フルーチェではない
屋根から屋根。猫のような移動を開始してしばらく。
そろそろ村の中心部というあたりだった。
先をいく背中が、にわかに動きを止めた。
何事かと、シュウ・ミューラも調子を合わせる。
「えっと、プルーチェル?」
道すがらの自己紹介で、女性戦士はそう名乗っていた。
公都を拠点とする冒険者の一員で、封貝使い。
いわゆる異能者であるらしい。
公女の護衛を任されるだけあり、相当な使い手なのだろう。
「しゃがんで」
自分も屈みながら、彼女は横にきたシュウの腕を引っ張った。
「どうかした?」
「ここからは慎重に行きたいの」
プルーチェルは周囲に油断なく視線を走らせている。
「なにか問題でも?」
「凶暴化してる人たちの中に、特殊個体がいるのよ」
「特殊個体?」
「そう」
頷き、ようやくプルーチェルはシュウに顔を向けた。
「どんな魔獣にも上位種っているでしょ? アレみたいな感じ」
確かに、多くの生物にはたいてい上位種が確認されている。
それらは「進化形」と表現されることも多い。
種の持つ弱点が薄まっているか、時に完全克服さえされていることが理由だ。
生命力。
身体能力。
知能などのどれか。場合によってはそれら全てが大幅に強化されていることもある。
通常種が大群でかかっても対応できない。
それがイゼル種だ。
噂では更にその上――上位の中の上位ともいうべき最上位種も存在すると言われている。
害獣であらば、国が一つ滅ぶレベルの大厄災に繋がった例もあるという伝説上の存在だ。
「変わっちゃった村の人たちって、基本的には動きがにぶくてしかも単調でしょ? 音には敏感だけど、他は鈍感だし。こうして屋根に登っちゃえば追いかけてくることもできない」
プルーチェルが続けた。
「でも、特殊個体は違うの。凄い速さで動き回るのよ。知能も残ってるから塀や壁なんか平気で登ってくる。しかも目も良いの。姿を見るだけで遠くから走って襲いかかってくるから厄介なのよ」
「うっわ……そんなのいるんだ。えっ、この辺に?」
シュウはあわててきょろきょろしだした。
「ブルーノっていう三〇代の男性よ。村長宅に泊まってた、私たちのグループの一員」
「え? 護衛はキミもいれて二人って聞いたけど。で、もう一人の方は報告に出たって」
「彼は護衛じゃない。徴税官としての公女には、補佐役やメイドが複数つけられてるのよ。ブルーノはその一人ね」
「ああ、なるほど」
「とにかく、彼はまだこの近くに潜んでるかもしれない。知能が残ってるから待ち伏せもありえると思う。ほら、あれが村長のお屋敷よ。ブルーノがおかしくなって、私たちはあそこから公女を逃がしたの」
一〇〇メートルほど先。
プルーチェルの指さす先には、なるほど周囲より一際広い庭を持つ、一際豪奢な邸宅が見えた。
「ブルーノの姿は見当たらないけど――念のため、迂回して行きましょう」
シュウは頷く。
慎重に移動を再開した。
だが、ものの数秒でプルーチェルがまた脚を止めた。
今度は凍り付いたと言った方が近い。
理由は訊く必要もなかった。
二軒向こう――舗装もされていない路地に誰かが立っていた。
既に向こうもこちら側に気づいている。
三〇歳前後だろうか。
無造作に刈り込まれた髪は男性並に短い。
しかし、身体のラインと服装を見れば、女性であることは明白だった。
生存者――!?
