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恋愛ゲームのシナリオはログアウトしました。  作者: 月嶋のん
恋愛ゲームのシナリオはログアウトしました。
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恋愛ゲームの主人公、命張ります!


午後からは、シヴォンさんの別荘へ馬を借りて紋様の実験だ!

言葉通りシヴォンさんは私とルルクさんを歓迎してくれて、横にいた執事長さんが泣きそうな顔になってた。‥本当、愛されているなぁ‥。



落ち着いた家具に囲まれた広い部屋で、紋様道具を広げて魔石の話をしながら、まずは薄くなっている紋様を確認する。シヴォンさんは私の紋様を見つめつつ、


「白い魔石‥は、確かに聞いた事がないな」

「でしょうね。タリクさんっていう方も魔石調査をしてて初めて見つけたと」

「タリク‥!?魔石調査って‥、もしやタリク・ベオか?!」

「あ、はい‥」

「先生はこちらにいらしていたのか‥!」


あ、そういえば同じ学園でしたね。

先生と生徒でしたね。恋愛ゲームの主人公なのに忘れてたぜ。



「そうか‥。それならば納得がいった‥」

「納得?」

「王都で、新しい魔石が見つかったと報告が上がってここいらの領地を王族が管理することになったんだ」

「「え?」」



私と隣で座っていたルルクさんが目を丸くする。

な、なんで王族が管理するの??驚いた顔をする私に、シヴォンさんが得意げに笑って、



「魔石はそれだけ価値があるんだ。領主がくすねても困るだろう?多く輩出する領地は報告の義務もあるし、ここは貴族達の別荘地だ。何が火種になるかわからないから、王族が管理すると宣言すれば下手に手出しもできない」

「なるほど‥いらぬ争いの種を摘み取ると」

「その通りだ。それにまだ魔石のことはわかってないんだろ?尚更だろうな」



はぁ〜〜!

なるほどね。タリクさんが戻ってこないなぁ〜なんて思ってたけど、魔石の発見を王族に報告したから‥なのかな。できれば早く戻ってきて、白い魔石について実験して欲しいんだけどなぁ。


私は白い魔石を溶かした紋様液を取り出し、シヴォンさんに見せた。


「それは?」

「噂の白い魔石で作った紋様液です。私とルルクさんで実験したんですけど、効力は確かにあるんですけど、「呪い」に対してはどうかなって‥。どうします?実験してみますか?」

「する。希望を捕まえておけと言われた以上、した方がいいだろ?」


ニッとシヴォンさんが私に笑ってみせる。

なんだかそれだけなのに、私まで勇気を貰った気持ちになる。



「それじゃ、早速願いを込めて描いてみますか。何か好きなモチーフありますか?」

「それは星一択だろう?願いをしっかり込めてくれ」

「‥はい!」



早速、星を腕の上の方にブレスレットのように繋げて描いてみる。

ほら、あるじゃない?敵を囲ってやっつける戦法とか。

残念ながら私は「呪い」を解く術を持たない。その上、手立ても見つけられていない。それなら、これ以上この「魔術禁止」が誰かを傷つけることのないように囲っておこうと思ったのだ。魔術は使えなくても少なくとも人を傷つけないと分かれば‥、シヴォンさんも安心して外へもう少し出られるかなぁって‥なかなかいいアイデアだと思う。私って天才。



どうか、こんな文字跳ね返せますように。

魔術禁止なんて消えちゃいますように。

シヴォンさんが笑顔になりますように。



星を一つ一つ、丁寧に描きながら願いを込める。

息をするのも忘れるくらい、集中して魔力を込め、魔術禁止と書いてある腕に輪のように星で囲むと、金色に星が光る。


と、星達がまるで流れ星のようにキラキラと「魔術禁止」の文字へ落ちていく。



「星が‥!」

「落ちている‥」



シヴォンさんも、執事長さんも驚いたようにその光景を見る。

私もまさか落ちていくなんて思わなくて、目を見開いてその落ちていく流れ星を見て、


「魔術使える!使える!使える!!」


って思わず叫んだ。

願いよ届いてくれ!!!

と、金色の光はやっぱり魔術禁止に吸い込まれ、静かに消えた。



その途端、体から力がごっそりと抜けて、私は椅子からそのまま横へ落ちそうになった。



「ユキ!!!」



気付いたルルクさんが私の腕を引っ張って、支えてくれたけど‥。


「あ、あれ‥?」

「顔が真っ青だぞ!体調は大丈夫なのか!?」

「多分‥、でも、こんな事初めてで‥」

「まさか「呪い」を解こうとしたせいで?」


シヴォンさんまで青い顔になって私を見つめるけれど、偶然じゃない?

私は手を横で振って、


「偶然だと思います」

「だが!この「呪い」は何を起こすかわからないんだぞ!?お前に何かあったらどうするんだ!」


シヴォンさんが顔を歪めて私の手を握った。

その手が小さく震えていて、自分の方がずっと苦しいのに優しいなぁって思って、それだけで頬が緩む。



「‥大丈夫。私、結構丈夫ですし。それに気が付きました?私、魔術を使えるようにお願いしたんです。落ちるまでに、です。成功したから、次もやりましょう。願いを叶えましょう」

「‥ダメだ、それは、絶対ダメだ」

「残念でした。私は負けず嫌いなので次もします。ね、ルルクさん?」



なにせ私は恋愛ルートにさえ入っていなければ、死なないはず!

だからきっと大丈夫!とばかりにニコッとルルクさんに笑いかければルルクさんは眉に皺を寄せた。な、なんで〜???




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