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円環の聖女と黒の秘密  作者: 藤瀬京祥
二章 クラカライン屋敷
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75 エリーダの後始末

PV&ブクマ&評価&感想&誤字報告&いいね、ありがとうございます!!

 昼間のあの女性がどうなったのか?

 そんなことは訊かなくてもわかっている。

 正体を知らずとも、クラカライン家が客人以上に扱っている人物に無礼を働いたのだから、無事で済まされるはずがない。


 もし生きていたとしても、二度と牢獄から出てくることはないだろう。

 その程度のことはミラーカもわかっているつもりでいたけれど、夕食の席で顔を合わせたセイジェル・クラカラインがあまりにもいつもと変わらなかったから、逆に気になって仕方がなかった。


 セイジェル・クラカラインがそういう人物だということはミラーカも知っている。

 屋敷内で起ったことなので当然耳に入っているはずだが、若くして領主となった彼にとって、昼間の出来事など些末なことなのだろう。

 だから公務を終え、公邸からクラカライン屋敷に戻ってきたセイジェルは、着替えを終えるといつものように夕食の席に現われた。

 いつものように、何食わぬ顔で。

 少し遅れてセルジュも。

 二人ともに、先に自分の席に着いていたミラーカには一瞥もくれず、それぞれ自分の席に着く。

 そしていつものように静かに食事が始まる。


「日々の(かて)を恵み(たま)う光と風に感謝を……」


 大人三人だけの食事はとても静かである。

 ミラーカがノエルの世話をするためクラカライン屋敷に来た当時からそうだったが、昼間のことがあったからかもしれない。

 いつにない気まずさが耐えがたく、食事をしながらも落ち着かないミラーカは気を逸らせるために話題を必死に探していた。

 そして一つ、ようやくのことで思いついたのは半分ほど食事が進んだ頃である。


「そ、そういえば……」


 気まずさを隠すためにさりげなくを装ったミラーカだが、逆にぎこちなくなってしまう。

 それでも隣にすわるセルジュは食事の手を止めてミラーカを見てくれたが、セイジェルは一瞥をくれるだけ。

 そのあとはまるで聞こえていないかのように食事を続けるけれど、ミラーカは気を取り直して話を続ける。


「お母様から手紙が来ましたの」

叔母上(システア)から?」


 セルジュが応えてくれて、ミラーカは少しホッとしたように 「ええ」 と返す。


「なにかあったのか?」


 夫であるリンデルト卿フラスグアの不在に退屈を持て余し、叔母であるリンデルト卿夫人システアがなにかしでかしたのではないかと気になったらしい。

 セルジュの食事の手は止まったままである。


「なにかというほどのことではないのですけれど、アーガンに頼まれて人を預かることにしたのだそうです」

アーガン(あのお人好し)はまたなにか頼まれた?」

「面倒見がいいのはあの子のいいところです。

 それに今回の相談は部下から受けたというから断りにくいでしょ?」


 とりあえずシステアがなにかしでかしたのではないとわかり安心したのか、セルジュは再び食事を始める。


「そういえばセルジュも聞いたことはなくて?

 麗しの騎士イエル・エデエ」


 婚約者のいるミラーカはあまり興味がなく今回母親(システア)の手紙で教えられたのだが、貴族の令嬢たちのあいだではそう呼ばれているほど人気の高い騎士だという。

 だがセルジュは聞き覚えのある名前を聞き、少し前、一緒に赤の領地(ロホ)までの旅をした優男を思い出す。


「ああ、あの男か」

「あら、文官のセルジュが知っているなんて意外ですこと」

「少しな。

 それで? そのイエル・エデエがどうしたのだ?」

「その騎士の妹を預かることになったのですって」


 この世に二人だけの兄妹であること。

 妹が仕事を探して領都ウィルライトにやってきたことをミラーカは簡潔に話す。

 もちろん全てシステアの手紙に書かれてあったことである。


「側仕えとして仕事を探すなら、貴族屋敷のマナーやルールも覚えた方がいいでしょう?

