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わがまま令嬢とその侍女  作者: たなぼた まち
令嬢と侍女と客人
35/120

05

 兄弟はマリーに近づいて、それが何かを確認する。

「あぁ、これは簪だよ」

 漆塗りされた黒い簪に紅色の花が艶やかに咲いていた。

「簪? どう使うの?」

「マヒル」

 呼ばれたマヒルは隅から移動してきた。

 そして簪の使い方を教えるようにマフィリーに言われ頷く。

「そうですね、これは」

 マリーに教えようとした瞬間、マヒルの視線が動いた。

 その視線の先には、ローザに用があり、たまたま入室してきたアソラがいた。

「彼女……」

「え?」

「彼女に、つけましょう」

 そう言うと、マヒルはアソラの方へ向かった。

「マヒル?」

 マフィリーが呼ぶが、マヒルは足を止めずにアソラのもとへ着き、困惑するアソラを連れて来た。

「あの、マリー様?」

 状況についていけないアソラはマリーにしか分からない困った顔でマリーを見た。

 しかし状況についていけないのはマヒル以外の誰もがそうだった。そんなことは露知らずマヒルはあることを閃いた。

「あぁ、そうだ。マフィリー様、あの衣服お借りしてもよろしいですか?」

「あ、ああ」

 マヒルは簪の近くに置いてあった上質な紙に包まれていた何かを持ち上げ、アソラに「更衣室はございますか」と尋ね、アソラは戸惑いながらも案内する為に出て行った。

「カラス同士が出て行ったね」

 ちゃっかり美しいものを見に来ていた美しいもの好きがマリーの背後から囁く。

「ロイド」

 機嫌が良くなっていたマリーは、アソラを連れていかれたこととロイドの登場により機嫌が急降下した。


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