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わがまま令嬢とその侍女  作者: たなぼた まち
わがまま令嬢とその侍女
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11

 屋敷の裏に生えている大きな木の下で盗聴する男が一人。

 ちょうどそこは屋敷からの死角になっているので、男は屋敷に気をとめず座りながら盗聴器に集中していた。そして盗聴から、全員がマリーを誘拐するどころかマリーの部屋まで辿り着けなかったことを把握し、大きく舌打ちした。

「役に立たねぇ野郎どもだったぜ」

 特にターナー。

 軍人であったからこそ期待したのに、死にたがりだったとは予想もしていなかった。

 どうやって主人に報告しようか悩んでいると「ねぇ」と背後から声が聞こえると同時に、喉元に月明かりを反射して輝く刃物があてがわれた。

 男の喉が鳴る。

 いくら盗聴の方に集中していたとはいえ、こんな簡単に背後を取られることは今まで一度もなかった。

「なにをしているの? かくれんぼかしら」

 その声は少女の高い声だった。

 鳥が囀るような可愛らしい声。

 このナイフさえなければ、一曲歌ってみてよと軽口を叩いてみたいくらいだ。

「あの人たちはあなたの仲間?」

 ナイフがさらに喉元へ近づく。

 そのとき男は本気だということを悟った。

「い、いや、違う」

「そうなの? 仲間じゃないの?」

 両手を上げて無害であることを証明する。

「ああ、そうだ」

「そうなの……じゃあ、あなたはアソラを奪いに来たのね」


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