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恋愛ゲームのシナリオはログアウトしました。  作者: 月嶋のん
恋愛ゲームのシナリオはログアウトしました。
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恋愛ゲームの主人公、今度こそ!!


あれからルルクさんを再雇用した安心から手を繋いで、そのまま眠ってしまったらしい。目が覚めると、横にはいつものように飄々とした顔でベッドの横の椅子に座っているルルクさんと目が合って、ニヤッと笑われた。



ちょ、ちょっと!!

目覚めの笑顔は心臓に悪いんですけど!



すぐに様子を見に来てくれた執事長さんが、私が起きているのを見つけた瞬間、すごい速さで駆け寄ってきて謝ってくれた。いやいや執事長さんは何も悪くないから‥。執事長さんに怪我はないかと聞くと、それはもう泣かれた。



あわわ、大人のガチ泣きにどうすればいいんだ??ルルクさんをチラッと見ると、



「お前が誘拐された時、ギルドの奴らと隣のダゴルの街まで魔物が出た報告をしに行ってたんだ。馬車は隠されていて、シヴォン達も発見がそのせいで遅れて、夕方戻ってきてみたらギルドに脅迫状が届いていて、それで大騒ぎになった」


「そ、そんなことが‥」

「金貨千枚はあっさり用意されたが、誰が届けるかでまた揉めて‥」

「待って!?金貨千枚って本気で?!!っていうか、届けるのに揉めるって誰が‥」



言いかけた途端、ダダダ‥と扉の外からものすごい足音が聞こえてきたと思ったら、ちゃんと礼儀正しくノックされながらシヴォンさん、アレスさん、タリクさんが血相を変えて入ってきた。



「「「ユキさん、大丈夫ですか!!??」」」

「主にあいつらが揉めていた」

「‥な、なるほど?」



と、執事長さんがゴホン!と、咳払いすると3人はハッとした顔をして、シャンと並んだ。流石、良家の貴族達は違うなぁ。けど、ちょっと待て?シヴォンさんも確か水蒸気爆発で吹っ飛ばされたよね?大丈夫だったのか?


「シヴォンさん!怪我は?爆発は大丈夫だったんですか?!」

「だ、大丈夫だ。湖の岸辺に運良く落ちて、怪我は大した事はない。‥もしかしたら、紋様のお陰かもしれない」

「紋様!」


そういえば、シヴォンさんの腕には相当な紋様を描いていた。

だから、私ももしかして無事だったのか?

白い長袖で見えなかった左腕の袖をめくってみると、何もない‥。タリクさんはそれを見て静かに頷き、



「もう一つわかったことがあるんです。魔物虫が爆発を起こした衝撃で小さな池が湖のそばにできたんですが、その水底に白い魔石が結晶化していたんです」

「え?」

「恐らく、知らない間に白い魔石が出来ていて‥、魔物虫はそれを食べていたと」

「た、食べ??!!」



そう聞いて、ハッとした。

そうだ、誘拐犯が白い魔石を盗んだけれどそれを魔物虫が群がっていた‥。

タリクさんはちょっとワクワクした顔で、胸ポケットから小さな瓶を取り出すと、中には死んでしまったのか白くなった魔物虫が入っている。



「まだ仮定ですが、白い魔石を食べた魔物虫は白く結晶化し、それを魔物が好んで食べ、またそれを魔物が食べることで、体内に白い魔石が増えていくのではないかと‥」

「じゃあ、魔物が増えたのって‥」

「恐らく魔物が白い魔石を食べた小さな魔物を食べる為でしょう」

「‥ってことは、魔物は白い魔石に惹かれる習性があるってこと、ですよね?」

「そうですね。ですからシヴォンは魔物虫に襲われたんでしょう。白い魔石を溶かした紋様に惹かれて‥」



言われてみれば、白い魔石を溶かして散々腕に描いていた。

だから私にも襲いかかろうとしたんだろう。

そう言われると、私のブーツに魔物虫が入ってきたのも、私が白い紋様液を取り扱っていたからかもしれない‥。まさかの照明の発見の前に、白い魔石の思わぬ側面を見つけるとは‥。考え込んでいると、タリクさんがシヴォンにチラリと目をやる。



「それで‥、シヴォンの手首に変化があったんです」

「変化?」



シヴォンさんが緊張した面持ちで、私に「呪い」を受けていた手首を見せると、あっと声を上げた。



黒い文字がまるで食い破られたように消えている!



目を凝らせば「魔術禁止」と描いてあるように見えなくもないけれど、ほぼわからない。


タリクさんは私を見て、にっこり笑う。



「魔物虫に襲われた際に、手首を噛まれたそうです。その際に「呪い」もまるで食い破られたようになっていて‥。ただ魔術はまだ使えないんですが、もしかしたら‥、これはあと一押しすればどうにかなるのでは?と、思っていまして‥」

「ルルクさん!私の仕事道具って!!」

「‥もう働く気かよ」



呆れたように言いつつも、仕事道具の入った籠を持ち上げる。

わかってるじゃないか!!にこーっと笑ってルルクさんを見上げると、ルルクさんは眉を下げて笑うと、



「無理だけはするなよ」



というと、私に仕事道具を手渡してくれた。




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