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恋愛ゲームのシナリオはログアウトしました。  作者: 月嶋のん
恋愛ゲームのシナリオはログアウトしました。
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恋愛ゲームのフラグがいらない件について。


どこかギルドに行きにくい気持ちがあるものの、よろしく!!ってレトさんに言った手前、私は気合を入れて仕事道具を担いでルルクさんと一緒にギルドまで歩いていく。



嗚呼〜〜〜〜、胃が痛い!!!

気にしないでって言ったけど、人に会えば会うほど私の死亡リスクが高まるのでは?って思うと、それはそれで胃が痛い。思わずお腹をさすっていると、ルルクさんが私を見て、


「‥だから目玉焼きは俺が焼くと言ったのに」

「失礼な!!ちょっと焦がしただけで、あれはまだ綺麗です!そうじゃなくて、別件で胃が痛くて‥」


とはいえ、まさか真横に私を殺すかもしれない暗殺者にそんな事情を言う訳にもいかず、私はどこか遠い目をしながらお腹をそっと摩る。と、ルルクさんは私をまじまじと見たかと思うと、私の肩に掛かっている仕事道具の入った籠をヒョイっと持ち上げた。


「え、ちょっと‥」

「体調管理は大事だろ。ゆっくり歩け」

「い、いや、仕事道具くらい持ちますよ!」

「‥青い顔をしてるぞ」

「え」


そんな顔してた?

思わず自分の顔を撫でると、ルルクさんのコバルトブルーの瞳が面白そうに私をチラリと見る。さてはからかったな?そんなルルクさんの横顔を見て、緑の瞳も綺麗だから両方見たいなって思って‥、



「緑の目も綺麗なのに日中は見られないの勿体無いなぁ‥」



思ったまま口にして、ハッとする。

あ、体に事情のある人に無神経な発言をしてしまった!!


「す、すみません!つい‥。体の事情はどうにもできないのに‥」

「え」

「えって‥、だって光に弱いのはルルクさんのせいじゃないのに、そんな言い方よくなかったなぁって‥」


モニョモニョと言い訳をすると、ルルクさんは足を止め、私をまじまじと見つめ、



「‥お前は、本当‥」

「え?」

「‥いや、なんでもない。行くぞ」

「はぁ‥」



‥ちょっとだけルルクさんの耳が赤い?って思ったけど、ルルクさんはまた前を向いて歩き出したので、私も慌てて歩き出した。暗殺者よ、リーチの差って知ってるか?って思いつつ‥。



ギルドに着くと、今日は先に先発隊が洞窟の調査へ行ったらしく静まり返っていて、思わず拍子抜けした。扉を閉めたと同時に、奥のカウンターからレトさんが出てきて、いつものように笑顔で手を上げてくれて、私はホッと息を吐いた。ここに来るとホッとする。


16年も住んでいたおじ様のいたあのお屋敷よりも、安心できる居場所ができるなんて‥人生不思議なもんだ。


「おはよう!ちゃんと休めたか?」

「おはようございます!お陰様でぐっすりです。‥どうも結構図太いようです」


ははっと可笑しそうに笑うレトさんに手招きされ、私とルルクさんはカウンターに行くと、どさっと布の袋が2つカウンターに置かれた。


「こっちは角だ。紋様に役立ててくれ」

「はい!ありがとうございます!」

「で、こっちの袋はルルクに。サラマンダーの討伐料だ。確認してくれ」


討伐料?

私はルルクさんの前に差し出された布の袋を見ると、山盛りの金貨が見えた。



ん?金貨??

一枚5万するやつだよね???

目を丸くして、金貨が10枚以上はあるその袋を思わずまじまじと見つめ、

それからルルクさんをまじまじと見上げると、ルルクさんはその袋の中をじっと見て、



「大分多いぞ」

「いや、あれは相当デカいからな?普通のサラマンダーはもう少し小さいってのに‥、ありゃ完全に竜のサイズだったろ」



そ、そうなの?

もっと普通は小さいの??

私はお金とルルクさんを交互に見ると、ルルクさんは呆れたように私を見て、


「サラマンダーは火蜥蜴とも言う。大体俺くらいが通常サイズだ」

「規格外に大きかったですよね??え、じゃあ、あれ竜じゃないんですか???」


私がギョッとして叫ぶと、レトさんは「それなんだよな〜」と首を傾げた。


「普通はあんなに成長しないはずなのに、あの大きさだろ?雑魚程度の魔物は小さいんだけど、強いのに限って大きく成長してるんだよなぁ〜〜」


え‥、それまずいのでは??

レトさんは資料なのか、ファイルを開いてパラパラとページをめくる。



「以前にも、洞窟の魔石の影響で魔物が大きく成長するってことを調べた人がいるらしくてな‥。今度、その人がうちの洞窟を調べにくることになったんだ」

「そうなんですか‥」



そんなことを調べる人いるんだな〜と思いつつ、ルルクさんの金貨の山を見て、お金を元手にルルクさんはいよいよ出て行くのかな?って思っていると、レトさんがルルクさんを見上げ、



「ルルクもそん時には手伝ってくれよ!」

「‥いや、俺はこいつの警護もあるから」

「んんんんん????」



思わず顔を勢いよく上げて、ルルクさんを見つめた。

出ていかないの?大金持ってるのに??私の顔からハテナマークが思い切り溢れ出ていたのか、ルルクさんは呆れたように私を見て、



「‥一人で撃退できるのか?」



何が‥とは言わなかったけど、トニーさんですよね。ええ、無理です。

しかし、一番私の首を切っていた貴方にそれを言われるのは大変複雑です。ひとまず「お願いします」と言うと、ルルクさんは瞳を細めた。




サラマンダーって響きが格好いいよね。

名前もいつも響きがいいかで考えてます。

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