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恋愛ゲームのシナリオはログアウトしました。  作者: 月嶋のん
恋愛ゲームのシナリオはログアウトしました。
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恋愛ゲームの主人公、ゲームの終了を考える。


一緒に帰るとトニーさんを捕まえたからか‥玄関先がぐちゃぐちゃだった。


「そうだった‥。雨も凄かったしなぁ‥」


ドロドロの泥はちょっと乾いていたけれど、あちこち砂だらけだ。

ソファーにルルクさんが寝てた形跡を見て、そういえば熱はどうしたのかと心配になった。だって雷にまで打たれたし‥。ルルクさんを見つめると、



「熱は下がった」

「そんなすぐに?!!」



思わず手の平をルルクさんの額に当てると、ピタッとルルクさんの動きが止まった。

あ、計測しやすくていいかも。

自分の額にも手を当てて、熱を比べてみたけれど‥、確かにあんまり変わらない??いや、やっぱりルルクさんの方が熱いかも‥。じっとルルクさんを見つめて、


「やっぱり、ルルクさんちょっと熱いかも‥」

「‥お前は本当に‥」


じとっとルルクさんが私を睨むと、作業部屋に私をずんずんと連れていったかと思うと、ハンモックに私をボスッと下ろした。ふんわり、ルルクさんの匂いがするからちょっと照れるんですけども?なんで、ここに?私は目を丸くしてルルクさんを見上げると、ルルクさんは依然として眉間に皺を寄せている。


「お前の部屋に、ズカズカ入れるか」

「あ、そういう‥」

「リビングは掃除も必要だし、とりあえずそこで寝てろ」

「え、私も掃除を‥」

「寝てろ」

「‥はーい」


ルルクさんは私の返事を聞くと、サッサとリビングへ行ってしまって‥。

流石にブーツを履いたまま、ルルクさんのハンモックで寝るのを憚れた私はブーツをそっと脱いでルルクさんの香りがするハンモックにあった毛布で体を包む。


うう、なんかずっと抱きしめられているみたいで恥ずかしい‥。

でもこれで寝てなかったら、それはそれで怒られそうだし。

ちょっと赤くなる顔を見られないように、毛布で顔を隠すように被って目を瞑った。



これからどうなるかわからない。

‥どうやったら、このゲームを終わらせられるか‥、そこも考えないといけないのかもしれない。そうじゃないと周囲の攻略対象の人達にも、ルルクさんにも、迷惑をかけてしまう。



「‥ゲームだったら、好きってお互い告白すれば終わってたんだけどな」



それなら好きって言えばいいのか?

ルルクさんに?

でも「そんな気はない」って言われたら‥。そうなってもゲーム終了なのかな?いや、私が主に終了するな‥。


一緒にいられなくなるのは嫌だ。

それなら曖昧なこの関係のままの方がいいのかもしれない‥。そんなことを考えていたら、いつの間にか眠気がやってきて、ぐっすりと眠り込んでしまった。



そうして、ふと目を覚ますと周囲は真っ暗で‥。

思い切り寝てしまった!?と、慌てて体を起こすと、すぐ近くの椅子にルルクさんが腕を組んで座って寝ていた。



寝てる‥。



時計を見ると、結構な深夜だった。

あちゃ〜〜、起こしてくれて良かったのに‥。

よく寝てしまったから、起こすに起こせなかったのかな?どうしよう、今から起こしてこっちに寝てもらった方がいいかな。


そっと足を下ろして、ルルクさんを起こそうとすると、

ルルクさんの瞳が開いた。


「あ、ルルクさん。すみません、私すごく寝ちゃったみたいで‥、ハンモックを」


使ってくださいって言おうとしたのに、ルルクさんは私をまた抱き上げると一緒にハンモックに寝転んだ。



なーーーーーー!!!!!

なにしてるの?何しちゃってるの??!!



叫ぼうにもあまりの衝撃に言葉が出てこない。



そっと顔を上げてルルクさんに「離して下さい」って言おうとすると、静かに瞳を閉じて寝息を立てている‥。え、もしかして寝ぼけてた??寝ぼけてて、私をハンモックに寝かした???まじまじとルルクさんの寝顔を見て、思わず吹き出してしまった。‥どれだけ寝かせたいんだろ。



ギュッと私を抱きしめる腕があんまりに心地よくて、

まぁ寝ぼけてたらしいですって言えばいいかと思い直して、瞳を閉じる。

ふふふ、明日の反応が楽しみだ。絶対からかってやろうと、内心ほくそ笑んで私はほかほかと暖かいルルクさんの腕の中で普通に眠ってしまった。



ちなみに翌朝。

腕の中で寝ている私に驚き過ぎたルルクさんと一緒にハンモックから落ちたのは、笑い話ってことで。




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