 領都ウィルライトは白の領地(ブランカ)でも一番貴族屋敷が集まっていますし」

「確かにそうだな」

「それでお母様の側仕え見習いとして預かることにしたのですって。

 とても綺麗な子だとか。

 わたくしも会ってみたいわ」

「そなたの側仕えにしたらどうだ?」

「残念ながら。

 今回ジョアン一人では手が足りないから、お母様の側仕えからアスリンを借り受けてきましたけど、そのままわたくしの側仕えにすることになりましたの」


 さすがに下級貴族の令嬢に三人もの側仕えは多い。

 いずれセルジュと結婚してアスウェル卿夫人となれば、それこそ三人も四人も側仕えが必要となるが、それは今ではない。

 だが騎士イエルの妹は現在進行形で仕事を探しているということで、リンデルト卿家での雇用は見送ることになったのである。

 ここまでをセルジュと話したミラーカは、我関せずで食事を続けるセイジェルを見る。


 客をもてなすための豪華な食堂とは違い、普段使いの食事室はテーブルもそれほど大きくはなく、大きな声を出さなくてもセイジェルにミラーカの話が聞こえないはずがない。

 視線にも気づかないはずがなく、セイジェルも一瞥を返す。


「……わたしにどうしろと?」

「とても仕事の覚えもよい娘らしいですの。

 気立てもよくて優しくて。

 以前の働き先の紹介状を持っているそうですけれど、お父様がお戻りになってから相談して、我が家の紹介状を持たせるつもりだとか」

「リンデルト卿夫人はずいぶんと気に入ったようだな。

 だが、そういうことはわたしではなくマディンに言うのだな」


 もちろんセイジェルの知らないところで勝手なことは出来ない。

 だからミラーカもこんな回りくどい方法を使ったのだが、セイジェルが了承したと判断したミラーカは、戸口で直立不動のマディンを見る。


「……承知いたしました。

 実際に職探しを始めるのはまだ先と思われますが、明日にでも職業紹介所に手配しておきます。

 リンデルト卿家の紹介状を持っていればすぐにわかるでしょう」

「任せる」


 マディンに対してそう答えたセイジェルは、なぜか食事の手を止めると改めてミラーカを見る。

 そしてゆっくりと言う。


「だが、雇用するかどうかはマディンが決定する。

 よいな?」

「もちろんですわ」


 騎士イエル・エデエの妹がクラカライン屋敷で採用されることを信じて疑わないミラーカは、自信たっぷりに応える。

 これについてはクラカライン家のことであり、セルジュも特に異論はないらしく口を挟まない。


 だが面白がるのがセイジェルの側仕えである。

 この日、食事室に付き従ってきたのはクレージュとヘルツェンである。

 昼間、あの女性を連れて行ったあとからアルフォンソとウルリヒの姿は見えない。

 もちろんそれを誤魔化そうというのではないだろうが、いつもの調子で話し出す。


「やっと一人、決まりそうですか」

「わたしたちが姫君のお守りから解放される日はまだまだ遠いですね」


 それぞれに文句を言うと、やれやれ……と言わんばかりに肩をすくめてみせる。

 先のことは、ミラーカはもちろんセルジュにもわからないけれど、しばらくのあいだはノエルの護衛として彼らがつくのだろう。

 クラカラインの外に対しては護衛として、ノエルに対しては監視として。

 だからノエルの側仕えが、マディンが予定している四名から五名ほどが揃っても、おそらく当面のあいだは彼らがノエルのそばを離れることはないだろう。

 面白くないミラーカはセイジェルに噛みつく。


「この者たちより閣下です!」


 食事を続けようとした矢先に掛けられるミラーカの声に、セイジェルは一瞥だけをくれてフォークとナイフを使い始める。


「姫様のお世話をお願いしようなどとは思いませんが、お見舞いにも来ないというのはどういうことですか?」

「行ってどうなる?

