05
外がうっすらと明るくなる頃、街は目覚める。
しかしここは違う。これから眠りにつくのだ。
「今日はここまでだね」
「ありがとうございます」
エリーも今から帰って朝食をとり、眠りにつく予定だ。
外に出ると酔った男があちこちに倒れこんでいる。
汚物で悪臭がする。
鼻をつまんで帰ろうかと思うと、前方から歩いて来る人影が見えた。
「あ、おはよう、コンラッド」
その人影の正体は、娼館で主に力仕事をしているコンラッドだった。
彼も一日の仕事を終え帰ってきた頃だった。
「おあおう」
彼はユーリスが医師免許を捨ててまで助けた患者だった。
手術が終わった後、コンラッドには生き残った代償が与えられた。
顔面麻痺だ。
エリーと出会う前は喋ることも固形物を噛むことも何もできなかったそうだが、今ではだいぶ会話ができるようになった。
「先生、頼みごとがあるってさ」
エリーがそう言うとコンラッドは困ったように笑った。
コンラッドはユーリスが、コンラッドに後遺症が残ったのは自分のせいだと自責の念に駆られているのを知っている。でもユーリスがいなければ、コンラッドは死んでいた。だから気にする必要はないとずっと言っているのだが、頼ることをなかなかしない。
どうせこの後遺症では街では働けない。
気味悪がられるのは分かっていた。
だからコンラッドはユーリスの為に生きていくことを決めているのに、彼はそれを分かってくれない。だからときたまこうしてエリーがユーリスの困っていることを伝えたりすることがあった。
「ひいへふる」
「そうしてあげて」
エリーはコンラッドに別れを告げて帰路についた。




