1.5話
「今日も三日月だな~。」
私はラキュアに与えられた部屋から、砂漠の大地に浮かぶ月を眺めていた。
月は黄金に輝いている。
「綺麗だな~。」
私はそんな月に見とれていた。
私が住まう森から見上げる月とは、なんだか違う。
やけに輝いて見える。
それは月と同じく黄金に見えてしまう砂漠のせいだろうか?
「浸ってるね~。」
「うわっ!」
突然、私の視界に頭を逆さまにしたタナの顔が入ってきた。
私は驚きのあまり声をあげ、座っていた椅子から落ちそうになってしまった。
「ビックリした~。」
私は倒れかけた椅子を元に戻しながら、窓辺に座り直す。
「珍しいわね。」
タナはいつも乗っているホウキに股がったまま、逆さまにしていた体を元に戻した。
「なんで、ナビルにいるのよ。」
「だって、ラミがなかなか帰ってこないから、様子を見にきたの。」
「ホウキで?」
「そう。」
タナは笑顔で答える。
「ナビルに来て一週間。満月にならないの。」
私はなんとなく、そんな言い訳をしていた。
「嘘だね。」
でも、タナには見抜かれてしまう。
「満月にならなくて安心してるでしょ?」
その言葉は私の心の芯を突いていた。
それが顔に出ていたのか、タナはニヤリと笑う。
私は長い付き合いの親友タナの言葉に観念して、心の内を話すことにした。