とっさにそう思った。
猫背な〝連中〟と違い、背すじがぴんと通って、いかにも活動的に見えたからだ。
なにより眼が違う。
ボンヤリと虚ろではない。
意志を帯びた視線がしっかりとシュウたちに注がれていた。
「助けよう」
シュウがそう言いかけた瞬間だった。
女性がトンと軽く地を蹴った。
その身体が冗談のような高さまで一気に跳ね上がる。
平屋の屋根に着地する。
うつむいていた顔がすっと持ち上がり――
そして、血だらけの白い歯を剥き出しにして、笑った。
「えっ?」と思ったときにはもう、それは走り出していた。
唾液を撒き散らしながらの息づかいは、狂犬のそれとなんら変わらない。
人間を辞めたおぞましい動きと、殺人的な速度だった。
「ちょっ……あれが例のお知り合い!?」
シュウの声は半分、悲鳴になっていた。
「別人よ。二体目の上位種が発生してたみたい!」
その二体目は、フェイントをかけるようにジグザクに跳躍を繰り返す。
最後に凄まじい咆哮を上げ、一気に加速した。
一回まばたきする間、まだひとつ隣の屋根にいたはずの彼女はそこから消えており――
シュウはなぜか、彼女と近距離で見つめ合っていることに気づいた。
はあ……?
「避けてッ」
プルーチェルの叫びはあまりに遅すぎた。
シュウの両肩には、とっくに特殊個体の手がっちりと食い込んでいた。
骨が軋むような馬鹿力だった。
恐怖と生理的嫌悪で鳥肌が立つ。
「ッアァ――!」
苦し紛れに前蹴りをくり出した。
それが当たる間際、特殊個体は掴んだシュウをブンと振り回し、無造作に投げ捨てた。
空き缶でもポイ捨てにするような動作だったが、込められた力は桁違いだった。
シュウの身体は隕石のような勢いで地面に突き刺さる。
「ふぎゃ」
一度大きくバウンドすると数十メートル路上を滑り、シュウは民家の塀に激突してようやく止まった。
たちまち、音を聞きつけた〝連中〟が群がってくる。
神器の加護がなかったら、ミンチだった――!
ぞっとしながら、飛び起きた。
四方八方から伸びてくる〝連中〟の手にからめ取られる寸前、近くの屋根へ緊急回避した。
「シュウ、あなた大丈夫なの?」
叫ぶプルーチェルは、特殊個体と交戦中だった。
シュウを追撃させないためだろう。
自分に注意を引きつけている。
俺のせいで。
一瞬、絶望しかけた。
だが、そこは公爵家から依頼がくるほどの冒険者だ。
獣じみた怒濤の猛攻を、洗練された身のこなしでさばいている。
「あなた、まだ動けそう?」
こちらを見ずにプルーチェルが訊く。
「うん。大丈夫だよ。びっくりしただけ」
「今のが、びっくりしたで済むって……あなた、ほんとに何者?」
「なんなら手を貸そうか」
「いいえ。動けるなら、今から私が隙を作るから。急いで逃げましょ。遅れないでついてきて」
隙って?
問い返すより早く、プルーチェルが唱えた。
「乗騎召喚ッ!」
鳥を思わせる甲高い鳴き声が響いたのは、直後だった。
ふっと頭上からプルーチェルに影がかかる。
見上げると、空中を巨大な生物が旋回するように泳いでいた。
鳥かとも思ったが、違う。
横は優に二メートルを超えようか。
胴と羽根の境界が分からない。
エイを彷彿とさせる横長の三角形に、長い尾をそなえた異形の生物であった。
「バトライア、お願い」
プルーチェルが叫ぶ。
理解したのか、それは一声あげた。
きりもみ状に軽く上昇すると、狙いを定めるように急停止。
そこから爆発的に加速し、一気にトップスピードにのる。
そのまま弾丸さながら特殊個体へと突っ込んでいった。
「今のうちに、早く!」
「あ、うん」
シュウはプルーチェルの声で我に返った。
ひとつ頷き、慌てて彼女の背を追う。
貧しい村家の屋根は、力を入れて踏み込むと簡単に抜けてしまう。
