第十二話 EX
「うっ……ううっ………うううううっ!!」
ロミルダ達がワープした先は戦場となっている港湾倉庫から少し離れた、別の倉庫の裏手。
ヴェノムジェスターの装いを解除したその女は、感情を爆発させて泣きじゃくっていた。
「お前さ、あいつらの知り合いなんだって?」
ジェスターの様子をまるで気にする様子もないロミルダは、視線すら合わせず一方的に語りかける。
「報告しなかった事は責めない、元々興味なかったからね」
「全部……全部あなた達のせいよ……私のせいじゃない……!!」
絶望に染まったジェスターの耳にロミルダの言葉は入らず、うわごとのように呪詛を呟き続ける。
「ただ、お前の立場は使い道がありそうだ。今回の働きも評価してやらんでもない」
ロミルダの耳にもジェスターの呪詛は入らない。
一方的な言葉の応酬。そこには仲間としての信頼関係は存在しない。
「お前のおかげで仕事が出来て、アオイも喜んでいるようだしな」
ロミルダの後ろには前もってそこにいた嶺岸葵が、ロミルダやオズヴァルドと同じ白いスーツを着た上位騎士爵の一人、アオイがニコニコと笑顔を貼り付けて佇んでいた。
泣き叫ぶジェスターを眺める虚な瞳には、何の感情も浮かんでいない。
「私は……私は……こんな風に生きたかったわけじゃない!!」
友情と勝利、そして新たな戦いが始まる第二幕の裏側。
誰が気にかける事もない敗者の慟哭を、夜の海だけが聞いていた。
「もう少しだけ、お前が『翡翠陶子』である事を許してやるよ」




