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わがまま令嬢とその侍女  作者: たなぼた まち
わがまま令嬢とその侍女
8/120

08

 ターナーが銃を取り出し、アソラへ構える。しかし構えた瞬間にナイフが銃に吸い込まれるように刺さる。

 その命中率にターナーは舌を巻いた。

「ちっ」

 そのままナイフを取り出しアソラへ飛びかかる。

 ナイフの先がアソラの服を裂くが、アソラは眉一つ動かすことなく、ターナーのナイフを持つ腕を掴みひねり上げる。右手が封じられたので、左手で懐から別のナイフを取り出し、アソラを切り裂こうとする。しかし、すんでのところでアソラが離れた為、傷をつけることは出来なかった。

 その動きを見たターナーは尋ねた。

「……あんた、軍人か?」

 初めてアソラの眉が動いた。

 タントッラ王国は十年前まで隣国と戦争していた。

 数えきれない多くの犠牲の末、両国は同盟を結ぶというかたちで、長い間行われていた戦争は幕を閉じた。

 そこで溢れたのが軍人だ。彼らは幼い頃から、または生まれた時から戦うことしか教えられなかった。命を奪うことしかできなかった。それなのに突然戦地から追い出され、自由にしろと言われ、彼らは途方に暮れた。そしてさらに戦争後遺症、幻覚幻聴が彼らを苦しめた。

 軍人たちは世界に馴染むことはなく、ある者は自ら命を絶ち、ある者は誰かを傷つけ牢に繋がれ、ある者は日の当たらないところで殺戮を繰り返している。

 生き残ってしまった軍人は、この世界にとっては不要な遺物とされた。


 アソラは遺物の一人だった。


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