そのため、プルーチェルは石垣など頑丈なものを足場に選び、今までの倍の速度でかっ飛んでいく。
シュウは、彼女の真似をするだけで良かった。
「あれはキミの召喚獣?」
背中に問うと、彼女は一瞬だけ振り返った。
「そうよ」
「バトライアっていうのは名前?」
「ううん、種の名称。バトライアは、霧深い渓谷にひっそり生息するって言われてる飛行生物よ。温厚で、迷った旅人を助けてくれる逸話もあるの。私はそのうちの一体と召喚契約を結んでるわけ」
「まかせといて大丈夫なの? 殺されたり……」
「平気へいき。あの子は空を飛べるから、本当に危なくなったら逃げるのは簡単だし」
ややあって、遠くに村の正門が見えてきた。
その手前の、ひときわ大きな二階建てが目的地だ。
軒下に看板をぶら下げており、そこには♯に似た格子模様が刻まれている。
世界的に広く通用する宿屋のマークだ。
「こっちよ」
天窓を開いたプルーチェルが手招きしている。
うながされて窓枠を潜り、まず屋根裏に入る。
そこからさらにハシゴを下り、二階に降りた。
客室が並ぶそのフロアは吹き抜けになっていて、廊下から階下を見下ろせた。
一階は、造りこそ典型的な田舎の酒場だった。
だが今は、避難民と思わしき老若男女が詰め寄せ、異様な雰囲気を漂わせている。
「ただいま戻りました」
プルーチェルが階段を降りながら、声を投げかけた。
途端に酒場の喧噪がやんだ。
数十の殺気だった視線が一斉にプルーチェルとシュウに集まる。
「おい、後ろッ!」
すぐに怒号があがった。
何人か至っては、武器や農具を構えて目を血走らせている。
無理もない。
虎だか獅子だかの頭をつけた見知らぬ男が、いきなり現れたのだ。
「皆さん、落ち着いてください」
階段をおりながら、プルーチェルがなだめた。
「彼は――その、危険はありません」
平時ならそれで説得できたかもしれない。
だが、今はタイミングが悪すぎた。
凶暴化した住人が家族や隣人を喰い殺す。
そんな異常事態。
狂気の世界の最中なのだ。
「護衛さん、アンタ何を連れてきたんだ!」
「バケモノめ」
たちまちシュウは武装した男達に取り囲まれた。
「待って、彼は敵じゃないないんです」
プルーチェルが必死に叫ぶが、村人は取り合わない。
「なんでそんなことが分かる!」
「どう見てもまともじゃない」
「こいつか。コイツが何かやったから、村がおかしくなったのかッ」
こうなると、もはや収集がつかない。
恐怖が恐怖、叫びが叫びを呼び、避難民たちは自ら己のパニックに火をくべていく。
大人達の剣幕に子どもが泣き始める。
それをなだめる母親の声。
男達の怒鳴り声。
「待って、ちょっと待って下さい。まずは話を。みなさん、落ち着いてください。彼は危険じゃないと言ってるでしょう」
制止するプルーチェルの声もすでに届かない。
「動くんじゃねぇ、動くんじゃねえぞッ」
四つ叉の巨大なフォークが喉元に突きつけられる。
本来なら家畜用の干し草に向けられるそれは、その気になれば立派な武器だ。
「おい、誰か縄持ってこい」
「ふん縛れ!」
「だから、待って! 彼は壁沿いの家の人たちを外に逃がすために、ひとりで戦ってくれていたのよ? 凶暴化した人たちを仕方なく力で対処するときだって、ケガをさせないように配慮してくれてたのに」
――おお、気づいてくれてたのか。
プルーチェルの言葉に、シュウは思わず感動する。
やはり相当の実力者なのか。
見る人が見れば分かるということなのだろう。
なんであれ、配慮をくんでもらえることなど、これまでの人生で経験にないことである。
それだけに喜びもひとしおだった。
「おう、縄とってきたぞ」
「よし縛れ、縛れ!」
