表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
わがまま令嬢とその侍女  作者: たなぼた まち
侍女と執事の会議
82/120

02

 車が遠ざかるのを見送る。

 耳に元気のないマリーの声が残っている。

「おや、うるさいご主人様が静かで悲しいのかな」

 背後からロイドが声をかけて来た。話しかけるどころか見かけると踵を返していたロイドが、あの一件からやたら声をかけてくるようになり、最初は戸惑いを見せていたアソラもそのしつこさに戸惑いは消えた。

「何しに来たの」

 短く問うと「執事長がお呼びだよ」と女が見惚れるような笑みを浮かべて答えた。

 アソラは、そのときが来たことを悟った。

 キュリラス家に別の自家用車でついていったのはローザを筆頭とした一般の使用人たち。そして残る半分はしばしの休暇を与えられ、屋敷を出て、故郷に帰って行った。

 わずかに残る使用人たちはマルリットが自ら雇ってきた者たち。

 マリーの風邪を口実にこの屋敷から追い出したのもそれが原因だろう。

 静かになった屋敷を見上げる。

 いつも聞こえるあの声が聞こえない。

「アソラ」

 見上げていた視線を隣の男へ移す。

「ほら、行こう」

 差し出された手を無視し、アソラは屋敷へ入って行った。

「つれないなぁ」

 そう呟きながらロイドはアソラの後ろをついて歩いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