恋愛ゲームの主人公、新イベント。19
ルルクさんが子供になってしまった!
しかも男の子に絡んでいた騎士さん達まで子供になり、ギルドへルルクさんとミッツさん達と駆け込めば、待機していたタリクさんなんて目が落っこちそうなほど驚いていた。
どうやら男の子も初めての「呪い」を発動させてしまったようだ。
男の子も説明されたお母さんも真っ青。すぐに男の子は呪いを登録し、体に異常がないかタリクさんが診察することになった。側にいたお母さんは今にも泣きそうな顔でルルクさんに謝ると、子供になったルルクさんはチラッと私を見て、
「呪い問題ない。そこの紋様師が呪いを解ける」
「ちょっ、ルルクさん!??」
「呪いが解けるんですか!?」
「え、ええと、石があれば‥?」
とはいえ、白い魔石は魔物を引き寄せてしまうので現在は王族の方で管理する事になったので、私もそちらに渡してしまって手元にないんだよね‥。村に行けばカケラくらい残ってないかな?
と、診察室のドアが開き、タリクさんと一緒に男の子が部屋から出てきた。
「フィン!!大丈夫?怪我は?」
お母さんが駆け寄ると男の子は首を横に振った。それから私とルルクさんを見て頭を小さく下げた。
「‥ごめんね、にいちゃん。俺が呪いを、」
フィンと呼ばれた男の子が泣きそうな顔でそう言うと、ルルクさんはしれっとした顔で、
「安心しろ。問題ない」
「でも、子供になっちゃった‥」
「人生で二回くらい子供になってもいいだろ」
「えっ」
「死んでないんだ。問題にならない」
ルルクさんの言葉にフィン君は目を丸くすると、ルルクさんが可笑しそうに吹き出した。
「騎士になるんだろ。その力を使えばなかなか良いと思うぞ」
「‥でも、俺、」
「その力を怖いものだってわかってるんだ。そういう奴は何も心配ない。むしろ心強い」
「心強い‥?」
「悪い事に使わないだろ」
「使うわけない!!」
フィン君がそう言うと、周囲で固唾を吞んで見守っていた人達の顔が優しくなって、隣にいたお母さんがとうとう泣き出してしまった。そんなお母さんを見て慌てたフィン君の頭をタリクさんがそっと撫でた。
「呪術師はこちらで手配しますが、念の為、白の魔石をすぐ送るようにと王都へ連絡しました。フィン君を囲んでいた騎士達は事情聴取してから騎士団に報告しておきます。逮捕されるとしたらむしろそっちですから安心して下さいね。ただいきなり「呪い」の能力が目覚めたので今日は一旦帰ってゆっくり休んで下さい」
お母さんとフィン君は頷き、それからルルクさんの方をチラッと伺うように見つめた。
「‥‥俺、騎士にまだなれるかな?」
「騎士に知り合いがいるから口利きしておく」
「ほんと!?絶対だぞ!!」
「おう」
え、それって誰?もしかして、ウィリアさんのことを言ってる?
ルルクさんを見れば、ニヤッと笑った。‥どうやらそうらしい。だけどまぁ、呪いに振り回されたウィリアさんなら確かに受け入れてくれるかも?フィン君は「絶対だぞ!!」と、言いつつお母さんと帰っていったけど、少しだけ嬉しそうなその顔にホッとした。
「で、呪いを弾いたってのは本当か?」
「え?」
振り返るとギルドで一部始終を聞いていた渋いおじさんが私の方へやってきた。するとミッツさんがそれは得意満面で、
「そうだ!!私の紋様であわや呪われるかもしれない局面を脱したのだ!これこそ私の紋様の力だ!」
「貴族の兄ちゃん、紋様液は何を使った?」
「っへ?紋様液?」
「紋様自体は魔力が散っていて、そこまで完璧じゃない。なら紋様液に何か効果があんじゃねぇか?」
「ご、御仁!私の紋様にケチをつけないで頂きたい!!」
「まぁまぁ。でも私も紋様液は何を使ったか知りたいです。そうすればルルクさんや騎士さん達を元に戻せますし‥」
私の言葉にミッツさんはまだちょっと憤慨してます!と、いう顔をしつつ、
「黄色のスズという花に、魔石は赤。ベースは折角だからとこの温泉の湯を混ぜて作ったが、それは皆同じだろう?」
「温泉の湯‥」
「ああ、あの少年が働いていた湯の近くに私は宿を取っていて、そこの湯を少しばかり拝借した」
紋様師さん達はそれを聞いて「それなら私も同じだわ」「俺も同じのを使ってる」と、口々に話すのを聞いて、タリクさんが呟いた。
「‥温泉も、湯によっては成分が違います。もしかしたらそこに何か「呪い」に対して効果がある可能性もありますね」
「じゃあ、白の魔石がなくてもなんとかなる‥?!」
それならルルクさんもどうにかなる?
顔を輝かせると、タリクさんは優しく微笑み、
「まずはお湯を取り寄せ、騎士達で実験しましょう!」
「「「実験‥‥?」」」
「騎士達も断れない今、どのような紋様が効果があるか試せる良い機会です!紋様師の皆様、どうぞご協力のほどよろしくお願いします!!」
ええーーー!!?そんな展開でいいの?!
驚いたけれど、私以外の紋様師達はそれはもう目を輝かせ、「じゃあ俺から!」「私から!!」と、筆を構えてやる気満々だ。‥ううむ、先輩達の情熱すごい。
ルルクさんも実験に参加したいかな?
チラッとルルクさんを見れば、呆れたように
「俺はお前だけでいい」
と、言われて、ちょっと照れくさいけど嬉しかった。そっか、じゃあルルクさんは私専門ってことで。
今日も読んで頂きありがとうございます〜!
毎日暑いので体調に気をつけて下さい‥(へばりまくってます)




