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独り布団に潜る日が続いた。
気休めにユーリスの勉強を独学でするくらいで、他は何もしていない。
食料は定期的にユーリスかコンラッドが届けてくれるが、食欲が無いエリーは更に痩せ細ってしまっていた。
コンコンッと誰かが戸を叩く音が聞こえる。
今は昼時なので、ユーリスやコンラッドではない。
恐る恐る布団から顔を出して様子を見る。
決して強引に入ってこようとはしない為、開けるかどうか悩むエリーに声が聞こえた。
「あなたの母親、マリアさんについてお話があるのですがよろしいでしょうか?」
マリアという名にエリーは飛びついた。
ゆっくりと戸を開けると、そこには背の高い鋭い眼光をした男がいた。
エリーはその威圧感に一歩退く。
「こら、ハロルド、君は顔が怖いんだから下がりなさい」
ハロルドと呼ばれた男の後ろから柔らかい声が聞こえた。
ハロルドが下がると、太陽に輝く金色の髪をした男が入れ替わるようにエリーの前に立った。
「初めまして、私マルリット・ジョーダンといいます。以後お見知りおきを」
汚い身なりをした少女に恭しく頭を下げる男にエリーは戸惑ったが、襲ってくるような気配がないため戸を閉めなかった。
「私に、なんの用ですか?」
訝し気に尋ねると、マルリットは手にしていた紙袋をエリーの顔の前に差し出した。
「洋菓子店アントワネットのお菓子は召し上がったこと、おありで?」
首を左右に振ると、マルリットは「よろしければ中に入れていただけませんか?」と視線を中に向けて言う。家とも呼べないこんな汚いにところに入りたいのか、とエリーは顔を顰めたが、マルリットは気にしていないようでニコニコと笑っている。
「……どうぞ」
「それでは、お邪魔します」




