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恋愛ゲームのシナリオはログアウトしました。  作者: 月嶋のん
恋愛ゲームのシナリオはログアウトしました。
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恋愛ゲームの主人公、攻略が止まらない☆


ルルクさんと私で蝶を描きあって、それからすぐにレトさんがやってきた。

一応事件でどんな風に巻き込まれたか‥とか、どんな風に逃げ出したかとかは聞くのもお仕事だそうだ。そりゃそっか、事件が起きたら警察が聴取するもんね。



この世界ではまず近くのギルド、それから警備隊、騎士団と事件が大きくなっていくに従って聞き取りに来る人達が変化するそうだ。レトさんに話を終えてから、そんな事情を聞いてこの世界についてまた一つ賢くなったなぁ〜なんて思っていると、



「ああ、でも今度また騎士団も来るから、その時にまた話をして貰うことになると思う」

「いや、私が今話した時間は??!」

「まぁ、それは俺も思うんだけどなぁ〜、なにせ事件が事件だし」

「ううっ‥、好きで誘拐された訳じゃないのに!」

「誰も好きで誘拐されないだろ。本当に無事で良かったよ‥。俺たちも留守にしてたからな」



しみじみとレトさんがそういうと、私の頭をポンポンと叩く。

渋いおじさんに頭ポンポンって‥、破壊力すごいな。


「‥色々ご心配、ご迷惑をお掛けしてしまって」

「ああ、そういうのはいい、いい。今回もルルクがとにかく駆け回ってくれたからなぁ」


カラカラと笑うレトさんに釣られて、私は横でずっと座って話を聞いていたルルクさんを見上げると、ルルクさんは押し黙ったまま私を見ている。


「‥ルルクさん?えっと、ありがとうございます」

「別に。ただ、今後は気をつけてくれ」

「‥善処します」


ただ気をつけたいのに何かを巻き起こしちゃうんだよ〜〜〜!

フラグか?って思ったけど、あれは事件だし、もうシナリオ通りに少しくらいストーリー展開してくれればいいのに、なんで何もかも破綻してるんだよう〜〜〜!!恋愛ゲームの主人公なのに、そもそも私を助けてくれるのが暗殺者っていうところからして、何もかも違うんだけどね??!



レトさんはそんな私達を面白そうに笑ってから、聴取した紙をまとめてカバンに仕舞うと椅子から立ち上がる。


「よし、じゃあひとまず俺はこれを警備隊と騎士団に渡してくる。ルルク、午後は案内を頼むな」

「わかった」

「ユキはとにかくしっかり休めよ。体は大丈夫かもしれないが、心は見えないからな」

「レトさん‥」


いつだって心配して、優しい言葉を掛けてくれるレトさんに感動していると、ルルクさんが私をジトッと見つめた。う、な、なんだよう。ちゃんとルルクさんの言うことだって聞いてるじゃないか〜。二人でレトさんを見送って、畑の手入れと植物を乾かしにいくか〜なんて思って、籠を取り出すとルルクさんがその籠を手に持った。



「ルルクさん?」

「持つ。何をするんだ?」

「え、いやいや、ルルクさん仕事は‥」

「午後まではないから、その間の仕事くらい手伝う」

「そ、そうですか?」



ジッとこちらを見つめるルルクさんに、これはもしかして心配しているのかな?って思った。そういえばアレスさんの時なんて私を抱きかかえて移動してたくらいだし‥。


今回は抱き上げないのかな?って、待て待て、それはダメだから!!

私は小さく咳払いして、チラッとルルクさんを見上げる。


「‥じゃあ、裏の畑で手入れをしたいんですけど、一緒にやります?」

「ああ」

「その後、植物採取して洗って、干したりするんですけど」

「それもやる」

「‥‥私のこと、心配です?」


そろっと質問を入れて聞いてみると、一瞬ルルクさんの動きが止まって、

目を横に逸らしたルルクさんがボソッと、



「‥心配に決まってるだろ」



と、呟いたので全私の心臓が死んだ。

なんだその攻撃力!!!思わず感情の蓋がポーーーンって上空を飛んだわ!!

あっぶな!!本当にあっぶなぁああ!慌ててダンベルと漬物石ととにかく重そうな物を蓋の上に置いたけど‥。


「そ、そうですか…」


ダメだ、これ。確実に赤い顔になってる。

ここは一旦他の籠を取りに行くフリをして、頬も心も冷却しよう。


「ちょ、ちょっと、部屋の籠も取ってきますね」


慌てて自分の部屋に駆け込んで、息を大きく吸って吐いていると、窓の外でザワザワと人の気配がする。もしかしてレトさんが話してた警備隊と騎士団の人かな?窓の方へ近付いて、外を見てみると警備隊の人達が馬に乗って、話をしながら騎士団の人達だろうか‥、そちらに説明をしている。



黒い隊服に金色の刺繍がしてあるのが、騎士団の人、かな?



と、一人黒髪の短髪の人が白い馬に乗っている。

おお、前世で散々見慣れている黒髪!珍しいなぁ〜と思って、我が家の道の前を通り過ぎるその人をまじまじと見ていると、鮮やかなスカイブルーの瞳をしたその人と目が合った。



瞬間、その顔を見てハッとした。

攻略対象であり、もしストーリー通りであれば婚約者でもあった、ウィリア・フェイトではないか!!



青ざめて、勢いよく窓から離れたけれど‥、なんで!!なんで!!このど田舎に来ているんだよ〜〜!!!私は部屋の真ん中で叫びたい衝動を必死に抑えた‥。



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