03
扉を開くとハロルドがいつもより眼光を鋭くしていた。
「皆さん勢ぞろいで、お待たせして申し訳なかったね」
申し訳なさそうに思っていないロイドが綺麗な一礼をする。
それを見て眉間に皺を寄せたのがガラだった。
「貴様、悪いと思っているのか」
「だから謝罪しているだろう?」
「あ?」
椅子の付近に立つガラの額に青筋が立つ。
「ちょっとぉ、喧嘩なら外でやってよねぇ」
椅子に腰かけたエリーが煩わしそうにガラとロイドを見上げる。
「はいはい、そこまでだ」
向かい側の席に座っているボアズが柔らかな声で制止した為、ガラはふんっとそっぽを向いた。
「それにしてもぉ、ボアズがここにいるの珍しいねぇ。監視はいいのぉ?」
アソラはエリーの隣に腰掛ける。
「あぁ、監視はデューラに頼んだよ。あいつはこういう場に来たがらないからな」
「ふぅん、まぁそっかぁ」
ボアズの手により仕掛けられた大量の防犯カメラを目で追っているデューラは小さくくしゃみをした。
「ところでリーシャはいないの?」
ロイドが問うとハロルドが口を開いた。
「あいつは今別件で行動中だ。それにリーシャは戦闘要員ではないからな」
アソラはリーシャの隣にいる太陽のように笑う少年のことを思い浮かべた。
彼は確か孤児だったはずだ。
どこか帰る場所があるのだろうか。
「まぁ、他にもいない奴らちらほらいるみたいだしぃ。今回の仕事はこのメンバーでやるってことぉ?」
エリーがハロルドに聞いたことでアソラの思考は仕事の方へと戻された。
「そうだ」
ハロルドが答える。
「向こうは何人で来るのか分かっているのかね」
ボアズの問いにハロルドは「最低三十人くらいだろう」と答える。
それにため息をついたのは壁にもたれかかったロイドだった。
「最低が三十ね。いったいどのレベルの輩が来ることやら」
「雇われのごろつきみたいな奴らだったらいいけどぉ、特殊に訓練された元軍人とか薬効かないこと多いんだよねぇ」
エリーの視線がアソラに向けられる。
「元軍人を何十人も集めることはできても、統率することは難しいと思う」
「……そういう視線じゃなかったんだけどぉ」
アソラは首を傾げた。
「アソラの言うとおりだ」
全員の視線がハロルドに集まる。




