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恋愛ゲームのシナリオはログアウトしました。  作者: 月嶋のん
恋愛ゲームのシナリオはログアウトしました。
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恋愛ゲームの主人公、爆発禁止。


一緒に朝食の目玉焼きを食べて仕事へ行こうとしたけれど、ルルクさんに全力で止められた。



「もう元気なのに‥」

「事件が起きてからまだ1日しか経ってないのに、動こうとするその気力には恐れいるが、まだ犯人達だってどんな奴らでどんな目的でお前を誘拐したか、詳しい事はわかってない」

「あれ?そういえば捕まってなかったんですか?」

「俺が倒して、レトに渡した」

「仕事が早い‥」



もう倒された上に捕まってたのね‥。

いや〜、それなら大丈夫じゃないの?私がチラッとルルクさんを見ると、ジロッと睨まれた。


「言っておくが、そこに湖の周りの魔物の討伐もあるからな?それとレトからも、あと3日は休んでおけと言われた。お前はすぐに無茶するからな」

「‥うう、レトさんにまで‥」


最早私の信用度はないに等しいのか?

朝食のお皿を片付けて、綺麗になったテーブルに顔を置くとルルクさんが面白そうに笑って、


「まぁ、ダゴルの警備隊と騎士団も来るからな‥。しばらくゆっくりしてろ」

「それじゃあ稼げないじゃないですか〜〜」

「3日間だけだろ。その間、まず俺の蝶とお前の蝶を描いておくか」

「そうだった‥。そろそろルルクさんも描いておかないとだ。あ、結構薄くなってますね」

「誰かさんがまた無茶したからな」

「‥誰だろうな〜〜、わからないな〜〜。さ、紋様液持ってこよ!」


そろっと顔を上げて、仕事道具を取りに部屋へ慌てて逃げた。

まずい、突っ込まれると色々困るのは主に私だった。



白い魔石で作った紋様液では魔物を呼び寄せてしまうかもしれないから、ひとまず違う紋様液を筆を持ってテーブルに戻ると、ルルクさんが眉を下げて笑って、


「もう描くのか?」

「‥だって、思い立ったら即やったほうがいいかなって。あ、ルルクさんもしかして予定ありました?」

「いや、午後に少しギルドに寄るだけだ」

「ギルドに?」

「ダゴルの警備隊と、騎士団を案内するのを手伝う」

「へ〜、そんな仕事まで‥」

「お前を見つけたのが俺だしな」


そうでした。

犯人達も倒して捕まえちゃったし、私も見つけたし、ルルクさんって今更だけど本当すごいなぁ‥。感心しながら紋様液を小皿に垂らす。もちろんルルクさんの好きな黄色である。



「‥ルルクさん、本当に色々できてすごいですね」

「何もすごくない‥」

「え、でも犯人達を捕まえたりしたんですよね?」

「お前みたいに誰かを助ける事は、俺にはできない」



肩肘をテーブルについて、私の紋様液をぼんやりと見ながらそういうけれど、どことなく寂しそうな顔に胸がチクッとする。そんな事ないと思うんだけどなぁ。でも、以前戦士だったって言うし、それはそれで大変な仕事だよね?



「‥少なくとも、私はすごくルルクさんに助けてられてますよ」

「‥そうか?」

「今回だって、前回だって、ルルクさんがいなかったら私はとっくに天国ですよ」

「そりゃそうだな」

「あと、そこにいてくれるだけで私は安心ですけどね」



小皿の紋様液に筆を浸して、少し縁のところで液を落としてからルルクさんに向き直ると、ルルクさんが横を向いている。



「‥ルルクさん?」

「‥‥なんでもない」

「そうですか?あ、じゃあ右手出してもらっても?」

「おう」



ルルクさんは右手を出してくれたけれど、顔は依然として横を向いたままだ。

‥もしかして、私何か言ってしまった?

だけど、その前にまずは紋様を描かないとだな。集中して、片方が蝶の羽で、片方は羽の形をしたお花を描いて、魔力を込める。



そういえば、シヴォンさんが魔力が暖かいとか優しいって言ってたな。

ルルクさんは魔術は使えないけど、そういうのわかるのかな?

金色に光った蝶がふんわりと光って、静かに消えてからルルクさんを見上げると、いつの間にかルルクさんは私をジッと見つめていた。


コバルトブルーの瞳に見つめられて、ソワっとしてしまう。

今度は私が照れ臭くなって俯いてしまう。



「‥ど、どうですか?」

「綺麗だな」

「そ、それは良かったです」


「‥あと、やっぱり俺はお前の蝶がいい」



ルルクさんの低い声に、思わず顔を上げる。

と、ルルクさんが優しく私を見つめ、左手を差し出した。


「え?」

「筆を貸せ。今度は俺の番だ」

「あ、は、はい!よろしくお願いします!」


赤い顔になってないかな?

ちょっと緊張しつつ、そっと筆を渡すとルルクさんが面白そうに私を見て、



「ところで今回は、蝶の他に爆発禁止って書いたほうがいいか?」

「結構です!!!」



あんな何度も爆発起こしてたまるか!

思わず叫んで私は右手をルルクさんに差し出した。




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