「妙なまねするんじゃねえぞ。少しでも動いたらタダじゃすまさねぇ。脅しじゃねぇからな」
気づけば、突きつけられる農具の数が増えている。
外巻きの何人かは震える手でナイフを抜き放ってさえいた。
「わっ」と驚かせでもすれば、錯乱して刺してきそうな様相だ。
そうこうするうちに、荒縄を広げた男達が迫ってくる。
三人がかりだった。
「あん、縛るならやさしくして」
おどかすかわりに、シュウは裏声を出す。
「やかましい!」
「気持ち悪い声出すな。しなを作るなッ」
「くねくねすんじゃねぇ、この野郎!」
あっという間に肩から膝下までぐるぐる巻きにされたシュウは、荷物のように担がれた。
そのままかび臭い酒蔵まで連行され、雑に放り込まれる。
下は冷たい石畳だった。
そこに顔面から突っ込む形になったが、痛みはまったくない。
けもの装備のおかけである。
シュウは横たわったまま、男衆の足音が遠ざかっていくのを聞き届けた。
「相変わらず凄いな」
やがて静寂が訪れると、ひとりつぶやいた。
「黒エルフの特徴が隠れるだけで、これだけ扱いがやさしくなるとは」
もしダークエルフであることがバレていたとしたら――
無数の農具の先端は、全てが迷いなくシュウの身体に突き立てられていただろう。
全身から血が噴き出す。
割かれた腹から臓腑がこぼれ落ちる。
それでも彼らは決して手を緩めなかったに違いない。
明らかに死んだと分かっても。
原型を留めなくなってすら。
疲労で持ち上げられなくなるまで、肉塊相手に武器を振るい続けただろう。
それがブラーイン。
それだけの憎悪と恐怖を買っているのが、ダークエルフという種族なのだ。
「ごめんなさい、シュウ! 大丈夫?」
どれくらいしてか、血相を変えたプルーチェルが駆け込んできた。
寝転がったままのシュウを慌てて抱き起こす。
「ケガはない?」
「ああ、ケガも痛みも一切ないよ。心配ない。それより、来てくれて助かったよ。このまま寝てるにしても暇だし、これからどうしようか悩んでたところだ」
安堵したのか、プルーチェルが小さく笑む。
「あなた、よく分からない人だけど、大物なのは確かよね」
肩をすくめて返そうとしたが、縛られているせいで不発に終わった。
「とにかく、彼らの蛮行を黙って許してくれてありがとう。なんの事情でそんな格好をしてるのかは分からないけど、動きを見る限りただ者じゃないことくらいは分かる。あなた、その気になればあの場にいる村の人たちなんて、一瞬で無力化できたでしょう?」
「どうかな」
言って、シュウは身体のバネを使って立ち上がった。
それから、やおら両腕に力を込めていく。
次の瞬間、思っていたとおり全身を固める縄が弾け飛んだ。
ふざけた見た目でもそこは神器だ。
〝けもの装備〟にとって、ロープなど茹ですぎたパスタも同然ということらしい。
簡単すぎて、脆さすら感じるほどだった。
プルーチェルはと言えば、ぱらぱらと落ちていく縄の残骸を目のあたりに軽く目を見開いていた。だが、すぐに得心の微笑がとって変わった。
「まあ、そうよね。あなた、動きもタフさも明らかに普通じゃなかったし」
シュウは今度こそ肩をすくめて見せた。
「どうして大人しくしててくれたの?」
「縛られる以上のことはされなかったしね。彼らが怖がる理由も理解はできたからさ。大体、暴れても状況は良くならない」
見た目と違って、ずいぶん理性的なのね。
プルーチェルは少しからかうような口調で笑う。
「――あの後、酒場の皆を説得したの。だけど、それに関わらずあなたには選択肢が二つある」
「ん、どんな?」
