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わがまま令嬢とその侍女  作者: たなぼた まち
侍女と執事の会議
86/120

06

 オーランツ家襲撃予定日前日の朝早く、ジョーダン家のベルが鳴った。

「どうも~! あなたのご自宅ピッカピカにしますがキャッチコピー、掃除屋クリーンでっす!」

 門でボアズによって通され、わざわざ玄関でも同じ口上を述べてきたのは清掃業者クリーンの代表ピカリだった。

「アソラさんお久しぶりですね! お元気でしたか~?」

 マスクをしているのにも関わらず彼女の声はいつも聞きやすく響く。そしていつも笑顔を絶やさない。ピカリ曰く、この仕事は客商売だから笑顔が必須らしい。

「ええ、元気でした」

「そ~ですか! それはなによりです! 元気が一番ですよね!」

 アソラはその言葉を聞いて風邪で苦しむ主人を思い出す。

「さて! 今日は廊下や壁などに特殊加工しに来たんですけど、入っても大丈夫です?」

 肩に大きな袋を背負い、彼女の後ろには様々な道具や液体が積まれた台車が置いてある。

「ええ、どうぞ」

「ありがとうございます! では、お邪魔しま~す!」

 玄関ホールに荷物をすべて運び込んだ彼女は、首からぶら下げているゴーグルを装着する。

「じゃ、勝手にやってるのでよろしくです!」

 分厚い軍手を嵌め、両手に大容量スプレー缶を持つ。

「あの」

 鼻歌交じりに仕事を始めようとしたピカリをアソラが止めた。

「ん? なんですか?」

「特殊加工ってなにするのですか」

 その問いかけにピカリは「あぁ!」と声を上げた。

「これを吹きかけることによって血液が落としやすくなるんですよ~!今日はそういう依頼を受けて来ました!」

 掃除屋クリーンは一般家庭の掃除から裏の掃除まで、掃除とつくものならなんでも来いというスタンスで働いている。以前、マリーの誘拐未遂がおきたときも、夜中にも関わらず彼女は屋敷に来て、清掃活動を行って帰って行った。

「今回は屋敷全体ってことで、大仕事なんですよね~!」

 やりがいがあります、と彼女は力こぶを作る真似をする。

 詳しいことは聞いていないだろうが、この大仕事により何が起こるか彼女は理解している。しかし、アソラに尋ねることはせず、楽しそうに仕事を始めた。


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