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マリーの部屋へ向かう途中、ターナーとショーンは足を止めた。
「なんで……」
ショーンの言葉の続きは口から漏れることは無かったが、どうしてアソラがここにいるのか、と言いたかったのがターナーには分かった。
それもそのはず。
どうして後ろからではなく目の前にいるのか、それはターナーも疑問に思ったことだからだ。
それを察したアソラは口を開いた。
「屋敷の構造は私の方が知っている」
入念に見ていた屋敷の設計図は偽物だったのか、はたまた情報不足だったのかは知る由もない。
「ショーン、作戦は失敗だ。退くぞ」
ターナーがショーンに小声で指示をすると、ショーンの顔すれすれをナイフが通って行った。
「ひっ」
ショーンが青ざめる。
アソラは太ももにつけたホルダーからナイフを取り出す。普段だったら魅惑的なその光景に目を奪われ、鼻の下をのばすところだが、今は違った意味で目を奪われているショーンの膝が震えだす。
「逃がすかどうかは私が決めることではないので、悪いが全員捕える」
「早く行け!」
ターナーの声でショーンは走り出した。