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わがまま令嬢とその侍女  作者: たなぼた まち
侍女とその周りの人たち
18/120

05

 アソラが立ち去った後、ガチャリと扉が開く音がした。

「ガラ、そんなに騒いでどうしたのだ」

 中からその部屋の主であるハロルドが出て来る。

「ハ、ハ、ハロルド様!?」

 ガラが驚きのあまり後ろに跳ぶと、そのはずみで少し床が揺れる。

「ここでは執事長と呼ぶようにと伝えただろう」

「し、執事長!」

 ピシッと綺麗な敬礼をするガラにハロルドは目元を押さえた。

「ガラ、ここは警察ではないぞ」

「も、申し訳ございません!」

 敬礼をやめた部下を見てハロルドは首を傾げる。

「で、こんなところでどうしたのだ」

「ぅあっ」

 言葉に詰まるガラに「深呼吸」とハロルドが言うと、ガラは大きな深呼吸を繰り返し、少しだけ落ち着きを取り戻した。少しだけだが。

「え、っと、執事長は、最近お休みをとられておりますでしょうか?」

 その言葉にハロルドは「ふむ」と呟き、勤務日数を脳内で数える。

「そう言われると、あまりとっていないな。そんなにひどい顔をしているか?」

「い、いえ! 執事長はいつでも男らしいとても素晴らしいご尊顔でございます!」

 マリー並の声量でガラは否定する。

 下の階にいたエリーはその言葉に顔を顰めた。

「ただ、その、厚かましいとは思いますが……心配でして……」

 先程の声量とは打って変わって、今にも消えてしまいそうな声でガラは言う。

 それを見たハロルドはガラの頭を撫でる。

「ぅえっ!?」

 奇声が上がるが、ハロルドはやめない。

「大丈夫だ。私が頑丈なことは君がよく知っているだろう?」

「あ、はい」

「ただ、部下に心配をかけるのは上司として失格だな。近々休みをとるようにする。心配してくれてありがとう、ガラ」

 鋭い眼が少しだけ柔らかみを帯びる。

 それを見たガラは感動に震え、「はい!!!!」と馬鹿でかい声を発した。


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