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恋愛ゲームのシナリオはログアウトしました。  作者: 月嶋のん
恋愛ゲームの主人公と暗殺者の日常。
222/249

恋愛ゲームの主人公、新イベント。7


タリクさんに案内してもらったレオさんの別荘。

小さめとは‥?と、疑問を呈したいくらい大きな玄関ホールをくぐれば、執事長さんとメイドさん達がズラッと並んでいて、緊張感から回れ右したい気持ちが胸一杯に広がった‥。


しかし、そんな私の気持ちなどタリクさんとアレスさんは知る由もなく、眼鏡をかけた初老の男性に「執事長、今回はお世話になります」と、フランクに話しかけている。私も昔は貴族の娘で執事長さんがいる家に住んでいたけど‥、こりゃあ当然だけど規模が全然違うな。



「おい、大丈夫か?」

「へ?」



ルルクさんが呆けている私に小声で声を掛けてくれて、ハッとした。


「また思考の海で泳いでたのか‥」

「多少?それよりもお屋敷の大きさに驚いてました‥」

「まぁ、そりゃそうか。これで小さいなら大きいのはどんだけだって思うよな」

「‥良かった。ルルクさんと私、同じ感性だった」


ホッと息を吐けば、ルルクさんは可笑しそうに目を細めてくれた。

執事長さんはお疲れでしょうから‥と、すぐに私とルルクさんを部屋の方へと案内してくれた。


「こちらがお部屋でございます」

「は、はい」


天井はうちの二倍くらい高く、目の前の窓は大きく、光も燦々と入るその広い部屋に目を見開いた。



‥王族か?

いや、王族の別荘だったな。

ポカーンとしつつも、執事長さんが部屋の説明をざっくりしてくれた。



窓の手前にある横のドアが洗面所で、その奥に源泉を引いているお風呂があると説明され、前世はお風呂大好き日本人!ぜひとも今すぐ見てみたい!!‥だけど部屋がまだまだあるので、そっちの案内が先だ。


「こちらがユキ様の寝室です。お隣のドアはルルク様の寝室で‥」

「「え?」」


今、執事長さんサラッと言ったけど、同じ部屋なの?

執事長さんをまじまじと見つめると、ニコッと微笑み、


「レオルド殿下により同じ部屋で‥と、承っております」

「え、ええっ!?」


おい!!王子!?何をサラッと同室でってリクエストしてるんじゃい!

確かに恋人になりましたけど、同じ部屋っていいの?いや、そもそもこの世界はそういうのオッケーなの?グルグルと考えている私をルルクさんがじとっと睨んだ。


「別に問題ないだろ。ベッドは別だ」

「そ、そういう問題なんですか?!」

「家でも同じだろ」

「そういわれるとそうなんですけど‥」


家の寝室は一応紋様で守られてる仕様でして‥って、恋人相手だし別に大丈夫、なのか?


執事長さんは笑みを崩す事なく「何かあればいつでも仰って下さい」って言ってくれたので、その時その時で対応すればいっか‥、なんて思っていると、バタバタと足音がしてそちらを向けばタリクさんが慌てた様子で部屋へやって来た。



「慌ただしくすみません。ルルクさん、街の外れに少し大きめの魔物が出たそうです。ギルドの人間だけでは不安なので一緒に来て頂けますか?」

「わかった、すぐ行こう」

「助かります!馬はもう用意してありますので、こちらへ!あ、ユキさんは一旦屋敷で休んでいて下さい」

「は、はい」



魔物の出現‥。ドキドキして返事をすればルルクさんが私の頭をわしっと撫で、


「いいか、動き回るなよ。ここで大人しくしていろ」

「‥‥私はもう大人なんですけど?」


むすっとした顔で言えば、ルルクさんが小さく吹き出し、


「心配なだけだ」

「へ、」

「素直に言ったんだから、素直に聞け」

「‥どんな理屈ですか」


とは言ったものの、そんな風に言われて言い返せるはずもなく‥。

赤い顔で「気をつけて下さいね」と言うと、ルルクさんは満足そうに笑うと、執事長さんが案内しつつタリクさんと一緒に部屋を出て行ってしまった‥。ううむ、着いて早々忙しくなりそうだな。


シンと静まり返った部屋で、ハッと気がついた。


「お風呂!チェックしよーっと!」


ワクワクしながら洗面所の奥にあるお風呂を見れば、ガラス張りのサンルームのような部屋に並々と温かそうなお湯が入っている大浴場のようなものが目に入った。



「‥お風呂って大きさ、なのか?」



どう考えてもホテルとかで見る大浴場なんだが???

一旦考えるのを放棄して、静かに扉を閉めると執事長さんと一緒にアレスさんがやって来て、「ユキさん、お菓子の試作を持って来たのですが一緒にお茶しませんか?」と、声を掛けてくれたので速攻で頷いた。



「お菓子を一緒に作っても良いかと思ったんですが、まだレシピがきちんと出来上がっていなくて‥」

「そ、そうですか‥」



美味しいお菓子を頂きつつ残念そうアレスさんに言われたけれど、どんな素晴らしいレシピがあったとしても何故か料理が焦げてしまう私には無用の長物である。うん、ここにいないのにルルクさんが頷いた気がしたが、無視するように私は可愛らしく作られたプチタルトを頬張ることにした。





一回、マジなお金持ちの家に泊まったことがあるのですが、トイレって家に

何個あるの?それ全部掃除するの?と、冷静に考えたことがあります。

よく考えたらメイドさんいたね‥‥。

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