 ただ眠っているだけではないか」


 ノエルの容態については、診察に立ち会っている側仕えたちから聞いて知っているのだろう。

 全くの無関心ではないと言いたいらしい。


「なにを仰います。

 仮にも後見人でいらっしゃるのに、お見舞いもなさらないなんて」

「なるほど」

「それともう一つ、お願いがございます。

 商人を呼んでいただけますか?」

「なにか欲しい物でも?」

「わたくしではございません。

 姫様の殺風景なあのお部屋を少しなんとかしたいと思いまして」

「なるほど」


 先程と同じように気のない様子を見せるセイジェルだったが、今度はマディンを見る。

 するとマディンは心得たように 「近日、手配いたします」 と応える。


「ミラーカ、そなたもなにか欲しい物があればついでに購入するといい。

 その分の支払いは我が家で受ける」


 セイジェルとミラーカのあいだに席を置くセルジュが口を挟むと、ミラーカは、セイジェルに向けていた険しい表情を一瞬でパッと明るくする。


「心配はいりませんのよ、セルジュ。

 必要な物は両親が揃えてくれますもの。

 それより次の新緑節の衣装のことです。

 前にもお話ししましたけれど、お揃いで仕立ててもよろしくて?」

「そんな話をしていたな」

「近く、お時間を作ってくださいまし。

 まずは一緒に生地を選びましょう」

「わかった」


 セイジェルに言いたいことを言い、セルジュにも望みを聞いてもらえて少し満足なミラーカは、ついでにノエルの衣装も作りたいと言ったけれど、これはセイジェルに断られてしまう。