「村の人たちはあなたを逃がす気はないみたいで、今も処分や裁きにかける方法を話し合ってるけど――そんなのに付き合う必要はないでしょう? だから、このまま逃げてくれちゃって良いし、あなたにはそうするだけの権利がある。むしろ、住人の救助に手を貸してくれたんだし、謝礼を要求しても良いくらいの立場なんだから」
「それが一つ目の選択肢だとして、もう一つは?」
「私と一緒にこの騒動を調査して、真相を突き止めるルートよ」
「へぇ……?」
「ここの住人たちも、私のことは公女の護衛の封貝使いということで信用してくれているの。だから、私が監視するという条件であなたをここから出すことに――まあ渋々だけど――同意してくれたってわけ」
「説得してたってのは、そのことか」
「そう。ただ、私は公女様にこの事件の発生原因を調べるよう命じられてるでしょ? あちこち動き回らないといけないの」
「監視のためには俺を連れ回す必要があるってわけか」
「そう。原因が分かれば、あなたも自分の無実を証明できるでしょう? もちろん村の人たちも納得するだろうし、逆に今までの非礼の謝罪と貢献への報酬を受け取ることもできる」
「キミの意見は?」
「あなたには好きに決める資格があると思うけど、私の個人的な好みは二番目の方ね。調査よ」
「ふーん。なんで?」
「だって、そうでしょ」
途端に、彼女は柳眉を逆立てた。
「あなたは良い人なのに、この仕打ちはあんまりじゃない。そりゃあ村の人たちにも同情すべき所はあるんでしょうけど、頭にきてるのも事実よ。ちゃんと自分たちの非を認めて、あなたに全面的な謝罪をしてる所を見るまで気がすまない」
「ははっ」
思いもよらぬ理由に、思わず声が出た。
誰かが自分のために感情的になっている。
大勢を敵に回して、擁護についてくれる。
これまでは決してあり得なかったことだ。
想像だにしなかったことだった。
「なるほど。そっちの方がすっきりしそうだね、確かに」
シュウはあえて穏やかに、ゆっくりと言った。
爆発しそうな歓喜をなだめるためには、そうする必要があった。
「でしょ?」
プルーチェルが悪戯っぽく笑む。
それから無言でシュウを見つめた。
その目が「で、どうするの?」と雄弁に問いかけている。
「プルーチェルの案に乗るよ。ノンノちゃんとの約束もあるしね。村とあの子の両親の無事を確認して、夕方までには森の小屋まで報告に戻るって」
「ほんと? よかった!」
「だけど、調査って具体的にどうする。なにかあてでも?」
「うん。酒場の人たちに勧められてね。まずは、村はずれに住んでる薬師のお婆さんの話を聞きに行く予定。救出ついでにね」
薬師。薬師か――
反芻して、納得した。
彼らはその職能の性質上、土着の呪術に精通していることが多い。
また古い伝承などを代々受け継ぐ立場にもある。忘れ去られた風土病などにも詳しいだろう。
なにかの病気であれ呪いであれ、今回の事件に役立つ情報を持っている望みは確かにある。
「もしそれが空振りだった場合は、最初に異常が発生した村長宅を調べてみるつもり」
「何か見つかれば良いけど」
「手伝ってくれるのよね?」
身長差のせいもあって、上目づかいだった。
「ああ、うん。がんばるよ。ただ、さっきも言ったけどノンノとの約束がある。結果がどうあれ夕方に一度、森小屋まで報告に行きたい」
「もちろんよ。私も護衛としてオードリィ様へ小まめな報告義務があるしね」
「ちなみにノンノちゃん――この宿屋の娘って話なんだけど、彼女の親は無事なのかな」
この状況では、戻って確認するわけにもいかない。
元気ですか? などと乗り込んでいけばどうなるか。
今度は縛られるだけでは済みそうになかった。
「安心して」
プルーチェルは今日一番の笑顔で答えた。
「あなたに真横から武器を突きつけていた人が、この酒場の主人。そのノンノちゃんって子のお父さんよ」