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恋愛ゲームのシナリオはログアウトしました。  作者: 月嶋のん
恋愛ゲームのシナリオはログアウトしました。
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恋愛ゲームの主人公と実験。


突然我が家へやってきたタリク先生。

白い魔石のことを王都に報告したら、誰が管理するだの、効果や効能は?と、それはそれは上から下まで大騒ぎだったらしい。ルルクさんが淹れたお茶を飲みながらしみじみと、



「‥一介の学者に全部なんでも責任を押し付けようとするので、もっと偉い人に管理だけは王族にとお願いして、あとは丸投げしてきました」



どこか遠くを見つめながら話す先生‥。

偉い人って王子様、かな?

なるほど、仕事が早いのは流石だな。王子様も優秀な人だったもんなぁ。


恋愛ゲームの主人公なのにどこか遠い親戚が頑張っている話を聞いて、心温まる気分になっていたけれど‥。いや、問題はそこじゃないな?


「えっと、じゃあタリクさんは白い魔石については、まだよくわかってないと?」

「そうですね。なにせ調査もありますから‥」

「そうですかぁあ‥。私も何か効果があるかな?って思って使っていて‥」

「でも、先ほど聞きましたが今までなんの反応も示さなかった「呪い」が文字の光を吸ったんでしょう?これは大きな発見ですよ!」

「そう、なんですけど‥、呪いをどうにもできないのが歯がゆくて」


タリクさんは私に目を細め、



「突然、なんでも解決できるのはある意味夢物語です‥。そうやって手探りで色々見つけようとしているユキさんが、実は一番正解に近い存在ですよ」

「‥せ、先生!!」

「おやおや、ユキさんに先生って言われるとなんだか照れてしまいますね」



でもタリクさんにそんな風に言って貰えて、私は本当に勇気が出る。

だって今日は確かに倒れなかったけれど、やっぱり文字は光るだけで‥、結局のところ何も変化がなくて‥。大見得切ったくせに何も進展させられない自分に焦りを感じていたし‥。


タリクさんはそんな私をまるでお見通し、といった様子でにっこり微笑む。


「僕も何度も実験をしては失敗するプロですからね。お気持ちは良くわかりますよ」

「タリクさん‥」

「そこでですね!!ユキさんさえ良ければ明日からシヴォンの別荘で私も実験に加えて欲しいんです!!」

「そっちが本音か〜〜〜〜〜!!!!」


思わず突っ込んだ私をタリクさんがめちゃくちゃいい笑顔で頷いた。



「白い魔石が一体どんな効果、効能があるか‥、未知の領域に足を踏み入れるというのは何と幸いなことかと!ちょっとワクワクして今日は眠れるか心配なくらいです!!」

「先生、寝てください。明日の実験に備えて下さい」

「では、明日は参加してもいいのですね!?」

「あ、でもシヴォンさんが良いっていうでしょうか‥」

「大丈夫です!早馬ですでに明日は行くと伝えてあります!!」

「まさかの決定だった‥」



ええーと、白い魔石で照明を見つけるのが本来のストーリーなんだけど、まさかの「呪い」に効果があるかの実験に先生が参加してもいいのかな?あ、でも待てよ。照明を見つけると恋愛フラグが立ってしまう可能性があるな!?


フラグは起こさない。

そして立てない。


私は「ぜひ参加で!」というと、タリクさんはそれはもう大喜びをし、それを見ていたルルクさんは大層複雑な顔で私を見つめた。あ、あの‥、まぁ研究熱心でいい先生だから明日も大丈夫だと思うよ?



興奮冷めやらないタリクさんは、そうして笑顔で帰っていったけれど‥。



「‥明日から騒がしくなりそうですね」

「本当にな」



げんなりした顔のルルクさんを見て、ついふっと笑ってしまう。

私は腕まくりをして、



「よし!今日は私が夕飯を作ります!ルルクさんは休んでいて下さい」

「おい‥俺は焦げた飯を食いたくないぞ」

「もう!!焦げる前提で話さないで下さい。もしかしたら奇跡が起こるかもしれないじゃないですか?」

「奇跡は簡単に起きない」

「うう!!真剣な瞳で言った〜〜!」

「‥だから、一緒に作るか」

「え」

「一緒なら、偶然くらいのレベルになるかもしれないぞ」



それは‥結局奇跡じゃないの?

私はまじまじとルルクさんを見つめると、頬杖をついたルルクさんが私を面白そうに見て、



「二人なら、何とかなるだろ」



と言うと、私の頭をわしゃっと撫でた。




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