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わがまま令嬢とその侍女  作者: たなぼた まち
わがまま令嬢とその侍女
1/120

01

「アソラァァッ」

 青空の下、大声が響き渡る。

 探していた人物が見つからなかったのか、その声は再度響いた。

「アソラァァァァッ」

 声の主は、タントッラ王国でも五本の指に入る資産家マルリット・ジョーダンの愛娘、マリー・ジョーダン。十三歳の令嬢である。

「遅れて申し訳ありません。マリー様」

 その声に誘われて現れたのは、ジョーダン家に仕えるアソラ。

 黒い瞳に黒い髪、周りには気味悪がられているその容姿だが、マリーはアソラを見つけて眉を顰めるどころか、目を輝かせた。

「アソラ! 見てちょうだい!」

 そう言って手に持っていた十数本の花を見せた。

「……マリー様、それは奥様が大切に育てていらっしゃって、もう少しで満開になると楽しみにされていたお花では?」

「あら、そうなの? もう十分綺麗じゃない」

 悪びれる様子もなく花の香りを嗅ぐマリーの姿は天使そのものだ。

 白い肌に、宝石のような美しい瞳、薔薇のように赤い唇、太陽に反射する金色の髪。

 その眩しい姿にアソラが目を細めていると、マリーがアソラに近づいて来た。

「どうかされましたか?」

「アソラにあげるわ」

「え?」

 有無を言わせぬ勢いで、マリーは花を持っていない方の手でアソラの手を掴み、その手に花を押し付けた。

 花を持ち困惑するアソラを見て、天使は満足げに微笑んだ。

「だってアソラにあげたかったから、摘んだのよ?」


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