 新緑節の正装には家紋を入れるのが通例であり、クラカライン家の家紋は特定の仕立屋にしか扱えないからである。


「そうでしたわ」


 溜息混じりに少し残念がったミラーカは、食事のあと、早速セイジェルがノエルを部屋に見舞ったことに驚かされる。

 食事に伴っていたヘルツェンとクレージュを連れてノエルの部屋にやってきたセイジェルは、部屋にこもるかすかな異臭に気づいてわずかに眉をひそめる。

 それが滋養のためにノエルが服用している丸薬の臭いだと側仕えの二人から説明されると、セイジェルも知っているらしく 「あれか」 と小さく息を吐く。

 そして部屋を見回し、ミラーカが商人からノエルのために贖おうとしている物に納得する。


「子ども部屋にはあったほうがいいかもしれないな」

「わたくしどもには理解出来ませんが」


 ヘルツェンにはそう言われたがセイジェルはなにも応えず、部屋を進み奥の寝室に踏み込む。

 先にノエルの部屋に戻っていたミラーカは、自分で見舞いに来いと言っておきながら、早速やってきたセイジェルを見て驚く。

 だがこのあともっと驚かされることになる。

 眠っていたはずのノエルが目を覚すと、セイジェルがとんでもないことを尋ねたからである。


「……セイジェルさま、いいにおい、する」


 夜の就寝前の静けさだからこそ聞こえたのかもしれない。

 とてもか細いノエルの声をきいて寝台にゆっくりと腰を下ろしたセイジェルは、天蓋を仰ぐノエルを見下ろしながらゆっくりと応える。


「そうか」

「ノエル、しぬ。

 おとうさんみたいに、しんじゃう」


 多くの大人は、こんな時は相手を安心させてやろうとするだろう。

 それこそ 「大丈夫」 とか言葉を掛けてやるもの。

 だがセイジェルはとんでもないことを言い出したのである。


「叔父上……そなたの父親が亡くなった時のことを覚えているか?」

「閣下、なにをっ!」


 セイジェルに場所を譲って、少し寝台から離れていたミラーカは驚きのあまり声を荒らげる。

 すぐそばに控えていたジョアンに 「お嬢様、落ち着いてください」 と宥められるが、怒りは収まらない。

 それこそ相手がセイジェル・クラカラインでなければ、怒りに任せて頬を張っているところである。

 だがセイジェルは、収まらない怒りに身を震わせているミラーカには一瞥もくれず、掛けられた問いに対して考えているノエルを見ている。


「……おとうさん、おきなかった。

 んと、あさ、おきなかった」


 どうやら記憶を手繰り、父クラウスが亡くなった日のことを思い出しているらしいノエルは、酷くゆっくりと話す。


「おかあさん、おこしてきなさいっていわれて。

 えと、おとうさんのへや。

 でもおとうさん、おきなかったから……」

「その時の父親の様子はどうだった?」

「おとうさん、うごかなくて……すこしつめたかった。

 それに、すこしへんなにおい、した」


 人の肉体は死んだ瞬間から腐り始めるという。

 おそらくノエルが嗅いだのは死臭だろう。

 セイジェルがセルジュやアーガンから聞いた話では、クラウスが亡くなったのは白の季節が始まってすぐの頃。

 白の領地(ブランカ)と違い、赤の領地(ロホ)はまだまだ暑い頃である。

 おそらく腐敗も白の領地(ブランカ)に比べて早い。

 しかもすぐそばで嗅いだために気づいたのだろう。

 つまりノエルの嗅覚は機能している。


(おかしいのは味覚だけか)


 ノエルの話を聞いてそんなことを考えたセイジェルは、素っ気なく 「わかった」 とだけ言ってこの話を終える。

 そして改めてノエルに、言い聞かせるようにゆっくりと、静かに話し掛ける。


「今夜はもう眠りなさい。

 次に目を覚したら食事を摂りなさい」

「ごはん、たべられる」

「用意させよう。

 なにか食べたい物はあるか?」

「……わからない」

「そうか。

 食事を摂ったら薬を飲んでまた眠りなさい」

「わかった、ノエル、ねる」


 ノエルがセイジェルと話したのはほんの短い時間だったが疲れてしまったのか、息を吸うように眠りに落ちる。

 その様子を見てゆっくりと掛けていた寝台から立ち上がったセイジェルは、未だ怒りに身を震わせているミラーカをチラリと見ると、その足を促すようにカーテンで隔てられた向こう側、居室へと向かう。


