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恋愛ゲームのシナリオはログアウトしました。  作者: 月嶋のん
恋愛ゲームのシナリオはログアウトしました。
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恋愛ゲームの死亡フラグと仮定。


ともかくどでかい竜‥ならぬ、サラマンダーの死骸が我が家の庭にあっては大変だ。魔物が匂いを嗅いで集まってくる危険もあるので、急いでギルドの人達で庭先で解体ショーが始まった。



私は、それはもうなんとも言えない気分でその光景をルルクさんとぼんやり見てた。だってまだ仮定ではあるけど、私が好きでもないのに、あっちが好きなら死亡フラグが立つなんて想像できなかったし‥。嗚呼、本当にこの仮定が偶然であって欲しい‥。でなければ私の命どうなっちゃうの?


チラッとルルクさんを見上げると、松明に照らされたルルクさんの綺麗な横顔が見えて、私はまた複雑な気分になる。


私の首を落とす人が、サラマンダーの首を落とした。

なんというか私の情緒、もうグチャグチャです‥。でも、一つはっきり言えることがある。



「‥ルルクさん、本当に生きてて良かったです‥」

「は?」

「だって、普通あんなのと戦うとか想像できません」

「‥まぁ、普通はな」



グスグスと鼻をすすると「まだ泣いてるのか」って言われたけど、今まで魔物と無縁の世界で生きてたのに、あんなデカイの見たら泣けるわ!!しかも私を殺しにかかるように仕向けられたなんて‥号泣だよ!!


「雇っておいて正解だったろ」

「‥料理に釣られてしまったけど、大正解でした」

「ふ、料理な‥」


頭上でルルクさんが笑った気配がして、そっと顔を上げるとコバルトブルーの瞳が面白そうに私を見つめている。



「‥明日はサラマンダーでも食うか」

「食べられるんですか!?」

「あれだけあれば食べられるだろ」

「いや、それ以前に調理法を知らないというか‥」

「焼けば大概食える」



そんな大雑把な!!

そう思うけれど、確かにあれだけ大きければ食いっぱぐれないだろうな‥なんて思うけど、いやいやそうじゃない。そういうことじゃない。


「‥紋様液、作っちゃったんですけど‥、あれ処分した方がいいですかね?」

「液はもう匂いも消えただろうから大丈夫だろ。この紋様はまだ香りは残ってるから、証拠にはなる」

「え‥」


目を丸くして、ルルクさんを見上げる。

塗ったら危ないってわかってて、紋様を描かせたの?


「危ないじゃないですか!け、消します!!」

「1週間くらいだろ、大丈夫だ」

「だ、だってさっきレトさんに剣を返しちゃったじゃないですか!ダメですよ!!武器もないのに‥、ってそうじゃなくて!危ないから消します!!紋様消しを‥」


慌てて作業部屋へ行こうとすると、ルルクさんが私を見て、


「‥勿体ねぇから気にするな」

「気になる!!魔物に狙われるなんて気になります!!また描きます!!描きますから、一旦!一旦消させて下さい〜〜〜」

「‥仕方ないな」


いや?!全然仕方なくないからね!?

逆になんでそんな消させないようにするの???

私が涙目でルルクさんをじとっと睨むと、ルルクさんが私をまたジッと見つめる。な、なんだその間は。私が思わず後ずさりすると、ルルクさんはちょっとため息を吐き、



「‥レトに証拠を見せてくる。ここにいろ」

「‥わかりました‥」



サラマンダーの解体の指示に忙しく動いているレトさんの所へ、ルルクさんが歩いていくと、何やら話し込んでいる。‥だ、大丈夫かな。ハラハラしていると、ルルクさんがこちらへ戻ってきて、



「肉と紋様の素材になりそうな部位はタダで貰えることになった。俺が仕留めたから、金もいくらか貰えるそうだ」

「しょ、証拠は??もう消しても大丈夫ですか?」

「‥‥大丈夫だそうだ」



なんでそこだけ不満そうなんだよーーーー!!

危ないでしょう??!!


「って、ちょっと待って下さい??紋様に使える素材って‥」

「角が使えるらしいな」

「め、めちゃくちゃ高級品じゃないですかーーーー!!!!」


い、いいの??!!

まだまだペーペーの新人にそんな高級品!!!

目を丸くしてルルクさんを見上げると、


「ギルドの不手際だからな。むしろ安いくらいだろ」

「え、ええ??!」

「‥登録者の管理も仕事の内だ。一般人、ましてや付き纏いもしてたんだ。普通ならギルドだって罪に問われる」

「‥もしかして、ちょっと脅してません?」

「‥‥さぁな」

「ちょ、ちょっと!!職場を脅すとか、私あそこで仕事をしてるんですよ?」

「レトがそうしろと言ったんだ。受け取っておけ」


え、ええ〜〜〜??

いいの??でも、そもそもサラマンダーを倒したのはルルクさんであって、私ではないんだけど‥それもいいのか?



「‥ん〜〜、じゃあ、ルルクさんにサラマンダーで作った液で一番に紋様を描きます!何がいいですか?」


「蝶」

「はやっ!!っていうか、蝶‥好きですね」



私はしみじみとそう言うと、ルルクさんは私を見て、



「‥そうだな」



と、至極可笑しそうに笑ってそう言った。





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