第一話
話が凄く変ですけど…
僕は学校へ向かっていた。
それはいつも通りの行動だが、どこかで必ずこじれる。
アイツの存在で…
────ドタドタ
「なんだろ…この音ッ…!!!!」
振り返ると、そこにはお約束のように…。
「やぁ、裕也。おはよう」
「おはようじゃなくてさッ…どうしたの…それ」
柚子の隣にいる緑の生き物を指す。
柚子はその生き物の首に紐をつけていた。
まるで、犬の散歩のような格好だが…あまりにもギャップが…。
「あぁ、タマの事?」
「タ…タマッ!?でも、さぁ…それ猫じゃなくて……」
緑の生き物は───……
「ワニ…だよね??」
「すごいでしょう?」
すごいの域を超えてるよ・・・。
だって、ワニって肉食でしょう?それに、まずここに居る方がおかしいだろう…。
「でも、さ…学校に連れてくの?」
「当たり前じゃん(笑)」
最後の(笑)の意味が分からないんだけど…。
絶対、何かあるはず…!!良からぬ事があると思う。
「何、企んでるんだよ」
「べ、べっつに〜…♪」
「口笛で誤魔化すなよ!」と、お約束の突っ込む「口笛を吹いて誤魔化すなんてやり方、古いぞ…ッ!!!」
痛え…ッ!!
急に右手に痛みが走る。
か、噛まれた!!ワニに…痛いどころじゃない!!死にそうだぁ!
「柚子、柚子!!手、手ぇ〜!!痛い!か、か、噛まれてるぅ〜!!!!」
「?あぁ…別に噛まれてないよ?」
「自分の手を見るなぁ〜!!僕の手ぇ!!!痛い痛い!噛まれてる!!タマにぃ〜!!!!」
「???噛まれて無いじゃん」
「それは、左手ぇ〜〜!!!!!!僕のは右手ぇーーーー!!!!!!!」
「………………(フッ)」
「何で僕の手を見て笑うのかなぁーー!!」
今、僕の手はすさまじい事になっている…!!
血が…血がぁーーーー!!!!肉が見えるぅ〜!!
これじゃあ、朝のはずなのに深夜番組でしか見せられない…否、深夜番組でさえモザイクをかけなければならに状況にあるぞぉーーー!!!
「笑うしか無いじゃないか」
「その前に、タマをどうにかしろぉーーーー!!!!」
───────第一話●タマ●───────
「はい、これで大丈夫よ」
「ありがとうございます…」
僕は学校に全力疾走で向かい、さらに全力で保健室まで走っていった。
右手にグルグルと丁重に巻かれた包帯を見る。
「何があったの?朝のはずなのに深夜番組でしか見せられない…いいえ、深夜番組でさえモザイクをかけなければならに状況だったわよ?」
「いや、僕もそう思ったんですけど…」
「あら、分かったわ。その顔は、登校中、高木さんに会ったのはいいけど何故かワニを犬の散歩のように連れてきていて、とりあえず突っ込んで見たものの結局、ワニに噛まれた…って顔してるわよ☆」
僕って、いったいどんな顔してるんだろう…。
つか、なんでワニって分かったんだろう。柚子のことも…。
「だぁって、先生が学校に来る途中、車の中で見てたんですもの☆」
「なんか先生、Sパワー入ってない!?」
「あら、失礼ね!!」
頬をプッと膨らます。
子供みたいだな…。
「そうですよね。さすがの先生だって、そんな事──…」
「先生は元からSなんですから♪あなたがいじめられている姿を見ていると…(ポッ)」
「頬を赤らめないでください!!今、僕はフォローしようとしてたのに!!!」
だめだ・・・この学園は狂ってきている…。
あはは、適当に笑って保健室を後にした。
ここは、僕にとって地獄なんだから…。
「あーー…裕也、大丈夫か??」
「ま、痛いけどな」
「……(フッ)」
鼻で笑うとか意味分かんないけど…。
顔は可愛いくせに生意気な…!!!!
「柚子さぁ…何もしなかったらもてるのに…」
「いやだぁーー…私を狙ってるのぉ???」
「そん時だけ『私、可愛い』オーラ出すなよ!!
・・・・・・んで、タマは???」
「タマ??あぁ…食べた」
「食べたあぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
驚きの一言。
漫画の中ですか!?
「いや、これは小説だし…」
「それを言って良いのかよ!!」
「ごめんごめん…つい(テヘ★)」
テヘってなんだよ…テヘって。
「へ??効果音だよ」
「普通に台詞だよね!?」
「突っ込むところ違うよね〜??まぁ良いけど」
ヤバイ…ぼくもおかしくなって来たか…。
しかし、タマを食うとは。
確かに、口の周りに肉の欠片が付いている…。
本当に食ったのか…。
「そうだ、裕也君──・・・あらぁ!!!柚子ちゃんじゃない!」
「あっ、少し以上のSパワーを秘めている保健室の先生」
何か、長いよね…説明っていらないよね??
「あらら、恥ずかしいわ★」
「何か用ですか??」
「そうだったわね…えと、そのぉ………」
「????????」
「忘れちゃったわ★」
「………」
「先生ってど忘れしちゃうよね(ニコッ)」
「笑う事じゃないよね!?」
柚子と先生が加わると、突っ込むのが大変だ。
「あ、そうだ!!ワニの肉、食べる??」
「あ、食べるわッ!!!!」
「だから、肉を食うな!!!!
タマが可愛そうだろ!!!!」
『…グワッ(ポッ)』
と、横から鳴き声が聞こえた。
横を見ると、緑色の生き物が…。
「タマあぁぁぁぁぁッ!!!!!!」
『…グワッ?』
「あ、そこに居たの??」
「食べたんじゃないの!!!???」
「食べるわけ無いじゃん」
『グワッ★』
ま、そうだよな。
大事な家族でもあるんだから。
「だって、高かったんだもん★」
「そっちかよ!!!!!!!!!!!!!」
完