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恋愛ゲームのシナリオはログアウトしました。  作者: 月嶋のん
恋愛ゲームの主人公と暗殺者の日常。
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恋愛ゲームの主人公、新イベント。6


ガラガラと馬車から見える景色を見てはワクワクする私。

それもそのはず、ポンコツおじ様のせいで売られそうになって逃げて以来、身を潜める生活しかできなかったからね。子供の頃は出かけていたはず‥なんだけど、記憶は薄っすらしかない。


とはいえ、馬車で二時間‥結構な距離だ。

お尻が若干痛くなりそう‥なんて思っていると、タリクさんが私を見てニコニコ微笑む。



「あの事件以来ずっと忙しかったので‥、なかなか会えなくて心配でしたがお元気そうで安心しました」

「その節は本当にお世話になりました。タリクさんも体調は?」

「お陰様で元気一杯です。ただ、レオに巻き込まれてかなり忙しかったですけどね‥」



魔石が大好きなタリクさんでも、相当忙しかったようだ‥。

ちょっと遠くを見つめるタリクさんの横で、アレスさんも眼鏡を直しつつ頷いた。



「あの事件の爪痕は相当大きかったですからね‥。シヴォンなど未だに魔術や呪いの解析をして欲しいとあちこちから言われて飛び回っていますよ」

「そ、そうなんですか?!」

「ええ、大変良いことです。一時は魔術が使えないことで周囲が彼を非難したり、見下していましたからね。たっぷり恩を売っておけるチャンスです」

「そんなこと、あったんですか‥」



同じ転生者だったセリアさん。

私利私欲の為に呪いの力を使ってたのは知ってたけど、そんな風にまで被害が及んでいたなんて‥。思わず眉を下げると、ルルクさんが大きな手で私の頭をわしっと撫でた。


「‥あいつなら恩を売るだけ売って、すぐにこっちへ戻ってくるだろ」

「そう、ですね」

「ええ、まったくその通りです。もう少し王都でゆっくりしてくれても良かったんですがね‥」


アレスさんは可笑しそうに笑うと、窓の外を見つめた。


「けれど、シヴォンも全部吹っ切れた様子でした。それも、悩んでいた彼を知る身としては嬉しいものですね」

「アレスさん‥」


そんな風に話すアレスさんだってうちの村に来た時は、自分の選んだ道がこれで良かったのかと悩んで、ずっとしかめっ面のような顔をしていたのに‥随分と穏やかな顔になったな。シヴォンさんのことを喜んでいるアレスさんも穏やかな表情で、私も嬉しい。


ほっこりとしていると、タリクさんはルルクさんを見て、



「ルルクさん、レトさんから調査の場所についてはもうお聞きしましたか?」

「ああ。温泉の湯は白く発光していないが、他に異変がないかをもう一度調べておいて欲しいと言われた。魔物がまだ出るらしいな」

「そうなんです。洞窟もないのに魔物の数が多いのが気になって‥」

「魔物は大きいタイプか?」

「いえ、まだそこまでは‥。けれど温泉街の近くなので、住民もですが観光に来る方達もそれを聞いて足が遠のいているのも問題ですね」



それは、そうだよね‥。

私も何度か魔物に遭って、かなり怖い思いをしたからわかる。

首を切られる心配はもうないけれど、魔物はノーセンキューである‥。遠くを見つめる私をルルクさんがじとっと見つめ、


「魔物にも遭うなよ」

「言っておきますけどね、一度だって私は遭いたいなんて思ってませんからね?何故かあっちから来るんですよ?!」

「あと温泉で溺れるなよ」

「流石に温泉で溺れませんよ?!」


それはないってば!と、訴えると、アレスさんとタリクさんまでも私を心配そうに見つめ、


「危険を感じたらすぐに知らせてくださいね」

「絶対に無茶だけはしてはいけませんよ」


と、言ってくる‥。

安心して下さい!私はこれでも19歳児です!れっきとした大人です!

それに近いことを言ったけれど、結局3人に心配そうな視線を送られる恋愛ゲームの主人公‥。うう、恋愛的な視線を前世のゲームでは向けられていたのに、今や完全に子供を心配する視線だ。



「ともかく、私はあっちへ着いたら紋様を描いて描きまくりますので、ルルクさんはお仕事の方をお願いしますね!」

「‥はいはい」

「そうですね。けれど紋様を描く前に一度レオの別荘に荷物を置いてからにしましょう」

「別荘‥」



そういえば王族の温泉とかなんとか言ってたけど、うちの村にもあるのに別荘がまだあったの?目を丸くすると、アレスさんが持っていた書類をパラパラと見ながら、


「レオルドは別荘を5つ持っているのですが、今回のは少し小さめだと言ってましたね。まぁ、一週間過ごすには問題ないでしょう」

「別荘を5つ‥‥」


私はそっちのが驚きですけど。

目をまん丸にしながらルルクさんを見上げると、小さくわかるぞ‥と、ばかりに頷いてくれた。だよね、私達庶民にはびっくりだよね。でも小さめならそこまで緊張しないかなぁ〜と、思ってたんだけど‥、



「こちらがレオの別荘です」



タリクさんが笑顔で紹介してくれたお屋敷は、「小さめ?」と、ルルクさんが突っ込むほど大きなお屋敷で‥、私とルルクさんはまたも顔を見合わせてしまったのだった。




加賀百万石の子孫の前田邸に行ったことあるんですけど、

お屋敷ってこういう事いうのかな〜〜!ってくらい素敵でした。

洋館もあるけど、和の家も素敵なのでお近くの方はぜひ〜!

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