ。ううむ、流石王族の執事長。完璧やぁ。


夕食は30分後と、いう事で私が紋様液を片付けている間にルルクさんはズボンと靴も着替えてきた。そっちもサイズがピッタリで驚いていると、ルルクさんが私の手を握った。


「‥蝶、もう一個描いてくれ」

「あ、そうだった!じゃあご飯の前に描いちゃいましょうか」

「おう」


ルルクさんに早速椅子に座って貰って、筆の用意をする。

確かあの渋いおじさんは魔力をこう打ち込むように描いてたな‥と、思い出す。私も魔力を込めるけど、こんなやり方もあるんだって驚いた。やっぱり学びは大事だな。


あとはできれば呪いがどうにかなれば良いんだけど‥。



「そうだ!!お湯!」

「お湯?」

「ほら、ミッツさんが温泉のお湯を使ったお陰で呪いに効果があった‥かもしれないし。それなら別荘の温泉のお湯を使うのはどうかなって」

「確かに‥?」

「よし!そうと決まったらお風呂場に行ってきます!」

「‥俺も行くから少し落ち着け」



失敬な。こんなに落ち着いているのに‥。

ルルクさんをジトッと見つめれば、幼いながらもどこか大人びた感じがして‥、そういえば呪いですっかり意識が飛んでいたけれど、子供の時から格好いい顔をしてたんだなぁと今更ながら気が付いた。


「‥どうした?」

「あ、いや、ルルクさんは小さい頃から格好良かったんだなぁって思って」

「ガキだぞ?」

「そうですけど、私が小さい時に会ったらきっと好きになってたなぁって‥」


なんて言ってからハッとした。

またもや私はとんでもない事を言っちゃった‥?

チラッとルルクさんを見れば、少し照れくさそうな顔をしつつも嬉しそうに口元を緩めたルルクさんが私

の手を大事そうに握った。



「‥大きい俺はすぐ好きにならなかったのか?」

「なっ!なな、好きって、」

「小さい時に会ってたら今よりはこうやって手を繋いでも平気だったかもな」

「‥それはどうでしょう」



大人になったルルクさん、相当格好いいよ?

私は前世のゲームでは怖い相手って認識だったけど、スチルでアップになったルルクさんを「格好いい!」って言ってた人、結構いたもん。


「ルルクさんは、大人だともっと格好いいから‥。小さい頃から会ってたとしても私はずっとドキドキしっぱなしだと思います」


ボソッと呟くように言うと、ルルクさんの小さな手が私の手をギュウッと握って、



「なんでそれを今言うんだ‥」



と、じとっと睨まれた。

むしろ今だから言えるからかな?

小さいルルクさんは格好良いけど、可愛いくもあるから心臓に優しいしね。


「まぁその辺は後でまた話しをするって事で、お風呂場に行きましょうね」

「‥あとで見てろよ」


大変不穏な言葉を言われたけれど、聞かないふりをしてお風呂場を開けると、昨日とは違って白い濁り湯のようになっている!これって入浴剤か何かかな?お湯から香る匂いも違う。



「わぁ〜〜!今日は白いお湯になってる。日替わりで変えているのかな」

「‥‥いや、これ白の魔石か何かで変わってるんじゃないのか?」

「そうですかね?でも匂いも違いますし、入浴剤かな?って思ったんですけど、」



と、お風呂場の淵まで行こうとしてハッとした。

流石に靴と靴下を脱がないとマナー的に問題あるな。


「ルルクさん、あの、お湯を掬ってきたいんで一旦そっちを見て貰っていいですか?」

「は?」

「‥靴を脱がないとなんで」

「そ、そうだな」


私の言葉にルルクさんが顔を赤くして、プイッと横を向く。

うーん、あとで見てろよって言う割にはそういうとこ可愛いよねぇ。手早く靴と靴下を脱いで、紋様液を作る空になった瓶を大きな湯船の中に入れようとすると、ふと外で何かがチカチカと白く光っている。



「あ、蛍だ!」

「は?」



横を向いていたルルクさんに窓の外を指差し、


「蛍ですよ!昨日も見たんですけど、やっぱり綺麗ですね!」

「そ、そうか‥」


ぶっきらぼうに返事をしてくれたけど、顔が真っ赤なルルクさん。‥うん、子供だとより可愛いな。





押せ押せかと思うと意外と照れ屋さん‥大好きなパターンです。

親の顔よりもよく見るパターン大好物です。

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