「なんて酷いことを!」


 ノエルのそばにジョアンを残してセイジェルを追ったミラーカは、居室へ移った早々に声を荒らげる。

 いくら厚いカーテンで隔てているとはいえ、寝室にその声は筒抜けである。

 だが我慢が出来なかった彼女は声を荒らげてセイジェルを責める。


「姫様がご自分から話そうとしたのならいざ知らず、父君が亡くなった時のことを思い出させるなんて」

「そんなに酷いことか?」


 なぜかセイジェルは、すぐうしろに控えるヘルツェンとクレージュに尋ねる。

 すると二人は 「さぁ?」 とか 「わたくしどもにはわかりかねます」 などと答えてミラーカを驚かせる。

 そして二人はそんなミラーカを見て笑う。


「わたくしどもにそんな感情はございませんので」

「日頃、散々わたくしどもを人非人(にんぴにん)扱いしておられるくせに、どうしてこういう時に限って人らしい反応を期待なさるのか?」

「全くもって身勝手きわまりない御方だ」

「困りますねぇ」


 逆に言い返されてミラーカが悔しそうに黙り込むと、セイジェルが 「ところでお前たち」 と改めて二人に話し掛ける。


「はい、旦那様」

「なんでございましょう」

「わたしに隠し通せると思っているのか?」


 すると二人はわざとらしく顔を見合わせる。

 それから改めてセイジェルに返す。


「なんのことでございましょう?」

「仰ることがわかりません」

「わたしも舐められたものだな。

 でははっきり言ってやろう。

 髪を出せ」


 ミラーカにはセイジェルがなにを言っているのかわからなかったが、おそらく二人はわかっているのだろう。

 そのくせすっとぼけたやり取りを続けようとする。


「髪とは?」

「昼間、ここであれ(・・)の髪が切られたはずだ」


 ようやく昼間、エリーダがノエルの髪を切った瞬間を思い出したミラーカは、思わず 「あっ!」 と声を上げる。

 そしてすぐに切られた髪の行方を思い出そうとするが、エリーダがアルフォンソとウルリヒに連れて行かれたシーンへと記憶が飛んでしまう。

 つまりあの時エリーダの手にあったノエルの髪の行方はわからない……いや、ミラーカは知らないのだが、状況的に手にすることが出来たのはアルフォンソとウルリヒ。

 そして医師のクリストフ・ロートナーである。


 だがクリストフ・ロートナーではない。

 いまセイジェルがノエルの髪を回収しようとしているように、もしあの時クリストフがノエルの髪を手に入れていればアルフォンソとウルリヒが見逃すはずがない。

 間違いなく二人によって回収されているだろう。

 つまり、あの時エリーダが切ったノエルの髪はアルフォンソかウルリヒが持っていることになる。

 そしてセイジェルはそれを出せと、ここにいるヘルツェンとクレージュに迫っているのである。


「……折角面白いものが手に入ったと思ったのに」

「残念ですねぇ」


 改めて視線を交わした二人は、ヘルツェンが取りに行くことにしたらしい。

 戻ってきたヘルツェンが、紐で束ねたノエルの黒髪を両手に持って恭しくセイジェルに差し出した次の瞬間、ヘルツェンだけでなくクレージュまでが、それまで立っていた場所から大きく飛び退く。

 ミラーカが 「なにか起った」 と気づいた時には、直前までヘルツェンが立っていたあたりに、塵ほどに切り刻まれたノエルの黒髪が舞っていた。


 それは本当に一瞬のことだった。

 詠唱もなければ魔術陣の展開もない。

 ただ起こした風を瞬時に無数の刃に変えて操り、紐で束ねられていた髪を切り刻んで一瞬にして塵と化したのである。


 それも手にしていたヘルツェンごと切り刻もうとしていたらしい。

 寸前に気がついて飛び退いたものの風の(やいば)の一片が掠ったらしく、左手に赤い一筋を走らせたヘルツェンは、滲む血を舌ですくい取るように舐める。

 そしてわざとらしく嘆く。


「旦那様、わたくしごと切り刻もうとなさいましたね?

 なんて酷い!」


(今のを躱しただと?

 わたしには魔力の凝縮さえ感じられなかったのに……)


 ようやくのことで目前で起ったことを理解したミラーカは驚きに言葉が出ない。

 二人がセイジェルの性格を熟知していたとしても、それこそセイジェルが加減をしたとしても、今のを凡人に躱すことは出来ない。

 改めてクラカライン家の魔術師を畏怖し、五人の側仕えの正体を疑う。

 どこかに暗器を隠し持つ彼らを昼間、ロートナー医師は 「兇手」 と呼んだが……。

 だがそんな彼女の前で歪んだ主従は三文芝居を続けるのである。


「そなたの腕が鈍ったのではないのか?」

「ほんにドジを踏みましたね、ヘルツェン」

「クレージュまでそんな冷たいことを!

 わたくしは傷が痛むので今日はもう休みます。

 明日は労災でお休みとさせていただきます!」

「自分のドジでお休みがいただけると思っているのですか?」

「わたしと一緒に騎士修錬場へ行って訓練するか?」

「旦那様とご一緒出来るのなら喜んで!」

「抜け駆けは許しませんよ!」

【医師クリストフ・ロートナーの助手グリエルの呟き】


「エリーダがいなくなった?

 騎士たちのあいだでは町に恋人がいて駆け落ちしたなんて噂が流れているけれど、まさか、ね。

 ご領主様のお屋敷でなにかあったなんてことは……。

 でも先生の様子もおかしいし、まさか本当になにかあったのでは……」

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