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恋愛ゲームのシナリオはログアウトしました。  作者: 月嶋のん
恋愛ゲームの主人公と暗殺者の日常。
235/249

恋愛ゲームの主人公、新イベント。20


ギルドの中でタリクさんは地図を大きく広げ、それぞれ紋様師さん達から紋様液に使われた材料や採取した温泉の位置、そして効果を子供になった騎士さん達の体に描いては効果を見る‥と、いった壮大な実験が開始した。


騎士さん達は目を覚ませば自分は呪われて子供になってるし、いつ戻るかもわからない中、目を輝かせた紋様師さん達に囲まれて怯えていた‥。ちょっと可哀想な気もするけど、そもそもフィン君を囲んで脅していなければ良かったのだ。大いに反省して欲しい。



そんな大実験の横で、お婆ちゃんに紋様を描いてあげた効果か(?)地元の人がちょっとドキドキした顔で、ギルドに来て紋様を描いて欲しいと来てくれた。


「屋台の婆ちゃんがね、可愛いのを描いてもらったって言っててねぇ。それで呪いも弾いたって言うじゃない?そんなら描いてもらっておこうと思って!」

「な、なるほど‥」


田舎ってどこも噂が回るの早いなぁ〜〜。

でもそのお陰で次々とお客さんが来てくれて、紋様師の人達も嬉しそうだ。それぞれ得意な紋様があるらしく、「腰痛なら私!」「足腰の強化なら俺だ」と、声を上げ、紋様を張り切って描いている。


私と子供になったルルクさんは顔を見合わせ、その盛況っぷりに微笑んでしまう。



「まぁ、呪われたがこれはこれでいいな」

「っへ?」

「誰も死んでないしな。それになんとかなるんじゃないか?お前は色々巻き込まれるが、いつも結局なんとかなっている」



ルルクさんのものすごく前向きな発言に私は目を見開いた。

そんな風に考えていたんだ‥。まじまじとルルクさんを見つめると、子供になったルルクさんの小さな手が私の手を握った。


「お前に何もなくて良かった‥」

「本当はルルクさんにも何もない方が良かったですけど‥」

「そりゃな。でもあいつの紋様が効果があったんだ。そのお陰でこうやって人が来てくれた」

「ルルクさん、すごく嬉しそうですね」

「問題が一つ解決したんだ。そりゃそうだろ」


問題‥?

あ、そっか、紋様を描くと呪われるって噂か!

ルルクさんが子供になってしまった事で、私の頭からはすっかりその問題は吹き飛んでいたよ‥。それなのに私がどうしようかと悩んでいた問題が解決に向かっている事を素直に喜んでくれているルルクさんにじんわりと嬉しくなる。前世のゲームでは暗殺者だったのに‥って、今はもう関係ないか。



「ルルクさん、ありが‥」

「ただ、キスがすぐにできないな」

「ルルクさん!!??」

「ちょっとしゃがんでくれ」

「しませんよ?!今はしませんからね!」

「わかった。じゃあ後でな」

「あ、後でも何も、しませんってば!!



極力声を抑えながらブンブンと首を横に振ると、ルルクさんが可笑しそうに肩を震わせた。あ、ちょっと?もしかしてからかってましたね!?むすっと頬を膨らませてわかりやすく怒った顔をすると、ルルクさんは「だからそれは可愛いだけだ」なんてサラッと言うものだから、顔が赤くなる‥。


く〜〜〜〜!!ルルクさんが子供になってもかっこいいから困る!


結局、私は顔が赤いままお客さんが来ては紋様を描きまくり、あっという間に一日が終わってしまった。ルルクさんにも描こうと思ったのに、忙し過ぎた‥。



「ルルクさん、別荘に帰ったら紋様を描きますね」

「ああ頼む。蝶が良い」

「ブレないなぁ〜」



ふふっと笑っていると、渋いおじさんがこちらへのっしのっしと歩いてやって来た。


「おう嬢ちゃん、今日は大変だったな!」

「はい‥。でもお陰でお客さんがひっきりなしに来てくれて良かったです」

「そうだな。俺らは客が望んでくれないと成立しない商売だからな‥。ここから呪われるなんて嘘だって話がどんどん広がって欲しいもんだ」

「本当にそうですね‥」


しみじみと頷くと、おじさんがニッと笑って、



「って事でよ、お前さん紋様を描かせてくれないか?」

「え?私に?」

「描いてばっかで、描かれたことはそうないだろ」

「良いんですか?!」



先輩の技を間近で見られる!!

目を輝かせるとおじさんは嬉しそうに笑って、椅子に座るようにと勧めてくれたので、急いで座って右手を出そうとすると、左手の甲を指差した。


「右手にゃ兄ちゃんの綺麗な蝶が描いてあるからな。左手でいい。そうだな指辺りにするか」

「指‥」


そういうとおじさんは私の手をそっと持ち上げ、薬指の爪の下から花が咲いていくように紋様をあっという間に描いていく。


指がパチパチと熱くなり、魔力が模様一つ一つに込められていくのがわかって、じっと食い入るように紋様を見つめると、紋様が一瞬、金色に光って静かに消えた。



「すごい‥‥、綺麗です!素晴らしいです!!」

「へへ、そりゃ良かった」

「魔力の込め方も紋様も素敵で‥、本当に勉強になります!あの、明日もどうぞよろしくお願いします!!」



こりゃ描いて描いて描きまくって貰って、技を学んでもっと上達せねば!!張り切る私に子供のルルクさんがちょっと服を引っ張り、


「俺を忘れるなよ」


なんて拗ねたように言うから‥きゅんとしてしまった。

暗殺者‥いや、ルルクさんは子供になっても可愛いな。もちろん描きますとも〜〜!!





手直ししてたら時間があっという間に過ぎる!!

今日も読んで頂いてありがとうございます〜〜!

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